「ザ・プロフィット」で紹介されてる23の利益モデルのまとめ
久々に、「ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか 」を読み返してみた。
この本は、ビジネスの仕組みやモデルを、どこから利益が生まれるかというポイントからモデル化して整理している本だ。最初読んだ時は、中途半端な物語形式に嫌気が刺したが、何度か読み返すたびに、「利益」というところに着目して、ビジネスを見てみるということが、物凄い発見だということがよくわかるようになった。
本の中では23の利益モデルが示されている。中には、それが「モデルなの?」ってツッコミ入れたくなるようなものもいくつか含まれていたり、このモデルとこのモデルのどこが違うのか、よーわかん、みたいなものもあるが、ひとまず簡単にポイントだけそれぞれのモデルについてまとめておこうと思う。世の中のビジネスは、それぞれどれか1つのモデルに当てはまるというよりは、複数のモデルの組み合わせによって成立しているもののほうが多いかもしれないけれど、儲かってるビジネスには、儲かるためのモデルがきちんと組み込まれているのだと思う。
自社のビジネスや仕事にあてはめて、これらのモデルがどこかに応用できるところがないのか、見落としてしまっているところはないのかを、点検してみるだけでも無駄ではないように思える。
今回のエントリーは、とにかく自分がいつでも後から参照できるようにと考えて、ただ23のモデルの要点をまとめただけになっている。本来、重要なのはこれらのモデルから、自身のビジネスにどのように適応できるかを考えることだろう。今回は、とにかくただ俯瞰できるチャート的なものを自分用に用意したかったということが主目的なので、特にここで何か検証したり、考えたりということはしてない。
(1) 顧客ソリューション利益モデル
ファクトセット社→資産運用者に金融情報を提供するというビジネスモデル
潜在顧客と見込んだ会社に2~3人チームを送り込み、その会社のあらゆることを調べる。
こうした情報に基づいて、顧客の特色や経済状況にあわせて、カスタマイズした情報製品やサービスを開発する。そして、契約に至った場合には、さらに時間をかけて自社製品を顧客のシステムに統合していく。この段階までのファクトセットの売上は微々たるもので、経費ばかりがかかり、莫大な赤字が出る。しかし、時間が立つにつれて利益が伸びていく。
3~4ヶ月でファクトセット社の製品は顧客の日常業務に溶けこんでいく。この段階では、フルタイムで人を投入する必要はなくなり、それこそパートタイマー1人でもサービスが維持できる状態となる。毎月のコストは1万ドルから8000ドルに減る一方で、売上は3000、5000、1.2万ドルと増えていく。
この利益モデルのポイントは、時間とエネルギーを注いで顧客に固有の情報をすべて知りつくすこと。そして、その知識を顧客固有のソリューションの開発に活かすこと。短期の損失には目を瞑り、長期の利益を実現する、というところだ。
(2) 製品ピラミッド利益モデル
マテル社→バービー人形。
製品でピラミッドを築く。ピラミッドの一番下には、他社が簡単には真似したり、参入したりしにくいような低価格の製品が位置づけられる。この一番下の製品がファイアーウォールとなり、他社の追随を防ぎながら、稼ぎどころは、ピラミッドの上の段に位置づけられる高価格帯製品となる。
バービー人形は、20ドル、30ドルで売られている。これがファイアーウォール。しかし、バービー人形はここで儲けてるわけではなく、その上の100ドル、200ドルする市場で稼いでいる。100ドル、200ドルする人形を買うのは大人だ。自分も幼い時に20ドル、30ドルのバービー人形で遊んだ思い出がある。大人になり自由になるお金を得て、コレクターズアイテムとなるようなラグジュアリー的なバービー人形を買ってくれるというわけ。
(3) マルチコンポーネント利益モデル
コカコーラ社。1つの製品を様々なコンポーネントで販売して利益を生み出すモデル。
コカコーラという製品は、1つだが、食料品店、レストラン、自動販売機、というように複数のコンポーネントを持っている。利益の大半はレストランと自販機からもたらされている。顧客は購買機会に応じて異なる購買行動を示す。つまり、非常に幅のある価格感応性を示すので、同じ製品でも購買機会に応じて利益を上げられるところが変わる。
