ブランディング360°思考

セスの本を読んで、そういえば『ホリスティックマーケティング』やこの本にも同じようなことが書いてあったなぁと思い出した。

ブランディング360度思考
マーク・ブレア, オグルヴィ&メイザー・ジャパン, メイザー・ジャパン



おすすめ平均ブランドで世界を覆う
アジア各国のブランディング事例が面白い

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「ホリスティック・コミュニケーション」は社内のデザイナー陣にもウケが良かったようで、自主的に勉強会なども開いてくれたりした。「ホリスティック・コミュニケーション」を面白いと感じたなら、この本も読んどいたほうがいいんじゃないかということで、随分前に読んだ本だけれど紹介しておくことにする。

実践的なブランディングアプローチ手法とその事例が紹介されている。特にアジアを中心とした事例は面白いし参考になる。
「ホリスティック・コミュニケーション」の勉強会でもそうだったけれども、「ホリスティック」というような抽象的な概念は、何かしらの定義や言葉よりも、近い事例をいくつも知っていくほうが、イメージはつきやすいのではないだろうか。
新しいブランディングのあり方やコミュニケーション活動みたいなものも、理論や考え方も大事だけど、やはり事例から学べることのほうが多い。その意味では本書は事例と理論のバランスも良くて「教科書」としては丁度良い。

本書で展開されている考え方もいわば「ホリスティック・コミュニケーション」と同じだ。本書では「360°ブランド・コミュニケーション」というような言葉が使われているが根っこはまったく同じだろう。たとえば、メディアプランの考え方。
「リーチ(延べ人数)やフリクエンシー(ヒット数)、原稿サイズやレスポンス率を忘れて、ブランドが消費者の暮らしのどんな場面、行動、態度に、どんな風に寄り添えるのかについて考え」(P.179)てみることだと提唱している。「ホリスティック・コミュニケーション」のなかで「クリエイティブこそがメディアになる」というような言葉がでてくるけれども、ここでも同じことが語られている。(オグルヴィでは「クリエイティブ」という言葉は「アイディア」という言葉で表現されている。)
そして、「ブランド管理とは、もはや(代理店から提案されたCMの)ストーリーボードにOKを出すことではなく、社会全体でのブランド体験を包括的に管理することである」(P.20)という言葉は、まさしく、「ホリスティック」だ。

しかし、「ブランド」というと、何かクソ難しい理論や概念のように思えるけれども、本書のベースはいたって単純だ。それはブランディングとはロイヤルティを築き、維持することであり、高いロイヤルティは「選好」をもたらし、売上につながる、という考え方だ。まったくもって当たり前のことだけれども、この基本から外れてしまったらどんなにすばらしいアイディアであっても、クリエイティブであっても何の意味もないだろう。

そして、「効果的なブランド体験を創り出すには顧客の「インボルブメント」を高めなければいけない(P.160)」
「真のインボルブメントとは、2つの重要な局面──インテンシティ(強烈さ、ブランド体験をより記憶に残るものにする)とインタープレイ(相互作用、様々な接点を利用して、ブランド体験全体を増幅する)──を強化して、を創り出すものだ。」(P.160)

「ホリスティック・コミュニケーション」のなかにも
消費者のコンタクト・ポイントに応じて、クリエイティブやメッセージ表現を微妙に変えて発信していく。こういう立体的な風景(ランドスケープ)づくりというものが、これからの情報装置としての広告に必要になってくるのではないでしょうか。(P.142 秋山)
「商品」自体が、まず、価値のメディアであるとも言えるわけだが、その価値を増幅するための情報環境づくりが、これからの広告や、マーケティングのテーマになってくる。(P.149)

というような表現がされていて、このあたりはセスの主張にも通じることだ。
結局のところ、企業活動すべてがマーケティングだということなのだ。商品そのものがマーケティングだし、その商品の認知をどのように獲得していくのかというだけでなく、どう消費者の生活のなかで接点を獲得していくのか、デザインしていくのか、すべてに「最適」が求められる。

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