Fiat500 Twin Air を買うまでのあれこれ



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ちょうど去年の今頃、Fiat500 のことが急に気になって、思い立ったら吉日というこでアクセラを売ってFiat500 twin air POPを新車で購入した。かなり個人的な話であり、正直、Fiat500の購入を検討してる人なんかには何の参考にもならないので、あらかじめ注意をしておく。

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小さいクルマが好きでローバーのMINIに乗った

もちろんFiat500は、昔から気になってた車だ。僕は子供の頃からなぜか小さい車が好きだった。だから、旧ローバーのMINIに憧れがあったし、ルパン三世で印象的だったFiat500も、いつか乗りたい車の一つだった。

もう10年近く前だけど念願叶って旧ローバーのMINIを購入した。結局、トータルで1万kmも乗れなかったけれど、MINIはほんと愉しい車だった。何処かに行くとか何かを運ぶといった目的のための車ではなく、純粋に乗ってて愉しい、運転しているのが愉しい車だった。

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(運転席で掃除中。ほんとはMINIも白が欲しかったのだけど、白は人気で高くて手がでなかったのだ….)

が、その一方でそのあまりにも古い機構や構造は、乗る人にある種の負担を強いるものであったことは確かだ。乗る前の点検は必須だし、渋滞で常にオーバーヒートを気にしたりしなければならない。
多くのMINI乗りの方々はそういった「面倒」も含めてMINIを愛しているのだろうが、僕にはそこまでハマり込むことはできなかった。最初はそれも楽しかったのだけど、当時はそんなに車に乗る頻度も多くなくて、その度に色んな事を気にしなければならないことが段々と面倒になってしまったのだ。

そしてなぜかアクセラへ

そして僕はMINIを手放し、国産のアクセラに乗り換えた(アクセラ購入顛末 | papativa.jp)。MINIとは正反対とも言えるようなキャラクターの車だ。勢いもあってアクセラを選んだのだが、この車、これはこれですごく良い車だった。乗りやすく、安定性がある。車体の大きさの割りには取り回しも楽でキビキビ走る。アクセラに乗り換えてからすぐに結婚したので、新婚から今までの妻とのドライブや旅行の思い出はアクセラで積み重ねられている。

ただ、アクセラに乗りながら、ずっと自分のキャラとは合ってないなぁという違和感は抱いていた。僕だけでなく、僕ら夫婦として見ても、どうもスポーティなアクセラというキャラではない。なんか掻痒感がある。

そんな折にTwin Air だ。Fiat500 は新型が登場した当時から気になってた。BMWのMINIは、確かにローバーのMINIのキャラは受け継いでるかもしれないが、なんか違うなーというのが正直な感想だった。「引き継いだ」というより、遠い親戚みたいな感じで、かなり遠くで血は繋がってるかもしれないけど、身内感がない。(ただ、アクセラを買ったのは、旧MINIからの乗り換えでBMWの新MINIにしようと腹に決めてて、その流れでなぜか、ほぼ同じ車両サイズで比較される車の一つとして上がってたアクセラを選んだ、という経緯があって、つまり、新MINIを買おうと思わなければ、そもそもアクセラを買ってなかったんじゃないかと思うので、新MINIみたいな車に惹かれる自分がいることも確かだ。)

しかし、新型のFiatには、あの古き良きFiat500にちゃんと血が繋がってるような、そんな感じがしたのだ。まぁ、同じ会社が作ってるということもあるんだろう。(旧型の500に乗ってる人から見たら新型なんて・・・と思ってる人も多いのかもしれないが。) 発売当初無茶苦茶欲しいと思ったけど、アクセラ買ったばかりで、しかもかなり高い。車両代だけで色んな装備つけたアクセラより高い。ということで我慢していた。(アクセラ買ったのが2005年1月で、Fiat500の新型が2007年3月の発売)

が、Twin Air が2011年の始め頃に発表されて、これはいつか買わねばという気になっていた。
実物を見たことはなかったけれど、最新技術の二気筒エンジンという新しいのか古いのかよくわからん機構や、YouTubeなどの試乗動画での安っぽく古めかしいエンジン音。そして、購入者たちの愛着溢れるレビュー。こういうものにチラリチラリ触れるたびに、どのタイミングで買うかということを考えるようになっていた。

環境の変化と、強烈に自分らしくありたいと思い立ってしまったこと

そして去年の今頃だ。

実はアクセラの車検はまだ一年残っていた。2005年1月購入なので、その年の1月に7年目の車検を終えたところだ。なので、買い替えのタイミングとしては本当は今年の今頃ってのが普通だろう。でも、思い立ってどうしても500に乗りたくなったのだ。
僕はまぁまぁ衝動買いする方だが、今回のFiat500の購入は、その当時の心境みたいなものが、けっこう大きな影響を与えたのだと思う。

