「SOIL」(カネコアツシ)完結。

475771713XSOIL」最近ようやく完結した。ボクは昨年にパートナーさんから10巻まで借りて一気に読んでいたのだけれど、この度11巻で完結したということで、わざわざそのパートナーさんが11巻を持ってきてくれた。早速11巻を読み始めたのだけれど、10巻までのストーリーをまったく覚えてなくて、何がなにやらさっぱりわからず、結局、1巻から読み直すことにした。昨年夏に読んだばかりなのにストーリーを忘れてるぐらいだ。これを貸してくれてるパートナーさんも、多分、11巻を買って読んだはいいものの、忘れててよくわからないところがいっぱいあったのではないか。GWに一気に読みたいと思ってるけれど、早く返してとは言いづらく言えないのではないかなどと、いらぬ勘ぐりをなどして、これは早く全部読んで全巻を返さねばと思い、一気に読み通した。結果的には、頭から一気に読み通して良かったと思う。物語全体の世界観や、ストーリーのつながりなど、細かいところも色々と分かったからだ。

(以下の文章、少しネタバレ要素もあり)
最初に大きな謎が提示される。郊外の清く正しく明るく美しい町「そいるニュータウン」。そこで大規模な停電が発生したある夜、一組の家族と警察官が突然、跡形もなく姿を消してしまう。そして、なぜか学校の校庭には巨大な岩塩の山が出来き、その山頂には、姿を消した家族が飼っていたとハムスターの心臓と思われる内蔵が見つかる。
なんと摩訶不思議、魅力的な「謎」だろう。謎のスケールが大きいのだ。事件は、「そいるニュータウン」の人間関係などを絡めつつ、謎にさらに謎が重なり、どんどん拡散していく。途中、おいおい、ここまで風呂敷広げて大丈夫かい、畳み方は考えてんだろうな、と余計な心配などをしてしまうが、「異物」という概念が出てきて、ついに「異物」の核心が暴露されるところあたりから、ストーリーは俄然面白くなってくる。過去と未来が連鎖して、ある時空とある時空がつながる。「異物」を排除しようとする企てと「異物」を導き入れようとする企て、その両者がともに、いつの間にか「異物」そのものと変容していく。
そう、この物語を一貫して貫いてるのは、日常と異物、表と裏、過去と今、シニフィアンとシニフィエ、というような二項対立や、追いかけるものと追いかけられるものの関係がいつの間にか入れ替わったり、無効化されたりしてしまう様相だ。その最たるものが、謎そのものが解かれるべきではない、それは解き明かされないからこそ「謎」であり、「謎」であるからこそ意味があるというパラドクスだろう。

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