SNSの歴史に新サービス導入のタイミングを考える

greeの歴史によると、

2004年2月21日 田中良和が個人サイトとして「GREE」アルファ版を公開
2004年3月30日 GREEのユーザー数が1万人を突破
2004年10月12日 GREEのユーザー数が10万人を突破

ということらしい。ボクは2万台のidなので、この3月から10月の間に会員になっている。

一方、mixiは、

2004年2月 ソーシャル・ネットワーキングサイト「mixi(ミクシィ)」の運営を開始

となっていて、あれ、mixiのほうがgreeより随分後にスタートしたイメージがあったのだが、どうもそうじゃないようだ。

CNETのこの記事(「mixiの会員数が30万人を突破–SNSビジネスの基盤着々と進む」)によると、

mixiは2004年2月にプレオープンし、3月3日に正式オープンした。会員数は2004年7月26日に5万人を超えて、約2カ月後の9月16日には10万人を突破、同様に11月25日には20万人を突破した。およそ2カ月間で10万人ずつ増加しているペースだ。

ということなんで、2004年10月ぐらいまでは、greeとmixiは良い勝負をしていた。mixiの方が会員増加ペースは圧倒的に早かったのだが。mixiと同時期に「トモモト」「echoo!」「フレンドマップ」といったSNSもスタートしているが、今はすべて存在しない。
また、調べていて驚いたのだが、ネットエイジがやってた「GOCOO」は2003年12月にスタートしてたのだ。greeやmixiより早かったのに「合コン」「出会い」を全面に出し、有料ビジネスモデルをとろうとしたがゆえにうまく立ち上がらなかったということか。

なるほど、歴史を見ると、必ずしも早くはじめたから有利だというわけでもないのだなと思う。
この国内SNSの潮流のそもそもの源流はアメリカにある。

Wikipediaによると、GoogleのOrkutは2004年1月22日にスタートしてる。招待されたくて仕方なくて、いろんな人に頼んで招待してもらったなぁ。でも全然使わず、結局、すぐにgreeに移り、mixiに移りと引っ越ししていったのだが。

最初の本格的なSNSと言われるFriendsterは2002年11月のスタートだ。(SixDegrees.comが最初のSNSという説もあるが) FriendSterが日本のメディアにとりあげられたのは、Googleの買収提案を断ったとか、そのあたりの記事だろう。この頃はまだブログもそんなに盛り上がっていたわけでもないので、やはり情報流通の中心はこの手の大手ITメディアの記事が中心だったと思う。FriendSterは招待がなくても登録可能なオープン型のSNSなので、今のmixiやgreeのような招待制SNSの最初は、Orkutなのだろうか。

mixi自体は、FriendSterみたいなサービスを日本に持ち込めないかというアイディアから開発が始まったというのはよく語られている話だ。FriendSterを参考にしながらも、それを日本文化になじみやすい形にできるか、それを考えてつくったのがmixiだ。FriendSterやOrkutに足跡機能があったのかどうかは知らないが、初めてmixiの足跡機能を見たときは、かなり衝撃を受けたのを覚えている。

GreeもおそらくFriendSterやOrkutから触発されて開発したのだろうが、Greeはどちらかというと当初は技術思考だったのかもしれない。基本的には海外のSNSが持つ機能をきちんとトレースするというのが当初のGreeだったのではないか。そこにはちゃんと日本語が使える、日本人ばかりいるという価値が示されていた。が、mixiはその一歩先に踏み込んでいた。

さて、mixiがこれほど圧勝してしまったことの理由についてはいろんなところでいろんな説が語られているので、素人のボクが分析してもあまり意味がないが、この歴史は、アメリカ主導サービスのローカライズということを考える際にはすごく参考になる。

日本にはない新しい概念やサービスが登場したとき、それを日本に持ち込めないか、と誰もが考える。
そして、よーいどんでの開発競争が始まる。たいていのサービスは1〜3ヶ月前後で一気に同じ時期にリリースされる。
この中で勝ち残るのは、ごくわずかだ。

その差は、早くリリースすれば良いというわけでもなく、結局、ユーザーにとって利用していて面白く、魅力的な機能、サービスが提供されるものに流れていく。

この手のサービスは、まずGeekを相手にするものが多いので、デザイン周りが非常にシンプルで、必要なものだけが最低限そろえられていたり、という形で始まるケースが多いようだけれど、それではなかなかキャズムを超えられない。キャズムでつまづき、その間に、軽々とキャズムを超えていくサービスが出現したりする。先行者のアドバンテージは一瞬にしてなくなる。

ということを考えると、イノベーターやアーリーアドプターが食いつくレベルの時には、サービス開始時期は実はそんなに問題ではないということなのかもしれない。アーリーアドプターからマジョリティ層に利用層が一気に拡大するときに、その「普通」の人たちにとって魅力的で使いたいサービス、使えるサービスであるかのほうが重要なのではないか。(myspaceがfriendSterを一気に抜き去ったのも、ここでFriendSterのインフラが不安定などのミスをおかしてしまったということも大きいんじゃないか)
どのタイミングがキャズムを超える地点なのか、ということを予測してそこにあわせて、マジョリティをターゲットとした機能拡張やデザインインターフェイスのつくりこみを行っていくこと。このあたりがすごく重要かもしれない。

ただ、あまりにも時期がズレすぎると、今度は機能の差別化では追いつかなくなり、専門分野に特化するなどニッチ路線での勝負となることは間違いないので、タイミングってのはすごく大事なのだが。

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