マルチコンポーネント利益モデルを「本屋」に適応させた場合。
「本を売る」というモデルでも、店頭売り、という基本のモデル以外に、個人向け直販、企業向け販売(企業の図書室や人材開発部向けとか)、読書サークル向け販売、というように、複数のコンポーネントで展開が可能となる。これもマルチコンポーネント利益モデルの考え方だ。
(4) スイッチボード利益モデル
マイケル・オーヴィッツ→ハリウッド映画の世界にテレビの世界では当たり前だった一括売り込みを持ち込む。タレントエージェントが、脚本家、主演俳優、ディレクター、助演陣を一括した完全なパッケージを制作会社に売り込むモデル。
パッケージにするためには、その世界において最も重要な要素、コアを抑えなければならない。
この場合は、優れた脚本の調達だ。優れた脚本の供給源を抑えることで、タレントへの影響力が強まる。タレントを組織できることで映画制作会社への交渉力が強まる。
さらに、もう1つのポイントがある。それは「量」だ。どれだけタレントを抑えられていたとしても、それが数人なら、映画制作会社にはいくらでも他の選択肢がある。ある一定の割合のタレントを抑える、つまりクリティカル・マスを超えた時点から、一気にあらゆるものへの支配力、影響力が強まっていく。臨界点を超えて支配力が高まれば高まるほど、それがあらゆる要素に波及して、さらに影響力た高まるという好循環が生まれていく。
(5) 時間利益モデル
インテル→新しい半導体を開発し、真っ先に市場に送り出すことで利益を生み出す。
魅力的な商品を真っ先に市場に市場に投入、そのコピー品が出回ったり、二番煎じ、三番線じが出回る前に荒稼ぎをするというモデルだ。下に出てくる「新製品利益モデル」と似ている。
(6) ブロックバスター利益モデル
とにかく大ヒット、ホームランをかっ飛ばすモデル。それってモデルなのかなとふと思ったが、言ってみれば、製薬会社なんかがこの利益モデルに当てはまるのだろう。
1つホームランがでれば、とてつもない利益が生み出されるので、ホームランを狙うために、研究開発に投資し、研究開発の確率が少しでも上がるように、様々な施策を講じる。
ホームランの確率を上げるためのマネジメントというのが、このモデルの最大のポイントだ。
研究開発競争でのリスクも大きいので、例えば、リード・プロジェクトには少なくとも1つ~2つのバックアップ用の製品の研究もあわせておかなければならないなどのルールを作ることや、それによって、リード製品が失敗しても、次の製品に教訓を活かせるようにするとか、複数に張ったどこかでホームランが生まれるように持っていくなど。
(7) 利益増殖モデル
1つの技術や権利で、何倍もの利益を生み出すモデル。
例えば、ディズニーのキャラクター。ホンダのエンジン開発の技術、などがそれに当たる。
マルチコンポーネント利益モデルとの違いは、利益増殖モデルは、同一のオリジナル資産から派生した異なる製品によって利益を生み出すというところだ。
初期の開発コストはかかるが、その開発されたものを様々なところで利用していくことで、結果的に原価が下がり、莫大な利益を生み出す。
最近の「映画」はこのモデルと、ブロックバスター利益モデルの組み合わせみたいなものではないだろうか。大ヒット映画を狙うというのは、当然のこと、単に映画の興業収入だけではなく、DVD化、キャラクターグッズ、音楽、テレビ放送権などなど、1つの素材をいろんなところに展開していってトータルとして利益を上げようというモデルだ。
(8) 起業家利益モデル
これが利益モデルなのかどうかというのは、正直疑問だ。
社員1人1人に起業家精神を持たせることが、このモデルの肝なのだが、モデルというよりマインドの問題だ。要は、マインドというものも、モデルとかと同じように、利益構造に大きく影響を与えるのだ、ということをい言っているのだと思う。確かにそうだ。
(9) スペシャリスト利益モデル
EDS(エレクトロニック・データ・システム社)→システムインテグレーション分野を角立した企業。
ヘルスケア、銀行、製造業といった事業分野を選び、それぞれについて、自社のサービス提供コストだけでなく、顧客のビジネスポロセスやコストを隅々まで調べ、個々の詳細な数値を掴む。特定の業界や分野に特化し、その分野について深く深く入り込み、知識をつけることで、オペレーションコストの削減や、競合他社に対して優位な値付けなどが可能となる。
