電通の2月/2008年10~12月の御三家比較

電通の2009年2月度の単体売上高(PDF)が発表された。
全社で前年比で80%割れの79.2%
業務別でも、全媒体で前年割れだが、インタラクティブメディアでも91.3%
マーケティング/プロモーションでも87.4%と、数字だけで見るとかなり厳しい状況だ。
営業所では自動車関連の落ち込みの余波だろうか、中部支社が63.4%と半減に近い状況だ。

少し、専業代理店系の状況も見てみようと各社のIRを見てみた。

セプテーニは、9月決算なので、2009年9月期の第一四半期が2008年10月~12月ということになる。
こちらの発表資料がこちら(PDF)  
セプテーニはネット広告事業で前年同期比で18.3%数字を伸ばしている。(営業利益は-2.5%) 景気影響の波を受けにくい販促関連を獲得していることが要因とのこと。
インターネット関連事業でも+8.4%だ。しかし、レップ部門では一部媒体取扱停止の影響で前四半期比では大幅減収。この一部媒体ってなんだろう?
セプテーニはコマース事業ってのも立ち上げていて、こちらの売上高は想定どおり推移。ただし新規顧客獲得費用のため現状は営業赤字。セプテーニのEC事業ってのを知らなかったのだが、これのことだろうか?
株式会社セプテーニとフィナンシャル・リンク株式会社とのECビジネスにおける業務提携について|プレスリリース|株式会社セプテーニ・ホールディングス
グループ内ではトライコーンは相変わらず調子が良さそうで前年比32%増。このへんは安定している。

オプトはどうだろうか? 
オプトは12月決算で2月に2008年12月期の決算説明資料があがっている(PDF
2008年度としては、過去最高の売上、営業利益、経常利益と、数字的には最高の結果を出してはいる。第四四半期つまり10~12月は電通との協業が大きくプラスに出たようで、売上高は前年同期比で+77%、営業利益も+131。大きく事業を伸ばせている。
事業別分野では、ソリューション事業分野がかなり伸びている。第四四半期の単体のソリューション売上は5億4500万円だ。(子会社で2.49億。これはホットリンクなどだろうか?)

WEBソリューション専業のネットイヤーの10~12月(PDF)は、売上高が5億ちょいというところ。営業損益で-1.3億なんで、実はオプトのソリューション事業の規模は、すでに専業のネットイヤーの規模に匹敵しているということになる。
オプトは、このソリューションに本業の広告事業と、ADPLANなどのテクノロジー事業をうまく絡めてきている。ADPLANも第四四半期の売上は2.5億に達していて、WEBソリューション系の会社にとってはオプト(+電通)はけっこう恐いんじゃないだろうか。

御三家の最後。サイバーエージェントはどうか。すでにサイバーエージェントはネット広告専業というカラーでもないし、グループ会社を含めてみるとネットコングロマリットのような感じになってきている。単体でも、自社メディア、媒体と広告営業力などを絡めて、かなり力強いビジネスモデルを構築しつつある感じがしているが。

サイバーエージェントも9月決算なので、2008年10~12月が2009年9月期の第一四半期となる。(サイバーエージェントは説明会資料でHTML版がある。このへんのIRサイトの作りこみもよくできてる。)
「既存事業」として括られている「メディア事業」「広告代理事業」「FX事業」は、前年同期比20.7%増だ。「Ameba関連事業」も61%増と大きく成長している。Ameba関連事業は、まだ2.7億の赤字ではあるが、その赤字幅は大きく縮小している。Amebaは広告以外に課金事業などもスタートさせて、09年度に単月黒字化を達成しようと目論んでいる。
しかし、「既存事業」に「FX事業」が入っているというのも不思議な感じがするけれど…  

そもそもサイバー、オプト、セプテーニと御三家といわれていたものの、こうやって並べてIR資料などを見ていると、それぞれ全く違う戦略とポジションを狙ってきており、すでにこの三社での単純比較は難しくなりつつある状況だ。
サイバーは広告代理店事業をベースにしつつつも、大化けの可能性があるメディア事業に将来を見ているし、オプトは電通との協業と、テクノロジー&ソリューション分野を絡めた所謂インタラクティブエージェンシーの姿を追いかけ、セプテーニはよりネット広告の販促に近い領域、ダイレクトレスポンス領域を攻めていこうという意志を感じる。

また、ネットイヤーやIMJといったWEBソリューション系の競合は実は、オプトやセプテーニ等の専業ネット代理店といわれたところになりつつあるようにも思える。ダイレクトレスポンス分野におけるソリューション&テクノロジーは広告とは不可分な関係だろうし、親和性も高い。
DACが博報堂アイスタジオを傘下にしたりという動きとかも同じような潮流の中の1つの出来事なんだろう。ネット広告の重要性が高まれば高まるほど、よりサイト設計やクリエイティブが重要になってくる。

今後、広告分野、ソリューション分野では、そのへんを睨んだ大きな再編や協業みたいなものがいくつも現れてくるんじゃないかと思う。

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コメント

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