不採算顧客で儲けるビジネスモデル?

ハーバードビジネスレビューphoto credit: 만박 via photopin cc

Harvard Business Review(HBR)の6月号は「マーケティング戦略の再発見」という特集テーマだ。

「不採算顧客で儲けるビジネスモデル」も、とりたてて目新しいところはない。同一業界カテゴリーにおいて、他者があまり手を出したくないような顧客をターゲットとすることで成長していくという例は、この論文中にもあげられていたが、サウスウェスト航空の事例に留まらず、探せばいくらでもある。
ただ、「不採算顧客で儲ける」という言葉が魅力的なだけだ。他社にとっての「不採算顧客」をいかに自社の「優良顧客」にするかという視点設定は、「ニッチを狙う」とか「オンリーワンになる」といった掛け声と同じようなものだろう。

不採算顧客で儲けようと考えるとき、そこには不採算顧客にむけた全ビジネス活動のフィットが必要だ。サウスウェスト航空が成功したのは、何も「不採算顧客」にターゲットを設定したからではないし、低価格中距離航空会社という事業コンセプトがすばらしかったからでもない。サウスウェスト航空の成功を見て、大手航空会社も同じことを始めたが成功しなかったのはなぜか? それはビジネスの概観だけを繕い、真似たにすぎなかったからだろう。ポーターも分析しているように、サウスウェストの成功は、自身のビジネスモデルを強化するために、事業における全活動の最適化がはかられ、それぞれの活動を通じて、自社の強みをより強くするための戦略が実行されているからなのだ。

飛行機の型を統一するとか、機内食を出さないとか、席順を決めないなどなど、あげればきりがないが、細かい個々の業務活動を通じて「戦略」が「実行」されているわけだ。

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