HubSpotのプロダクトについて

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ
4822248526

最近、HubSpotが注目されるようになってきた。
HubSpotは中小企業向けにWebマーケティングを実践していくためのアプリケーションを提供している。著名な投資家や会社が投資していることや、会社も急成長を遂げていたりで、何かと最近、あちこちのブログや書籍で取り上げられるようになってきた。

ほぼ日刊イトイ新聞 – “Unusual(変わってる)…”
糸井さんが推奨して話題にもなってるこの本(グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ )の著者はHubSpotの経営者だ。


会社の成り立ちとか文化的なところとか、自ら提唱する「インバウンド・マーケティング」を実践して高い効果を上げるとか、色々興味深いところがある会社だけど、ボクが一番面白いと感じているのは、ブログツールやソーシャルメディア管理ツール、メールマーケティングツールを、個々のツール・プロダクトとしてではなく、統合してインバウンドマーケティングのためのツールと位置づけてしまったことだ

ブログツールにせよ、メールマーケティングツールにせよ、彼らが提供しているツールはある種、成熟市場に位置づけられるものが多くある。各分野内での競合も多く、非常に激しい競争が繰り広げられている。専業会社のツールはとてつもなく優れたものがいっぱいある。

でも、HubSpotはそれをそれぞれサービスをそれぞれサービス分野の商品として勝負するのではなく、それらを統合して「インバウンドマーケティング」を実践していくためのプラットホームとした。簡単そうだけど、これはけっこう凄いことだと思う。

見渡してもそういうツールは実はあんまりない。ブログツールならブログツールとしての進化をとげて、色々な機能が搭載されていくし、メール系のツールもCRMやらキャンペーンマネジメント機能やらと、メールを入り口として、周辺機能やサービスはどんどん充実してたりするけど、こういったツールをいい塩梅に統合してるものは殆どない。(ボクは知らない)

結局、ブログやらメールやらソーシャルメディアやら、アクセスログ管理やら、それらの管理ツールやサービスを使うのは、そもそもマーケティングのためでしょ、究極はWEBで注文もらったり、契約取ったり、見込み客集めたりするためじゃないの、と。
そういう中小企業さんの目的に絞って、その目的を達成するために必要なものを全部統合してしまう、というのがHubSpotの商品戦略だ。インバウンドマーケティングの基本は、とにかくコンテンツ(ブログやらホワイトペーパーやら動画やら)を作って、それをソーシャルメディアなどを媒介に拡散させていって、見込み客を自社サイトに集める、というところにある。HubSpotは、究極的にはこういう活動を全部HubSpotのプロダクトと周辺アプリだけで完結できるようにしようとしている。

個々のツールの機能を洗練させるのではなく、それらのツールを全部組み合わせて、「一箇所で事足りる」ようにするというところに価値を置いたのだ。

HubSpotの個々のツールが、それぞれの専業ツールより高機能とういうことはないだろう。多分、どれも良い意味で「普通」なんだと思う。そこそこのレベルをクリアしてる、というと語弊があるだろうか。「全部入り」のサービスで、すべての面で専業メーカーのツールに機能面で勝つことなんてのは、まぁ出来ない。当たり前だ。

でも、重要なのは、個々のサービスの機能ではない。
すべてをHubSpotだけでまかなえるという利便性だ。必要な機能が「普通」に連携して、一つの管理画面・機能として使えることの手軽さや利便性だ。

ブログはこれ、ソーシャルメディア管理はこれ、メールマガジン配信はこれ、アクセス解析はこれ、、、みたいに、それぞれのツールで、それぞれの管理画面があり、管理機能があり、それらを手動なりシステム的になり連動させて利用するよりは、どうだろうか。多少機能面が不足してても、一箇所にまとまってるほうがありがたいと思う人は多いはずだ。

大企業なら個々の領域で担当がついて、よりハイレベル、ハイクオリティを目指すのかもしれないが、大部分の中堅・中小企業は、数人、下手したら1人ですべてのマーケティング施策に対応しなければならない。どれだけ、個々のツールが優れてても、安くても、それぞれで管理していくのはやはりかなり大変なことなのだ。

ボクらも色々なプロダクトを提供しているのだけど、プロダクトの属するジャンルとかサービスの単位で市場を見ると、ついついどんどん袋小路に入り込んでいくというか、必要な機能レベルは再現なく増えていく。その分野での最低限、選ばれるポジションにいるには、必要最低限の機能というものがあって、その必要最低限の機能が、すでにかなりのレベルを要求されたりするのだ。
でも、すこし視点を逸らしてみる、ちょっとジャンルの括りを変えてみる、ということをするだけで、実は、求められる機能やサービスは全然違うものになったりするんじゃないだろうか。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です