ウェブサイトでの差別化って

差別化?


たまたまこのエントリーが目について、なんか中途半端な記事だなぁとひっかかってしまった。

ホームページ制作会社に丸投げしたことによる悲劇 | Switch

んでは、差別化って何だろうか。

そもそも「どこも同じホームページになってしまってる歯医者」が、他と違うサービスができてるのか、他よりも魅力的なサービスを提供できてるのか。

まず、そこ。そんなものもないのにホームページで差別化なんてのは、本末転倒だ。自らのサービスや商品がたいしたものでもないのに、ホームページで差別化できてないなんて言うのはお門違いじゃないのかと。(個人的に「ホームページ」って言葉は嫌いだけど、先のエントリーで「ホームページ」という言葉が使われてるので、そのまま「ホームページ」という言葉を使うことにする。)

という前提もありつつだけど、ホームページ上での差別化というのは、実際のサービスや商品として差別化できてるかどうかとは関係なく可能だったりもするので、その辺について。

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他が語ってなければそれだけで差別化できる

差別化ということをあまりにも難しく考えすぎると、そもそもそんなものないやんと諦めてしまいがちだ。

同業者の誰もが普通にやってることでも、その業界特有のことで一般ユーザーや利用者にはわからないということは多々ある。そういうものを語る。これだけでも「差別化」になる。

歯医者で考えてみる。院内や利用する危機や道具、あるいはスタッフなどでの衛星管理はどうなっているだろうか。病院なのだから、そんものはどこでもきちんとやってる、ということは当たり前だろう。が、この「きちんとやってる」というのが、一般ユーザーにはわからない。それを丁寧に語るだけでも、それは差別化要素になりえる。どうせ語るなら、思いっきり丁寧に、そして詳細に、具体的に語るといい。「当たり前」でも、ちゃんと表現されることで、あー、こういうところを徹底してるだな、と理解され、それがこの医院を選んでもらう切っ掛けになるかもしれない。

今では普通だが、院長先生の顔、姿を出して、本人がどういう気持ちでこの医院を運営してるかを語るのも「差別化」になりえる。このエントリーでは「家から近いとか、外観がきれいとか、院長が優しそう」ってのがたいした差別化要素ではないと言ってるけど、歯医者を探してる人にとって、その人が通える可能性がある歯医者の中で、こういう要素を持ってるところがなければ、「外観」も「院長が優しそう」ってのも、差別化要素だろう。日本全国の他の歯科医のサイトが競争相手になるわけではない。競争相手は限られてた範囲にある医院なのだから、その医院の中で際立てばいい。

忙しくて更新もなかなか大変だろうが、院長自らがブログやTwitterなどをやり、病院のことに限らず、プライベートの内容などを更新していくというのもありだ。だいたい、わざわざ病院を探して、その病院がどんな病院なのか気にして、ホームページを閲覧しているユーザーのとっては、どんな先生がいるのか、その先生はどんな人なのか、というのは気になるところだったりする人もいるだろうし。それがブログやTwitterなどから、素の面が伺えたりすることで、安心感に繫がったり、最初のハードルを下げることにも繫がる。他がやってなければ、こんなことでも差別化になる。

少し脱線するけど、そもそも歯医者とか美容院とか、整体とか、そういう個人事業主に近いような業態の場合は、その店長なり店主なり院長なり、代表となる人が、自らの人となりをソーシャルメディアなどでさらけ出すというのは、けっこう効果のある「コンテンツ」になりえると、僕は思ってる。内容はたわいのない身内話でもいい、交渉なビジネスやサービスの話なんぞではなく、どこへ行ったとか、食べたとか、誰にあったとか、感動したとか泣いたとか、そういう、他の人がそんそなものに興味あるの、と思えるような普通の日記でもいいんじゃないかと思う。
重要なのは、その人がどんな人かが、そういう普段の活動や考え方から浮かび上がってくるということだ。もちろん、その人がとんでもない非常識人や悪人である場合は、逆効果だろうけれども。
が、しかし、こういう「コンテンツ」が、物凄い集客力があり、これでコンバージョンウハウハだ、みたいなことはないのは言うまでもないけど、やってないよりやってる方がユーザーの選好性は高まる。ただ、やるなら続けるべきだ。ブログでも数エントリーとかで終わってるものだとこれまた逆効果だと思う。

