ネットイヤー逝く

CNET Japan – SIPSの元祖ネットイヤーがシステムインテグレーターの傘下に

昨日の朝、日経産業を開いて、ネットイヤーが買収されるという記事が飛び込んできたときは驚いた。

同業界に身を置くものとしては、いろいろ考えるところもあるが、しかし驚いたのはネットイヤーの売上と経常損益だ。資本金は大企業だが、売上は中小企業。赤字額を考えたら、もう火の車。これは正直同情の余地もなし。

第三者割り当て増資を繰り返し、資本金はどんどん大きくなったが、それに見合う回収はまったくできなかったということか。

これだけの酷い状況の中、セルリアンタワーみたいなおそろしく坪単価の高いオフィスを借り続け、さらにテレビ東京などの番組のスポンサーになったりしていたのは、何だったのだろう? ブランドづくりか? 

ソラン傘下に入り、オフィスは移転するのだろうか?

最近のネットイヤーの実績ではKDDIは面白いと思った。

色とサウンドでのセクション展開。Flashの使い方も面白い。KDDIの新しいコーポレートスローガンなのかなんなのかはよく知らないが、「ユビキタス・ソリューション・カンパニー」という言葉の響きとサイト全体を通じての利用体験もボク個人の感覚としては、そこそこ親和してるように思える。

雑誌「WEB SITE DESIGN」でも新しいユーザー体験としていくつか面白い企画を提案していて、なるほどなぁと関心させられたりもした。

しかし、ユーザーエクスペリエンスを突き詰めても、あれだけの母体を支える売上は稼げなかったというわけか。ネットイヤーを見ていると、ある側面ではアクセンチュアみたいなIT系コンサルティング会社、ある側面ではIDEOみたいな先端的なデザイン会社、ある側面ではキノトロープのようなWEB構築会社というように、1つの会社として抱えるには大きすぎるんじゃないかと思えるぐらいの多面性を持っているように思える。

それがSIPSなのだといえばそれまでだけれども。

ちなみに、SIPSという言葉はアメリカからやってきたように思われているが、そんな業態はアメリカにはない。あれは小池さんがつくったものだろう。小池さんが連載していたネットランナーのコラムの中で、はじめてSIPSという言葉を知った。そのコラムでとりあげられていたいくつかのアメリカの「SIPS」を調べたが、どこも自らSIPSと呼んでいるところはなかった。

個人的見解だが、「SIPS」みたいな業態が欧米で注目されたのは、欧米の広告業界の構造が背景にあるように思える。日本ではSIPSったって、そんなもん電通や博報堂も同じようなものじゃないかと思っていたのだけれど、欧米では基本、広告会社はダイレクトマーケティングやブランディングというように機能的特化している。電通のように1社でコミュニケーション全般をやるってのは特異なのだ。欧米の場合はWPPのように持株会社参加に複数の機能特化型の広告会社が連なるという構造なのだ。

そういう背景がありつつ、コンサルティングからデザイン、システムまでをワンストップで提供する業態っては「新し」かったのではないかと思う。

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