7つの習慣:主体性を発揮する

4906638015「7つの習慣」を再読し、以前に読んだときよりもさまざまな面で深く感じ入るところがあった。本書の冒頭で「パラダイム」という言葉がでてくるが、今の自分が持っている「パラダイム」と、前回読んだときの「パラダイム」が大きく違うのだろう。その違いが、本書の内容の受け止め方や理解の度合いを大きく変えるものだったのではないかと思う。

より理解を深めるために、「習慣ごと」に分けて本書を要約してみようと思う。

インサイド・アウトとは

「7つの習慣」はより充実した、成功した人生を掴むための原則を著した本だ。
そのアプローチの原則とは、「インサイド・アウト」である。インサイド・アウトとは、自分自身の内面(インサイド)を変えることから始めるという方法である。自分自身を変えることによって、私的成功を得る。私的成功を得ることが公的成功につながるという考え方だ。

「インサイド」を変えていく最も効果的な方法が「習慣」をつくるということである。

「私たちの人格は、繰り返される習慣の結果として育成されるものである」(P.50)

「7つの習慣」の原則

本書で語られる「7つ」の「習慣」を日々の生活に折込み、実践していくことで、人は「依存から自立へ、そして自立から相互依存へと成長していく」(P.54)
この段階は必ず段階的であり、当然ながら依存状態を脱していなければ自立できず、自立できていない人は相互依存状態を得ることはできない。この自立から相互依存への段階的な成長は、先ほどの「私的成功」から「公的成功」への流れとシンクロしている。
「依存→自立」によって私的成功(1)を得て、「自立→相互依存」によって公的成功(2)を実現する。

「7つの習慣」もこの段階ごとに記述されている。
第一、第二、第三の習慣は(1)を、第四、第五、第六の習慣は(2)を達成するためのものである。基本的には第四~第六までの習慣は第一~第三までの習慣の土台に築かれるのだ。

P/PCバランスについて

「「7つの習慣」は効果性の習慣である」(P.61)

習慣性が効果性の向上に結びつく。著者は効果性には二つの側面があると考える。

目標達成(Performance)
目標を達成することまたは結果を手に入れること
目標達成能力(Performance Capability)
その結果を手に入れるために使う資源(物的、金銭的、および人的な資源)あるいは目標を達成する能力
効果性とは、P/PCのバランスにある。どちらか一方を重視し、もう一方を軽視することは長期的な効果性を弱体化させるだけである。このバランスを”P/PCバランス”と呼ぶ。本書では何度も登場する原則の一つだ。

組織においてもP/PCバランスは重要である。Pを重視しPCを軽視すれば、短期的なPは達成されるかもしれないが、PCは弱まり、将来的なPを失うことになりかねない。

ここまでが「7つの習慣」の前提となる考え方、「原則」についての原則だ。

第一の習慣:主体性を発揮する

「7つの習慣」の第一の習慣は「自己責任の原則」だ。

今の状況や問題を他人や外的環境などの責任とせずに、自身の責任として引き受けることである。そのためには主体性を発揮しなければならないと著者は言う。
主体性とは「自身の価値観に基づき行動」し、「自分を取り巻く状況そのものを自分で創り出」そうとする率先力を有するものだ。

「人間は刺激と反応の間に選択の自由を持っているということである。この選択の自由のなかにこそ、人間の人間たる四つの独特な性質<自覚・想像力・両親・自由意志>がある。」(P.84)

何か問題が起きたとき、自分ではどうしようないと思えるような困難な事態に直面した時、人は安易に「どうしようもない」「仕方ない」「○○○でないとだめだ」「○○でさえあったら」というような言葉を吐く。

これらの言葉は「反応的」な言葉だ。主体的に生きる人間は「主体的な言葉」を発しなければならないと著者は言う。「刺激と反応の間」の「選択の自由」こそが主体的に生きる人間性がある。
そして、主体的な言葉が「自己達成予言」となり、自分の人生を自分自身で創り出すという前向きな姿勢を得ることになるのだ。

反応的な言葉と主体的な言葉の対比を著者は以下のような例であげている。
反応的な言葉主体的な言葉
どうしようもない代替案を考えてみよう
生まれつきだほかのやり方が選択できる
あいつは頭にくる自分で自分の感情をコントロールする
そういうことが認められるわけはない果的なプレゼンテーションをしょう
しなくてはならないそうすることに決めた
できない選択する
○○でないとだめだ○○の方がいいと思う
○○でさえあったら私が○○をする
さて、主体性に対する自覚を高めるにはどうしたら良いか?
著者は関心の輪を描くことだと言う。

自分が関心を持っている事柄と関心を持っていない事柄を振り分け、関心の輪のなかに入っている事柄を見つめる。関心の輪のなかをよく見つめればそこには自身がコントロールでき、そして影響をあたえることができるものがあるということが理解できる。

つまり、関心の輪の中には、その中に含まれる「”影響の輪”」があるということだ。

「主体的な人は、努力と時間を影響の輪に集中させ、自らが影響できる事柄に働きかける。その結果として、影響の輪が大きく広がることになる」(P.103)

私たちの直面する問題には、三種類あると著者は語る。(P.108)
影響の輪を意識し、それを広げるよう自身から主体的に働きかけることができれば、これら三種の問題はすべて解決できる。
  1. 直接的にコントロールできる問題(自分の行動と関係している問題)
  2. 間接的にコントロールできる、あるいは影響できる問題(他人の行動と関係している問題)
  3. 全くコントロールできない問題(誰も影響できない問題、過去の出来事)

これら三種類の問題を解決する第一歩のすべてが、自分の影響の輪の中に入っている。
直接コントロールできる問題
習慣を変えることによって解決される。第一~第三の私的成功に関わる習慣に解決がある。
間接的にコントロールできる問題
影響を及ぼす方法を変えることによって解決される。第四~第六の公的成功に関わる習慣に解決策がある。
全くコントロールできない問題
自分の態度を変える必要がある。
解決の第一歩はつねにわたしたちの手に委ねられているのだ。

では、影響の輪に働きかけるとはどういうことか?

影響の輪の最も中心にあるものは約束をし、それを守る力である」(P.118)
約束をし、それを守ること/目標を設定し、それを達成するために働く、この二つに取り組んでいくことで、内的な誠実さが育成され、自尊心・自制心・勇気が沸いてくる。

刺激と反応の間の選択の自由に主体的に働きかけ、課題や問題は自分自身が状況に働きかけることによって改善・解決していくことができるという信念を持つ。そしてつねにその信念から自身の影響の輪を広げようと働きかけていくこと。
そのための基礎として、「約束をし、守る」「目標を設定し、達成するために働く」を些細なことからでも初めてみる。

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コメント

  1. 正しい生き方なくして真の成功はあり得ない

    タイトル:7つの習慣(前編)

    著者:スティーブン・R・コヴィー

    出版社:キング・ベアー出版

    7つの習慣―成功には原則があった!

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