チーム・バチスタの栄光

4796650792 「チーム・バチスタの栄光」─前から読みたい読みたいと思いながら手がでなかったが、文庫本されたので手にした。
噂に違わぬ面白さで、一気に読み切った。文庫化されたので、上下巻になっている。圧巻は下巻から登場する「火喰い鳥」こと白鳥圭輔。
とにかくこのキャラクターは強烈だ。奥田英朗の「イン・ザ・プール」の精神科医、伊良部一郎といい勝負か。ファンには怒られるかもしれないが京極夏彦のシリーズでおなじみの迷探偵、榎木津礼次郎にも通じるところがある。(榎木津のような美形ではないので、ああいう世界を期待して読むと大変なことになるのであらかじめお断りしておく)
久々に現れた超豪腕「探偵」?だ。
物語自体、著者自身が現役医ということもあって設定は緻密でリアルだ。ただし、主人公の田口を通じて語らせることによって病院内の模様がより誇張され戯画化されている。リアルな舞台設定においても白鳥のような強烈なキャラを吸収でき、違和感を感じさせずにすませられるのは、田口という人物を通じて語られるからこそだろう。というようなことを考えていたら、よく考えてみると白鳥以外のキャラも皆かなり極端に偏っててまるで漫画のキャラのようだったりする。天才的な腕を持つ外科医、飄々としながらもいつも絶妙なポジションに身を起き、何事も軽くかわしていく病医院長。
ミステリーという題材ではあるけれども病院内のカリカチャという意味では、筒井康隆の「文学部只野教授」などにも通じるところがあり、ミステリー嫌いでも十分楽しめる小説なのではないかと思う。

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