システム思考のマーケティング

こちらはマーケティング活動では全体最適化が大事だよ、といってるだけだ。「システム工学的に」というと難しそうに聞こえるが、(なんでHBRとかの論文ってのは、簡単なことをわざわざ小難しい言葉で語るのか? 難しく語るほうが賢そうに見えて、権威付けができるからか?) なんてことはない。全体的な目標を設定し、その目標にそって、それぞれのキャンペーンへのリソース配分、役割づけを行わなきゃならないと言ってるだけだ。
もちろん大企業ではこれはなかなか難しい。自社のマーケティング活動すべてを俯瞰して、計画だて、リソース配分できるようなマーケターってのはあまりいないからだ。

「システム工学的」アプローチをとったことで、USPS(アメリカ郵政公社)の「プライオリティ・メール」サービスは大成功したという事例。3つのフェイズにわけ、第一フェイズでは、マス広告を用いて、オンライン小売企業がプライオリティ・メールを使っていることを広く訴える。第二フェイズは業界紙、ダイレクトメール、ウェブサイト、テレマなどを使い、ダイレクトマーケティングを展開。プライオリティ・メールへの乗り換え方法、その理由を語りかける。第三フェイズでは、コミュニケーションターゲットを「小売業者」から、「消費者」に変えて、再びマス広告を展開。さらにダイレクトメールなどで、消費者にプライオリティ・メールに変えるよう小売業者に訴えよう、というキャンペーンを展開する。(実際に消費者が小売業者に訴えたかどうかはわからない)

確かにコミュニケーション戦略としては見事だろうけど、これって普通の成功事例じゃないだろうか。「システム工学的」などとあらたまってはいるけど、話は「プライオリティメール」のシェア向上を目指したキャンペーン展開のロードマップを描いたというだけじゃないか。
まぁ、欧米の広告会社はダイレクトマーケティングや、ブランディング、メディアバイイングというように機能特化型がほとんどなので、統合的なコミュニケーション戦略を実践していくのは、難しいことも多いのかもしれない。
日本なら、この手の戦略ロードマップというのは特に珍しいとは思えない。(とはいっても、SP局とメディア局、プランニング局、インタラクティブ系メディア局といったところが一つのプロジェクト内で、全体のキャンペーンシステムの「サブシステム」として、機能的に動いて、プロモーションを展開していくというのはなかなかむずかしく、プランニング段階まではできても、その後は絵に描いた餅になっているケースも見受けられるけど)

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