去年の今頃は、僕は東京の西荻窪にも家を借りて、ウィークデーは東京で過ごし、金曜日の夜に京都に戻ってくるというような生活をしていた。その頃にはすでに今年の五月末で今の仕事に一区切り付けようという決心もつけていて、少し不安な気持ちでいた。

東京からの帰りの新幹線の中で、ぼーっと景色を眺めていたら、少し感傷的になった。今の会社への想いとか、それまでの18年のこととか、色々なことを急に思いだしてしまって胸が痛くなった。

翌年は僕の人生にとってはかなり大きな一年になる、厄年でもあるし、もしかしたらこの決断でものすごく辛く厳しい日々を送らなければならなくなる可能性もある。自分の今の仕事に対してはまぁまぁ自信があった。正直、マネジメントという領域では自分がうまく立ち回れないなという苛立ちはあったけど、一プレーヤーとしてはかなり柔軟に色んなことに対処できたので、ここではすごく自信があったのだ。

自分が下した決断がほんとに良かったのか、とんでもない決断をしてしまったのではないか、思いを巡らせると気分が悪くなった。

今の会社では、僕はすごく自然でいられた。周りの連中も僕の素をよく分かってくれてるので、僕はあくまでも自分のキャラクターをそのままで振る舞うことができた。仕事は大変だし、精神的なプレッシャーも大きかったけど、自分らしくいられるという安心感がそこにはあった。が、来年からはどうだろう? 僕の本来の姿など全く知らない人たちの中に身を晒さなければならない。また、ゼロからだ。

僕は根本が人見知りだ。あまり多くの人と知り合いになって関係を作っていくタイプではなく、本当に好きな人とだけ深く関係を持って行きたいという、一種、自分に都合のいい「あまちゃん」的なコミュニケーション志向を持っている。なので仕事の内容が変わることより何より、周りの人が自分を知らない人ばかりになるということが、僕にとってはものすごく精神的なプレッシャーが大きいことだった。
そのことを考えるといつも重い気持ちになった。

その時に、なぜかFiat500のことが頭をよぎった。自分らしくあるってことは難しい。今のアクセラでのなんか自分とは違うという違和感とか掻痒感が、一気に耐え難いものに思えてきた。翌年のことを考えていて、自分らしくあることに我慢してる場合じゃないんじゃないかと思い立ったのだ。

人生は一度切りだ、なんて紋切り型の理由を持ってきたわけでもないけれど、今すぐに「自分らしい」と自分が思うクルマに乗るべきだ、とそんな切迫感が持ち上がってきたのだ。決して、そんなことはないんだろうけど、なんかクルマに何か救いとか逃げを求めようとしてたのかもしれない。もしかしたら、翌年は、「自分」をものすごく殺して生きなければならないかもしれない、という不安感が、そういう衝動を引き起こしたのかれない。というのも、都合の良い理由作りにすぎないんだろうけど、まぁとんかく衝動的に、どうしても2013年という新しい年には、新しく自分らしいと思えるようなクルマでスタートを切りたくなったというわけだ。

いざ、Twin Airを購入せんとす

家に帰って、すぐにアクセラの下取り見積もりを一括査定でかけて、数社に査定に来てもらった。型は古いけど、限定車であり、革シート、BOSEのスピーカー付きということで、それなりの値がついた。まぁ、この下取り査定というやつは、それなりに駆け引きが大変で鬱陶しかった。これはこれでいつか別のエントリーにまとめてみたいなと思うのだが、それぞれのやってくる営業マンは、なんとかその場で即決させたいと目論んでいる。他でも査定していることを知ってるから、比較が始まると、単なる価格競争になる。 なので、あの手この手で今、契約してくれ、今、売ってくれということを懇願してくる。今、契約しなきゃ、後悔しますよとでも言わんばかりの対応だ。まぁ、僕は、多少の値段の違いなら、下手な駆け引きやってくるやつより、ストレートに交渉してくる営業マンにしようと決めていたのだが。

