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2004年11月29日

奥田英朗「東京物語」

今日、東京に移動するつもりだったけど、あまりにも頭痛がひどいのでやめて家でごろごろしてた。

奥田英朗の「東京物語」を読んだ。少し懐かしい気持ちになった。1978~1989年までのある1日を舞台にした6編のシリーズ短編のようなものだけど、舞台になっている1日がその時代を象徴するような事件や話題の日になっている。なのでその時代を生きていた人ならたいていその時何をしていたか覚えてたりして、ボクも小説を通じてその日のことをいくつか思い出した。 中野翠や清水義範に影響受けたたというようなことを著者自身が語っていたけど、確かにこの小説にはその匂いがした。

一人ノスタルジーに浸り、10年前の日記を読み返した。10年前の今日は、「中上健次『19歳の地図』、坂口安吾全集5、『信長』おもろい。みなみ会館『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』」とだけ書いてあった。ようわからんけど、多分本読んで映画観た日なのだろう。

夕方に北大路に蕎麦を食いにいく。うまい蕎麦屋があるのだ。体調が悪いときは蕎麦。消化悪いんだけど、蕎麦なら食える。しかし途中で吐きそうになって、最後まで食いきれなかった。親父に申し訳ない。

夕方から会計士さんに借りた大前研一の「続・企業参謀」をつらつら読む。大前研一ってやっぱり大天才だ。かなり古い本だけれども、決して古臭さは感じない。むしろ新鮮に思えた。

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2004/11/29 00:40

2004年11月27日

最近読んだ小説など

最近はすっかり池波正太郎にはまっています。いやぁ面白いです。「鬼平犯科帳」がまさかこんなに面白いとは思いませんでした。これは傑作ハードボイルドです。1つ1つの話をとりだしても十分に面白いのですが、シリーズを通しても一つの世界がつくられていて、読み進めれば読み進めるほどに面白くなってきます。

あと、大西巨人の「神聖喜劇」。こちらは遅遅として進みませんが、読むことが一つの精神鍛錬だと思って読んでます(面白くないという意味ではないです)。

しかし、最近はあまり小説を読んでないです。昔、読んで面白かったものは適当に読み返してますが、特に新人の作品についていってない。海外はほとんどまったくといっていいほど手付かず状態で、やばいなぁと感じてます(何がやばいのかはわからないですが)。

数ヶ月ぐらい小説を紹介してないので、今日は最近半年ぐらいで読んだ小説を紹介します。

  • 吉村 萬壱「ハリガネムシ
    • デビュー作の「クチュクチュバーン」にはやられましたけど、芥川賞受賞作の本作も面白いです。主
    • 人公の行動や思想に少しづつ歪みが生じてくるのに、語り口はおそろしく覚めていて、そのギャップに「痛み」や「苦しみ」が滲み出てくるんでしょうか。途中で気持ち悪くなりました。

  • 伊坂幸太郎「重力ピエロ
    • 舞城ほど壊れてはないけど、この人もミステリーというようなジャンルで括られるのは、どうかなぁと思います。村上春樹がある意味「ミステリー作家」であるというような意味では彼もミステリー作家なのかもしれないですが。本格ミステリーを期待してると肩透かしを食らいます。テンポの良さと文章の品の良さはものすごく優等生的ですが、それが嫌味でもない。力量なんでしょう。彼は「ストーリー」がなくても、読ませる力がある作家だと思います。

  • 五十嵐 貴久「フェイク
    • あまり面白くなかったです。この手の小説は読んでる時間がいかに愉しいかということしか興味がないのですが、読み終わった後に後悔しました。最後まで読ませる力量はあるけど仕掛けの練り方があまりにも杜撰だと思います。最後は噴飯モノです。

  • 矢作俊彦「THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ
    • 矢作ファンにはたまらん一作です。矢作俊彦は最も尊敬する作家の一人。彼の書くものはだいたいは読んでますが、新作でまさか二村が出てくるとは思いませんでした。タイトルからして、彼の本領発揮(といっても矢作さんほど多様なスタイルを持っている作家も少ないとは思いますけど)か?と期待させるわけですが、期待に違わぬ大傑作でした。

  • 村上春樹「アフターダーク
    • mixiの日記では紹介しましたが、日記を潰してしまったのでこちらへ。多分、飛躍のための助走みたいなものだと思います。軽妙な会話(重い話を軽い比喩で、軽い話を重い比喩で)とリズム、ノスタルジーみたいなものが好きな村上春樹ファンにとっては失望の一作かもしれないです。(村上春樹はそういう作家ではないとは思うけど。)