スペシャリスト化した企業は、提供する商品やサービスのメニューを細かく作れることで、より適切で有利な価格設定を行うことができるようになる。
このモデルと、下に出てくる「経験曲線利益モデル」「専門品利益モデル」が組み合わさると、より大きな利益ゾーンを創出できるのではないだろうか。
(10) インストール・ベース利益モデル
これはわかりやすい。有名なところでは、かみそり。あとコピー機、浄水器とフィルターとか、よく見ていくとこういうモデルを採用してるところは多い。
最初にインストールされた製品によって、その後、その製品を利用していくために必要な消耗品などによって稼ぐというモデル。
最初の製品の売買時には、買い手に選択権があるが、その製品を購入した後では、売り手が主導権を握ることになる。つまり、エプソンのプリンターを購入したら、エプソンのインクを買い続けなければいけない、というようなことだ。
ボクは、個人的にこのモデルがすごく好きだ。なんか非常に仕組みとして考えられているモデルだと個人的には思っている。肉を切らせて骨を立つというか、ビジネスの組み立てとしてすごく優れたアイディアだと思う。
(11) ディファクト・スタンダード利益モデル
このモデルの典型がマイクロソフト。誰もがディファクト・スタンダードになりたいと思っている。
何かのディファクト・スタンダードになれば、それを基点としてあらゆるところに収益のストリームを作ることができる。マイクロソフトなら、OSのアップデートはもちろんだが、周辺ソフト、周辺機器、それらを作るためのライセンスやらなんやらかんやら。OSというコアのディファクトになることで莫大な利益がもたらされる。
このモデルの肝は、一度ディファクトができてしまうと、マーケティングコストが極めて安くつくというところだ。ボクらも、創業当時、全員マックを使っていたが、お客さんの大部分がWindowsという状況で、最初、仕方なしにWindowsも使うようにしていったという過去がある。マイクロソフトが販促やマーケティングコストをかけなくても、それを使わざるを得ないような環境や圧力が自然と生まれるわけだ。
(12) ブランド利益モデル
ブランドによって価格プレミアが付けられる。
例えば、トヨタとGMの合弁会社NUMMIは、同じ工場、同じ労働者、同じプロセスで2つの名前を持っていた。トヨタのネームプレートを付けた乗用車はGMのものより一台あたり300ドル高い値段で売れる。(NUMMIは、もうなくなってしまったけど)
ブランドを作ることで、そのブランドネームが付加価値になる、競争優位になる。
ブランド構築のために、長い年月をあけて莫大なマーケティングコストを投下する必要があることは言うまでもないが、そうやって気づいたブランドをうまく活用すれば、様々な利益モデルが組み立てられる。
最近だと、「バンテリン」が、そのブランドを色々な製品に拡張したりしてる。
肩こりや、痛みに利く、ってところのブランドイメージから、内服液にもこのブランドを付けることで、より疲労や筋肉痛などに利くというイメージを持ってもらい、それが内服液自体の差別化になるというような感じだ。
(13) 専門品利益モデル
専門的な新製品(ユニークなニッチ製品)のバリエーションを増やす。ニッチ製品ということで汎用品よりも高い価格プレミアムを得ることができる。
ニッチとはゆえ、時間が経過すれば特許権が喪失したり、儲かるとわかれば競合参入も増えてくる。なので、このモデルも時間利益モデルと同じく、いかに、次のニッチ製品を産み出していけるかというR&D領域のマネジメントが重要だ。
(14) ローカル・リーダーシップ利益モデル
単純にある特定のローカルで圧倒的なシェアをとってしまうというモデル。
スターバックスやウォルマートがそれにあたる。一定の地域に集中して店を出して、その地域の同業他社を駆逐する。特定地域に集中することで配送コストやマネジメントコストも軽減され、また販促や宣伝費用も抑えることができる。集中出店のあと、同業他社が駆逐されれば、店の数を減らしたりというような調整をしたりすることもある。
これは「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books) 」(ストーリーとしての競争戦略 – papativa.jp)にも事例として取り上げられていた。
