マスターフーズリミテッドのマーケティング

マスターフーズリミテッドが特定の犬用ドッグフード「パーフェクトフィット」を発売する。(日本経済新聞)
発売するのは、ミニチュアダックスフンド、チワワ、シーズーの三種類。ミニチュアダックスなら「関節に負担がかかりやすい胴長の骨格と食欲旺盛な性質に対応」なんて具合。
オープン価格で店頭では1キロ入り千数百円の見込み。

うまいなぁと思う。ペット産業自体はすでに飽和に近づきつつあるという報告もあり、今後の人口増減を考えても、国民一人あたりのペット数が大幅に増加するなんてことはありえそうにもない。ということで、まず「ペットフード」での細分化が始まった。特定犬用に特化することで新しい付加価値を生み出そうということか。発売される三種類についても、おそらく精緻なマーケティングデータから設定されているのではないかと思う。
飼い主がペットに投じる金額であるとか、ペットに対してどのように接しているのか、あるいは国内で飼われている頭数、飼っている人の属性傾向などなど。

マスターフーズは、確か「シンプルマーケティング―市場の原点を見極める15の法則」のなかでもマーケティング上手な会社として採りあげられていたと思う。
マスターフーズは「スニッカーズ」の発売元でもあるけれど、それぞれのブランドを完全に独立して扱うことで、「犬が食べるもの」と「人が食べるもの」を一社で扱いながらも、消費者に衛生上の問題や、倫理的なところに考えが及ばないよう上手くコントロールしている云々。

マスターフーズリミテッドのウェブサイトでは、「ペットケア製品」と「スナックフード製品」が混在して表現されている。
「スニッカーズ」や「ぺディグリーチャム」をマスターフーズが販売していることを一般消費者はほとんど知らないだろうから、このウェブサイトに訪れるのは、「マスターフーズ」という会社に関して何かしらの情報を求めているのだろう。

ペディグリーチャムはちゃんと独立したサイトで展開している。「m & m’s」も同じく。マスターフーズのつながりはフッタレベルにとどめられており、まったく別々のブランドとして、そのブランド固有の世界観をだそうとしている。
なるほど。このあたりもマスターフーズはリアルでのブランドマネイジメントをうまくサイトの運営に適応しているといえるのかもしれない。

ブランド・エンジニアリン」の中で、片平さんが指摘していたが、たとえば、BMW。BMWは「BMW」というコーポレートブランドでもあるし、BMWのさまざまなシリーズの自動車の総称的ブランドでもある。BMWのウェブサイトで徹底されているのは、そこに「MINI」の影がまったくないことだ。BMWのウェブサイトは、BMWという会社と、BMWという自動車のブランドを求めてくる人に向けられている。また、MINIのサイトにアクセスしてもそれは同じで、そこにはBMWの影は全くといっていいほど排除されている。
「Webサイトはブランドを映す鏡だ」というようなことを片平さんが仰ってた。ブランドの個性の理解や、各ブランドごとの関連性、ブランドと消費者の関係性などをきちんと理解していないと、それをWebサイトに反映できないということだ。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です