  • 羽田圭介黒冷水
    • 構成はすごく凝っていて、読み終わった後に仕込まれていた隠し絵がわかるようになったりするわけですが、そんなものは正直どうでもいいです。話自体、普通に面白いわけですが、やはりそのままでは終わらせられないんだろうなぁと。そこが悲しい。「ストーリー」にどうしても乗っかからざるをえず、且つそのストーリーも壊さざるをえない。このあたりを「若さ」と見るか、小説というスタイルへの志向性の一つと見るか。

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2004/11/27 13:41

2004年11月20日

知りたい操作がすぐわかる標準Word2003全機能Bible―WindowsXP対応

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西上原 裕明

技術評論社
2003-12
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おすすめ平均 
唯一の「全機能」解説書
本当にかゆい所に手が届く感じがします

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最近、すっかりWORDにはまってしまった。ついこないだ買った「Wordで実践!編集レイアウトの基本と本格テクニック」では物足りなくなり、同じ著者の「全機能」解説本を買ってしまった。
ほとんど辞典だ。重い。この重量感。

いや、しかし、実際、他にも何冊かWORDの本は漁ってるんだけど、この著者のものが一番良いのではないかと思う。前の本ではつかみきれなかった細かい機能やちょっとしたことも解決した。
スタッフにWORD嫌いが多いので、またしてもこの手の本を紹介してみた。WORD嫌いがゆえに、それまでWORDでつくられていたサイトガイドラインなんかをPPTでつくったりしていたわけだけど、WORDを覚えれば、どう考えてもWORDのほうが向いてる。

2日もあればだいたいの機能は使えるようにもなるし、組み合わせて応用もできるようになるわけで、その2日の労力を惜しむか、急がば回れ勉強してみるか。しかしこの歳になるまで、なぜきちんと覚えようとしなかったのか。後悔。(一太郎はけっこう覚えたんだけどなぁぁ。。。)

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2004/11/20 12:35

2004年11月15日

Wordで実践!編集レイアウトの基本と本格テクニック

本を紹介するのは何ヶ月ぶりか。えらく久しぶりだ。そろそろきちんと更新をはじめようと思う。

ここ数週間、とある資料の作成をやっている。資料の体裁としてはどう考えてもWORDでつくるほうが良いのだけれど、WORDが苦手なんでPowerPointでつくってた。WORDの何が苦手って、あのおせっかいな機能群がうっとおしくて仕方ない。何かすればいらぬおせっかいを焼いてくれるおかげで、いつも途中で嫌になる。
かといって他のページレイアウト系のソフトが使えるわけでもなく、たいてい強引ながらPowerPointでなんでもつくってしまう。
が、今回は一念発起。本格的にWORDをマスターしてやろうともくろみ、何冊か本を買った。そのなかで最も役立ったのがこの一冊。

Wordで実践!編集レイアウトの基本と本格テクニック
西上原 裕明

技術評論社
2003-06-05
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おすすめ平均 
編集中級レベルから
とても便利な機能が使い切れないでいたので、便利です。

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「できる」シリーズに代表されるような、「How to系」のものも買ったんだけど、あの手のものはどれも同じで、実は書いてあることのほとんどはすでに知っているし、使える。どちらかといえば、もっと細か~いレベルのことを教えて欲しかった。スタイルの使い方は知ってるけど、じゃぁ見出し1、見出し2、見出し3なんて具合にきちんとスタイル設定した後に、これらの見出し全部書式変えようなんてなったら、結局、個々の見出しごとにスタイル変更かけなきゃならのか?とか。ヘッダに見出し1を表示させるんだけど、目次ページには何も表示させたくないとか、図を配置して文字の回しこみをやったけど、文字が増えても図はその章のその位置から動かしたくないとか、いろいろちょっとしことでどうやりゃいいのかわからないことがいっぱいあった。そういった細かい実践的なテクニックが詳細に解説されてる。この本を読んだおかげで、WORDのおせっかい機能が、なーんだ、すごい便利な機能なんじゃん、と思えてしまった。

この本のおかげでWORDのきらいだったところが好きになれた。すばらしい本だ。WORDの使い方を「編集レイアウト」の視点でまとめてる本ってのは、ほとんどないので貴重な一冊だと思う。うちの社員でもWORD嫌いって人は多いと思うけども、WORDをちゃんと活用して資料を作ろうーって人はぜひこの本を開いてみましょう。目からウロコ間違いなし。

そうそう、この本を読んでからふと考えたのは、WORDをつかってしっかりと文章の構造化をすれば、それってXHTMLとかXMLへの親和性って高くなるなぁということ。コンテンツの構造化にWORDを使うってのもありだなーと思う今日この頃。

