企業サイトの評価をどう行うか?

日本ブランド戦略研究所が「インターネットの企業の顔の評価」を発表していて、1位がキリンビールとのこと。

2位はトヨタ自動車、3位は日産自動車でした。また、測定した結果を対象企業の業種別平均で比較してみたところ、最も評価が高かったのは食品・飲料業界で、反対に最も評価が低かったのは金融業界

「1社あたりの有効回答数は、企業情報サイトを実際に見て答える人と、見ないで答える人が、それぞれ約300人ずつ、計600人。」を対象として、「コミュニケーション指数」「プレミアム指数」「ロイヤルティ指数」の3点を評価ポイントとして指数化し、この3点の平均を「企業情報サイト指数」として算出するらしい。キリンビールはすべての分野で1位だったそうだ。

僕はこの手の評価はあまり意味がないんじゃないかと思っている。ここの調査方法の詳細は知らないけれど、同じような調査で日経BPコンサルティングなんかがやってる調査を体験したことがあるんで、そちらを例にしてみる。

日経BPコンサルティングでは、継続的にWebサイトのブランド価値評価のサーベイを繰り返している。どこどこのサイトを見てください。という指示のあとに、印象をいろいろと聞かれる形式のアンケートなのだけど、まず、見ないでもアンケートに答えられてしまう。4社、5社のサイトを見比べて、どのサイトが一番良いと思いましたか? 使いやすいと感じましたか? なんて質問はほとんど意味がない。まず回答する人で、その回答のために候補にあがってるサイトを使う人はいないからだ。見る人はいるかもしれないけど、せいぜいTOPページをざっと見て、雰囲気で答えるのがいいところではないか。実際回答した僕がそうだからだ。それとも何かしらそのような適当な回答を行う人の傾向を把握して、排除するようなノウハウがあるのだろうか? でもそういうものって標準偏差をとって把握できるようなものではないの。そもそも回答する人のほとんどが、適当に回答してたら標準偏差そのものが「普通」とはずれるわけだし。

Webディレクターblogさんの「インターネットの「企業の顔」の評価1位はキリンビール」というエントリーにまさにその通りと思う一節があった。。

Webサイトは、見るものではなくて使うものだと思うから、調査をするのでここのWebサイトを使ってみてください。と言われて使う場合と、本当に自分がピンチの時に使う場合とで、その印象が大きく違うのではないかと思います。ありがたみと言うか。

まったくその通りで、Webサイトは見るものではなく使うものだ。そのWebサイトを「見る」だけで評価して何がわかるのだろうか?
こういった調査結果が、企業担当者の成果にも直結してたりして、これがまた発注意向に影響したりする。受注側にとっては、あまりうれしくない。

では、この手の評価で何も調査できないかというとそういうわけではないだろう。

たとえば、アンケートのときに、そのサイトでの利用体験を無理矢理にでも作れるという手がある。何かしらのタスクを与える。そしてそのタスクを実行していなければわからないような質問を何問かする。その上で、サイトの使い勝手や印象を聞く。最初の質問での正解率に基準を設け、ある基準に達していなければ、その人はサイトを利用していないということで切り捨てればいい。きちんとサイトを利用した人だけを対象とした評価が実施できる。

が、もちろんこのような方法でも、Webディレクターblogに書かれてるように「本当に自分がピンチの時に使う場合」を演出することは難しいので、「調査」のときと、実際に使うときでは、まったく印象が違ってしまう可能性はあるとは思うけれども。

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コメント

  1. 調査ウォッチャー より:

    この調査、夏に実施していたのですが、時節柄でしょうかビール券をメインの景品にしていました。
    懸賞サイトで「ビールが飲める!」というように告知されていた調査の結果だったので、
    「そりゃキリンビールがトップになるわな」と思ったのを覚えています。
    このような景品によるサンプリングの偏りについては、ゆで麺さんはどのようにお考えですか?

  2. ゆで麺 より:

    コメントありがとうございます。
    景品などによるサンプリングの偏りも確実にあると思います。

    懸賞などの応募時に「メールニュースに登録しますか?」みたいな質問に対して、「No」と答えた場合には、無条件で外れるんじゃないかとたいていのユーザーは思っているというような調査結果が随分前にどこかで出てた覚えがあります。これと同じようなもので、必ず何かしらのバイアスが掛かってしまうんじゃないでしょうか。

    この手の調査では、こういったバイアスをどのようにして排除するか、あるいは低くするかと、適当に回答したユーザーをどのように見分けて排除するかというロジックがないと、調査としての意味は相当薄いんじゃないかと思います。

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