アクセラの引き取りの目処を立てつつ、同じ週末にフィアットのディーラーに行って、Twin Airを試乗させてもらった。試乗して、一発でこれしかないと気にいってしまった。そのコトコトととぼけた味わいのエンジン音。エンジンをかけた一瞬のぶるぶるという身震いみたいな横揺れのチープ感。そして、わずか900ccにも満たない排気量なのに、走ると意外ときびきびと走る。
最初はオートマで走っていたのだが、一般的な日本のオートマ車ような無段変速ではなく、セミオートマ、デュアルミッションというやつで、これがなかなか癖が強い。要はトランスミッション本体はマニュアルで、それを電気的にオートマチックで制御してるので、変速のショックがけっこう大きいのだ。しかし、一方で、これは2ペダルMTとも言われる機構で、自身でギア選択を行って運転すればかなり面白い。マニュアル車のように、変速時に一度、アクセルペダルを離す。ギアを変える。クラッチペダルはないけれど、かなりマニュアル車に近い感覚で運転ができる。

試乗が終わって、すぐに買う気になって見積もりをもらうことにした。 中古車も選択肢の一つには入れていたのだが、いかんせんフィアットだ。イタリア車だ。色々な悪い噂も聞く。なるべく新車のほうが安心だし、今、新車で買えば10年か10万kmまでのディーラー保証がついてる。実際、見積もりをもらうと、状態の良い中古車と、新車での差がそれほど大きくなかったということもある。実は、アクセラの査定に来てもらった某買取会社に、Twin Airの中古車の見積もりも貰っていたのだ。また、そのタイミングですぐに手に入りそうな中古車の大部分の車体色がブルーだった。 ボクは、アクセラもそうだったのだが、白が好きで、クルマはなるべく白にしたいと思っている。保守的といえば保守的なのだが、あまり主張のある色よりは、「普通」の白が一番好きなのだ。

アクセラの時は、色々なおまけをつけてもらいながら、かなりの値引きを引き出したけれども、フィアットのような外国車ディーラーは、あんまり値引きは期待できない。(少なくとも、僕の交渉テクニックでは・・・。よく言われる、全額現金で持って行って、その場で払うから云々みたいなのも、やりたくてもやれない懐事象だったし)
ただ、意外とオプションはかなり付けてもらうことができた。詳しい内容は、書かないが、十分満足できるレベルのオプションが付いた。いくつか上げると、京都では雪は多少心配なので、スタッドレスタイヤを付けてもらったり、また純正ではないのに、iPhoneやiPodを直接、500のオーディオに直結して利用できるキットなども装備した状態にしてもらった。これは、買う前から、買ったら付けようと思ってたキットだったのだけれど、これはけっこうありがたい。アクセラの時は、FM電波を使うトランスミッターを使ってたけれど、これはけっこう相性があるのだ。いくつも購入して、やっとちゃんと電波を拾ってくれて、クリアに聴こえるものが得られるというような感じで、アクセラの時もかなりの出費を強いられた。このキットの場合は、標準のオーディオに直結して使えるので、FMトランスミッターのようにうまく音が拾えないとか、電波にノイズが入るというような心配がほぼないのだ。

見積もりをもらって、その場で、購入を決めて、ローンを組んだ。フィアット自体がキャンペーンでやってるローン金利がかなり良かったので、ローンもお任せした。アクセラの時も、あれよあれよという間での購入だったけれども、今回も吃驚するようなスピードで契約までしてしまった。

年明け1月の下旬には、本国から船便でクルマが日本に入ってくる、ということだったのだが、納車はかなり遅れた。クルマを手にしたのは2月の最後になった。アンテナの形状が変わったことで、税関でストップが掛かってしまったのがその理由だとかなんとかだが。1月に納車できるものと予定して、アクセラの引き渡しを1月中にしていたため、2月いっぱいはフィアットから代車を借りることになった。が、この代車がなかなかアヴァンギャルドな色使いで、乗っててかなり恥ずかしかった。それがこれ。海外ではこの手のツートンカラーが人気らしいが、関西でこのクルマ乗ってると、どう見ても、生粋の「虎キチ」「阪神ファン」にしか見られない。 僕は、別に嫌いではないが、「阪神ファン」に思われるのは、かなり嫌だ。このクルマに乗ってた1ヶ月はかなり恥ずかしかったけど、一方で、このクルマ、Twin Airではなく、普通の500だったので、そちらに一定期間乗る機会が貰えたという意味ではありがたかった。

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(さすがにこの車、恥ずかしくない?)