いくらでも差別化できそうなネタなんてある

他、どんな機器を取り入れてるのか、どんな治療スタイルを基本としているのか、どんなところに特徴があると思うか。
そんなのも他医院と同じかどうかというより、他医院が語ってるか語ってないかで差別化の要素になりえる。また、こういうものを語る場合の粒度というか精緻さみたいなのだって差別化になる。他が写真と簡単な説明しかないのでれば、もっともっと詳細に、丁寧に語る。それだけでいい。

歯医者ならば治療の痛みについての考え方やスタイルだけをしっかり語ってもコンテンツになりえる。
ユーザーが一番恐れてるのは痛くないかどうか、痛さをどう和らげる取り組みをしてくれるのか、みたいなところだから、そこはかなり丁寧に、詳しく書いたほうがいい。コンテンツって言うとなにかと面白くおかしく書かないといけないとか、色々考えてしまいがちだが、単に正確に、丁寧に、具体的に、しっかり書くというだけでも、それは他とは違う魅力的な差別化できるコンテンツになりえる。

保険適応できる治療とできない治療にはどういうものがあるのか、それぞれのメリットやデメリット、当医院の考え方。
料金についてもそうだろうし、矯正だとか、オーラルケアだとかもネタになるだろうし、医院の中の様子の写真とかもたくさんあったほうが、行く前にどんな医院かがイメージつきやすくなっていいだろう。

あげればキリがないぐらいに差別化していくための情報というのはあると思う。
そして重要なことは、対象となるユーザーが、同じように探すであろう近隣の他の歯医者が、ホームページで何を語ってるのかということだ。どんなサービスを提供しているかよりも、彼らがホームページで何を語っているか。同じことを語っていても深く語れるなら、それだけでもいい。

逆に、こういうレベルでネタがまったくない思いつかない医院というのは、そもそももっとサービス改善やら努力をしたほうがいいと思う。それが他のどこもやってないようなユニークさや、オリジナリティでなければならないわけではない。多少なりのこだわりや考えがあればいいのだし、それをうまく表現できればいいだけなのだ。

曲がりなりにも医院として成立して、多少のお客さんなりが付いてるのであれば、何かしらの選ばれた理由があるわけで、その選ばれた理由をしっかり見つめて、自分のところの病院の魅力になりえる要素が何なのかということを突き詰める。そうすれば色々と見えてくるものもあるのではないか。

ネタを引き出し効果的に表現してあげる

さて、こういう「差別化」になりそうなものを、どうやって引き出すかというのが、制作側の人間の役割にもなる。
うまく引き出して、それを表現するための手助けをしてあげるところが、ページをデザインするとかコーディングするとか、そういう純然たる「制作」以外のところで差をつけるための付加価値だ。

もちろん、言われた通りに作りまっせ、という安価に制作だけを引き受ける人もいるだろうし、それはそれで構わないと思うんだけど、制作という領域に多少なりとも、違う価値をのっけたいなら、「差別化」になりえる要素をひっぱりだしてくるヒアリング力や、発見する力、そしてそれをどんな風に表現すると、より効果的なのか、より伝わるのかということを考えるクリエイティブ力みたいなものを磨いていかんと駄目だろう。

こういう差別化のポイントを見つけて、深堀したり広げたりするというのは、その業界やその市場の専門的な知識がないほうが色々気付きがある場合が多い。一番いいのは、一利用者としてそのホームページを使う立場にたっていることだ。自分がどういうコンテンツが欲しいかを考えていけばいい。まぁ、自分だけだと、自分の気付く範囲でしかわからないので、そこは色んな人を交えてディスカッションしたほうがいいんだろうけど。

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