いやー、しかし本ってのはすばらしいなぁと思う。たかだか3000円ぐらいで、こんな情報を得られるのだから。こんなものをパソコン教室なんかで習ったら、それこそ「ん万円」の世界だろうし。

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2004/11/15 00:51

2004年08月16日

売れる仕組みこうすれば顧客は離れない

売れる仕組みこうすれば顧客は離れない」(服部隆幸)

服部さんの本は、ほとんど読んでいる。彼が生み出した「売上」の因数分解式は、最初の本から登場してくるもっとも重要な考え方の一つだ。僕はこの売上方程式を知って、はじめてOneToOneマーケティングの具体的な戦術の組み立て方法を知った。それまでドン・ペパーズの本を読んだり、さまざまな解説書にあたってはいて抽象的にはOneToOneマーケティングの重要性や可能性、考え方ということを知った気にはなっていた。けれど本当の意味で実践や現場に結びついたOneToOneマーケティングを学んだのは、服部さんの「入門ワン・トゥ・ワン・マーケティング―〈顧客〉ではなく〈個客〉の満足を高める新手法」を読んだときだと思う。それ以来のファンで出る本は必ず購入している。

本書もこの売上方程式をベースとした、リレーションシップの考え方、LTV向上とは何を意味するのか、優良顧客とは? といったマーケティングタームとしては当たり前すぎて誰も疑わなかったような概念を一つ一つ精緻に定義づけし、その間違いや誤解を解き解いていく。

OneToOneマーケティングは「優良顧客」を識別し、優遇するという考え方がベースにあるが、服部式のOneToOneマーケティングは、「優良顧客」だけを優遇しているような方法では売上は伸びないと断言する。「優良顧客」の識別方法として、一般的なのはABC分析やRFM分析などがあるが、本書ではRFM分析で識別された「優良顧客」がいかに一過性のものに過ぎず、そのような方法をベースとしたマーケティングアプローチでは駄目かということがかなりのページ数をもって語られている。
なるほど、確かに言われてみればそのとおりと思うことばかりだ。

服部式ではRFM分析ではなく、グレードアップ分析を行う。

グレードアップ分析とは、「過去から今日までの顧客ごとの累積売上金額」をもとに、顧客のグレード(等級)を区分けし分析を行う方法だ。RFM分析では、しばらく購入しなければ顧客のグレードダウンが生じるが、グレードアップ分析では、「累積売上」がベースとなるため顧客のグレードダウンは絶対に生じない。
分析に基づいたグレードに属する顧客に対して、グレードアップのためのリレーションシップシナリオを構築していく。優良顧客だけを優遇するという発想ではないところがミソだ。

グレードアップ分析の4つの基本型は以下になる。
Gは「グレード」のことであり、グレード分析はグレード軸に対して、「Recency:最終購入日」「Frequency:購入頻度」「Monetary:購入金額」というRFM分析の3軸をそれぞれ置いて分析を行う手法である。

G0分析(ジーゼロ分析)

  • グレード軸だけの分析手法
  • 顧客がどのグレードにいるかを把握し、リレーションシップ対応を変えていく

GR分析

  • 最終購入日を重視する業種、百貨店、アパレル、流通小売などに適する
  • 目的は、「グレードアップ」と「直近来店購入促進」
  • 顧客のLTV価値の評価のために使われる

GF分析

  • LTV評価を行うための分析手法
  • GR分析と同じような使い方。
  • 購入頻度を重視する業界(自動車、耐久消費財など何回購入して頂いているかがLTV評価に重要な商品)に適する

GM分析

  • 購入金額を重視する業界で適用する分析手法。

GR、GF、GM共に「売り場単位」と「店舗単位」、そして「全店舗単位」で分析を行い、基本的には、

  1. グレードアップシナリオを構築するため
  2. リレーションシップの目的を明確にするため
  3. グレードごとの顧客の活性化を評価するため

に使う。

顧客を切り捨てて、優良顧客に優遇するためではなく、各グレードにあわせたリレーションシップシナリオを構築し、各グレードの顧客を次のグレードにアップさせること、また、各グレード内から関係を切ったほうが良い顧客を発見すること。
この考え方は言われてみればなるほどなのだけれど、RFM分析やABC分析といった「切捨て」「発見」型のアプローチに頭を犯されているとなかなか思いつかない。
また、「リレーションシップ」も単に、「関係構築」といった漠然としたものではなく、それはシナリオがあり、そのシナリオはあくまでも顧客のグレードをあげるために行うものであるということも抽象的なマーケティングの考え方からは生まれてきにくい考え方だと思う。

今、いくつかのECサイトの提案や開発やコンサルティングを行っているが、ECサイトに服部式を応用したプランを適用してみることを考えてみよう。

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2004/08/16 19:28