購入から約1年。満足度など

それからちょうど1年。走行距離は1.5万km。なかなかのハイペースで乗っているが、満足度はどうだろう。
衝動的に買ってしまったような感じではあったけど、まったく後悔はしてない。むしろ購入して良かったと思ってる。MINIの時と同じように、乗っていて愉しい。何より、やっぱり自分にフィットしてるように思える。アクセラと500のどちらが自分らしいかといえば、やっぱり500のほうが自分には向いてる。(と、僕はそう思い込むようにしている)

このフォルムに、このエンジン。フィアットはほんと素晴らしい仕事をしたなぁと思う。現代的な最新のテクノロジーを導入しつつも、その昔の500を彷彿とさせるような二気筒のエンジンを搭載するというアイディアは見事だと思う。単に、MINIというブランドだけを引き受けた新MINIではなく、きちんとDNAをしっかり引き継いで、現代的にパッケージングしたというところに、この車の魅力がある。

周りからはイタリア車は故障するぞーとかなり脅されたけれども、今のところ特に問題はない。悪戯でボディに引っ搔き傷をつけられたり、不注意で駐車場から出すときにボディ側面をへこましてしまったりということはあったものの、クルマ自体でのトラブルや故障はない。意外と燃費もよくて、町乗りだと14〜15kmぐらい。高速がメインだと16〜19kmぐらいは走ってくれる。

もちろん、日本車に当たり前のように搭載されているような便利さみたいなものは、かなり欠けてる。今時ドアミラーの開閉さえ手動だ。でも、そんなことはあまり気にはならない。

特に、今年からゴルフを始めたわけだけど、ゴルフ場への山間の道なんかを走ってると、物凄く気持ちよくて幸せな気分になれる。2ペダルのクラッチ操作も面白い。純MT車には敵わないものの、「自分で」運転している、操作しているという感覚が持てるのはやっぱり愉しいものだ。小さい車体だけど、ちゃんとゴルフクラブも載る。ただ、そのままではドライバーやロングアイアンなどはトランクには載せられないので、ちょっと工夫は必要だけれど。

もしなんとなく迷ってるという人であれば、僕は、迷わず購入することをオススメする。あのフォルムが好きで、あのエンジンの感じがたまらん、という人なら、多少の不便さなどは、十分に補って余りある魅力が、このクルマには兼ね備わっているからだ。逆に、国産車のような精巧な作りや、行き届いた利便性、快適さ、運転性能みたいなものを求めるなら、やめておいたほうが無難だろう。

いくつか、最初、驚いたというか違和感があったことだけメモしておこうと思う。ほとんどは馴れの問題でそのうち気になくなる。

・パーキングがない。車を止めてエンジンを切る時は、1速かRに入れておく。
・クリーピングがない。1速やRでも、アクセルペダルを踏まなければ、車は動かない。
・エンジンかけたままの停車で、1速やRに入れたまま足を放していると、しばらくすると警告音がなる。なのでエンジンかけたまま、ブレーキ放して停止状態を維持し続けることができない。同じように、エンジンかけたままでシートを離れても警告音がなる。エンジンかけたまま、ちょっとガレージを開けるとか、そういう時にも警告音が鳴るのでちょっと鬱陶しい。
・スモールライトがない。ライトは点灯か消灯かだけのシンプル構造。もちろん自動消灯とかそんな機能はない。
・シートポジションの調整が難しい。なかなか自分に合ったポジションが見つからない。
・坂道での低速でのトルクのなさ。2速とかで走ってても、すぐに勝手に1速にシフトダウンしてしまう。
・アイドリングストップは、完全停止からちょっと間があってエンジンストップするが、信号などで止まるけど、またすぐに動く、みたいな状況のときに、若干テンポが遅れるので、一瞬焦ってしまう。また、坂道発進ではサイドブレーキを使わないと、アクセルを放してエンジン始動までの間にかなり後ろに下がってしまうので危ない。(そういうストップ機能が付いてる云々という話があるのだが、僕の車では機能してないように思える。螺旋駐車場での坂道でかなり後退してしまって焦ったことがある) 僕は現状は、アイドリングストップは利用してない。
・ワイパーのひびり音。口コミなどで知ってはいたけど、これはけっこう気になる。
・標準のカップホルダーの位置が微妙。正直危ないので、そのままで使うのは危険。
・フロントワイパーを動かしてる状態で、バックギアに入れると、リアワイパーが勝手に動く。最初故障かと思った。

まぁ上げるとキリはないのだけれど、僕はこの車は随分と気に入ってる。僕を知ってる多くの人も、僕っぽいと言ってくれる。(もちろん、僕を喜ばせるためだとは思うけれども) 今のペースだと年間2万km ぐらい走りそうなので、5年で10万km。ちょうどメーカー保証が切れる頃に、ローンも終わるのだろう。その頃には、もしかするとガソリンではないFiat500がメインになっていたりするのかもしれないが、出来ればずっと乗り続けていきたいなぁと、今はそんな風に思っている。

Fiat2
(助手席の妻も、多分、Fiat500のほうが似合ってる)


その後、購入1年経っての感想。
こちらの記事も参考まで。
フィアット500(fiat500)はそんなに故障するのか? | papativa.jp

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