なぜ、スターバックスは特定のエリアに集中して店を出すのか。そんなに近くに店を出して店同士でバッティングしてしまわないのか。店舗を増やすのになぜ、フランチャイズシステムを採用しないのか。など、スターバックスの戦略の裏にどのような一貫したストーリーが流れているかを明らかにしたもので、かなり興味深いものだった。
(15) 取引規模利益モデル
取引規模が大きくなればなるほど1件当たりの売上の上昇が1件あたりのコストの上昇より急勾配になる。広告会社などは大きい取引の仕事を獲得できればできるほど、大きい利益を生み出すことができる。
このモデルのポイントは、リスク負担だ。大口顧客に集中するあまり、小規模取引も取りこぼして、且つ大口顧客も獲得できないということもある。そのリスクを取ってでも、大きい取引の獲得に集中できるかどうか。
そして、このモデルでは何よりも大口顧客との関係作りが最も重要な要素となる。取引の開始前に当たっても、あるいは取引開始後も、いかに取引先との関係を密に保てるか。
面白いのは、「オープン・ドア・シンドロームの克服」も重要であると指摘しているところだ。
つまり、大きい取引を獲得するために、リスク負担や、忍耐、関係づくりといったことをやってきて、ようやく念願かなって何か大きな取引のチャンスが扉が開いた時に、その扉をくぐらない、というようなことが起きる。それが「オープン・ドア・シンドローム」だ。
確かに、大きい取引の仕事は、喉から手が出るほど欲しいだろう。しかし、取引を開始したらしたで、それを自社できちんと処理していけるのか、対応していけるのか不安に苛まれ、取引を辞退してしまうということだってあるだろう。しかし、このモデルの肝は大きい取引の仕事をするということで、そのために様々な取り組みがあるわけなので、チャンスが開けば、そこには勇敢に乗っかっていくということも、必要不可欠なことなのだ。
(16)価値連鎖ポジション利益モデル
バリューチェーンにおけるもっとも重要なポイントをコントロールすることで大きな利益が生み出されれる。実は、多くの業界で利益は、バリューチェーンの中の限られたポイントに集中すると言われてる。
マイクロソフトとインテル陣営は、パソコンビジネスの中でのコントロールポイントを押さえているからこそ、ほとんど利益がでないこの業界で莫大な利益を生み出している。スイッチボード利益モデルで上がったハリウッド映画においけるオーヴィッツも同じくだ。
(17)景気循環利益モデル
このモデルを図なしで説明するのは難しい。言葉だけで捉えると、景気の上下の波をどう利用するかというようなモデルに思えるかもしれないが、ニュアンスは少し違う。
景気循環利益モデルで成功している代表企業はトヨタだ。他社よりも安いコスト、固定費を実現することで利益を生み出す。他社よりほんの少しでも原価が安い、固定費が低いということによって、莫大な利益を生み出すことができるというモデルだ。
(18)販売後利益モデル
価格が高く、価格の幅が大きく、そして選択肢が多い場合に価格感応性が高くなる。
逆に、価格が安く、価格の幅が小さく、そして選択肢が少ない場合に価格感応性は低くなる。
販売後利益モデルが大きな利益を生む理由はここにある。
コンピューターや乗用車、コピー機、工業機器などの製品の売買取引では、買い手の価格感応性が最も高いゾーンで行われている。買い手は少しでも安い価格で製品を手に入れようと考えている。
ところが、最初の取引が成立すると、それまで存在しなかったフォローアップ製品の重要が生じる。
これらの製品の価格感応性は低い。
モデルとしては「インストール・ベース利益モデル」と似てて、あまり区別が付かない。
ただし、インストール・ベース利益モデルでは、製品メーカーが利益を得るのに対して、販売後利益モデルでは、製品メーカーに限らない。ある製品のフォローアップ製品として、新たなミニマーケットが誕生し、そこに利益を生み出せるビジネスが出てくるというところだ。
(19)新製品利益モデル
「市場がゴールドラッシュを迎えたとき、底のほうで利益の爆発が起きる。利益率は高く、販売量は急増する。二つを掛けあわせれば利益の大海原が広がる」
時間利益モデル、専門品利益モデルと混同されやすいモデルとして、以下のような違いの説明がなされている。
▼時間利益モデル
