園子温「冷たい熱帯魚」は評判通りの問題作

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園子温監督作品「冷たい熱帯魚」を妻と観て来た。
あの園子温である。(参考:愛のむきだし – papativa.jp) 鬼才だと思う。確かな勢いを感じる。何を撮ってもすごい作品にしてしまうぜというような気迫と自信。

帰り道で妻と話をしていたのだが、映画観てこれだけ映精神的にダメージを与えられる作品もないんじゃないかと言う事で、作品の好き嫌いはあるにせよ、すごい映画であることは間違いないし、こんな強烈な映画を撮れる人は、今の日本では、やはり園子温ぐらいなのではないか、という意見に落ち着いた。とにかく、評判通りの物凄い作品だ。

この世界には、ちょっとしたことで足を踏み外し、どうにもならない暴力と血が取り巻く世界に墜落してしまうことがあるのだろう。主人公はしがない熱帯魚屋を営む気の弱い男、社本。ふとしたことから面倒見の良い同業者村田と出会う。村田との出会いが、社本の運命を奈落の底に突き落とすことになる。猛烈なスピードで墜落しゲシュタルト崩壊を迎える社本。この救いようのなさはなんなのか。救いようのない映画やストーリーは数多くあれど、なんだこの希望のなさや、あらゆる登場人物が抱えるしみったれた不幸感は。とにかく全編を通じて不幸と暴力と不条理のフルコース。それらが観る側が何かを考えたりする暇も隙もなく、次から次へと怒涛のように押し寄せてくる。精神の状態がよくない人は、本当に観ないほうがいい。かなりのダメージを受けてしまうこと間違いない。

あと、この映画は焼肉食べる予定の人は絶対に観ない方がいい。ネタバレになるので、こういうアドバイスしか出来ないけれど、血を見て気分が悪くなるような人は観ないほうが良い映画だと思う。見方によってはグロだ。妻は後半の「例のシーン」はほとんどスクリーンから目を背けてたらしい。
精神的な苦痛が全身にずしんと来た、そんな感じ。胸の奥底に重い重い気持ちの悪いもやっとしたものが残ってしまう映画だ。観ている最中も変な汗が出たり、身体は震えたり、なんだかよくわからないが、とにかく身体が拒否反応のようなものを起こしていた。上映が終わって、映画館を出て歩いていたときに、ほんとに何度もふらつき、こけそうになった。手足が思うように動かないのだ。映画観て、ここまで肉体的にも反応が出る映画なんてありますか?

本作は、日本のコーエン兄弟とかって言われてるらしいけど、園子温と比較したら、コーエン兄弟はもっともっと古典的な映画監督なんだと思う。あんなに直截的な表現は使わなし、もっと詩的な映像やモンタージュを重視する。園子温はの表現は極めて直截的だ。あえて詩的に構成せずに、これ以上は難しいだろうというラインでそのままを見せる。映像で吐き気をもよおしそうになる。
しかし、それでもこれは映画だ。まったくもって映画なのだ。そして多分、傑作映画だ。映像でしか出来ないものをきちんとやりきっていると思う。

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コメント

  1. soramove より:

    映画「冷たい熱帯魚」血みどろの海に浮かぶ魂たち...

    「冷たい熱帯魚」★★★☆ 吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、 梶原ひかり、渡辺哲 出演 園子温 監督 146分、2011年1月29日, 2010,日本,日活 (原作:原題:COLD FISH )                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← 名古屋のキノシタホールで現在上映中!レンタルまで待たないで 気になるなら是非劇場へ! 「公開された時、気にはなっていたが 結構エグイ内容と聞いて躊躇していると ...

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