サイクル:24ヶ月/必要な能力:スピード/たとえ:レースカーの運転
モットー:バックミラーに後続車が写ったらアクセルを踏め
例)半導体、家電、金融商品
▼新製品利益モデル
サイクル:60ヶ月/必要な能力:資源のシフト/たとえ:サーフィン
モットー:最後の波から真っ先に降り、次の波を真っ先につかまえろ
例)自動車、コピー機
▼専門品利益モデル
サイクル:120ヶ月/必要な能力:選択/たとえ:地震観測
モットー:最も豊かな油田を見つけろ─顧客のニーズと技術的な実現可能性があり、過当競争がない場所
例)特殊科学製品、医薬品
(20)相対的市場シェア利益モデル
GM、IBM、GEなど。
相対的な市場シェアが高い企業は、
・製造における規模の経済性が働き、コスト競争力を持てる
・購買における優位性を得ることができ、安い価格で材料等を購入できる
・マーケティング、宣伝活動でも大量に資源を投入でき、製品1個あたりのコストは最も低くできる
・ユニット当たりの間接費や研究開発費が最も低くなる。
・優秀な人材のリクルーティングに有利である
など、相対的なシェアを最大化させることで、様々なメリットが生まれ、それが利益の創出に関係していく。
ランチェスター理論は、市場シェアでの競争戦略論だ。いかに相対的市場シェアを高くすることで、有利な戦いが行えるかということを分析している。「相対的」なので、自分たちが勝ち易い、シェアをとりやすい分野、テリトリーをどのように設定するかということが重要なポイントになる。
それは特定の製品かもしれないし、特定顧客層かもしれないし、あるいは地域かもしれない。どこかのレイヤーや領域でナンバーワンを作りだせば、それが多くのメリットを引き寄せてくれるのだ。
ローカル・リーダーシップ利益モデルは、ある意味、地域やエリアでの「相対的市場シェア利益モデル」と言えるのかもしれない。
(21)経験曲線利益モデル
経験の累積によってコストが削減されたり、スピード化されたたりで利益が生まれる。
経験曲線利益も相対的市場シェア利益も、市場で優位に立つことが目的のモデルと言える。
しかし、一般的には経験曲線利益モデルだけで、利益を生み出すというのは、今や至難だろう。経験曲線利益モデルに何かが組み合わせていく必要があるのではないかと思う。
(22)低コスト・ビジネスデザイン利益モデル
文字通りビジネスを圧倒的に低コストで運営することによって利益を創出するモデル。
経験曲線利益モデルは、学習量の総体によって結果的に低コストを実現していくようなモデルだとするならば、低コスト・ビジネスデザイン利益モデルは、その市場のビジネスモデルや業界平均みたいものを完全に時代遅れにしてしまうようにビジネスそのものの根本を変えることを意味する。
中距離航空会社のサウスウェスト航空や、直販モデルのDELLなど。後発参入するからこそ、そもそも先行する競合たちとはまったく次元の異なるモデルを構築して参入し、競合を駆逐していく。
(23)デジタル利益モデル
「デジタル」に移行することで何十倍もの生産性を実現し利益を生み出す。
もちろん、「デジタル移行」は生産性の向上だけではない、様々なメリットを生み出すだろう。これはこの業界に属する人たちなら言わずもがな。
■最後に… いとこ同士の利益モデル
●インストールベース利益、デファクト・スタンダード利益、販売後利益
●時間利益、新製品利益、専門品利益
●相対的市場シェア利益、ローカル・リーダーシップ利益
●ブロックバスター利益、取引規模利益
●マルチコンポーネント利益、利益増殖
●経験曲線利益、スペシャリスト利益
本書の魅力は、単にモデルをチャート化したことだけではない。このまとめではきちんと触れられていないチャオとスティーブの掛け合い、チャオが各モデルでの利益のあり方を悩みながら答えていくその様に、様々な発見があり、ヒントが隠されていると思うので、ぜひ本書も手をとって頂きたい。
また、利益モデルについては、こちらの本のほうが新しいパターンが組み込まれていて幅広いものになっているが、利益モデルの構造や詳細な分析は、「プロフィット・ゾーン経営戦略―真の利益中心型ビジネスへの革新」(プロフィット・ゾーン経営戦略―真の利益中心型ビジネスへの革新 – papativa.jp)の方がオススメ。
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