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2003年05月09日

バカ売れの法則 ~この女性を口説くには?~

バカ売れの法則 ~この女性を口説くには?~

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文章の構成方法はエロサイトに学べ、と主張しているが、これはごもっとも。文章に限らず、あらゆることはエロサイトで学べる。たとえば、今流行りのSEO。検索エンジンの上位にヒットさせるという手法だが、こんなものは何年も前からエロサイトは手がけている。SEOから見ると「スパム行為」にあたることも多いが、エロサイトは実に貪欲だ。検索エンジン側といたちごっこを繰り返し、つねに一歩先、一歩先を行く。

ユーザビリティに関してもエロサイトには学ぶところはある。エロサイトの玄関ページでは、「入り口」と書かれたリンクやらバナーが所狭しと並べられていて、本当の入り口がどこかよくわからないということは屡々だ。これって「逆ユーザビリティ」というか、ここまでひどくなくても、多くの企業サイトも同じような過ちはけっこう犯しているものじゃないだろうか。

神田昌典さん批判ともうけとれるような箇所があって笑えた。神田さんがMBAホルダーのコンサルタントや広告代理店を敵にして、自分がいかにだまされ続けたかということを訴えたように、原崎さんも感情をベースとしたマーケティングを唱えるコンサルタントにだまされたことを語る。

このあたりは似ている。もちろん似ているから悪いというものでもない。事実であろうとなかろうと、ビジネス書やマーケティング本の多くは、同分野の今までの手法や考え方をいかにして「過去のもの」にするか、あるいは「欠陥品」かということを知らしめるかを語ることが多い。

しかし、ボク個人的には、神田さんも凄いなと思うし、原崎さんも凄いなと思う。どちらか一方の考え方や方法に傾倒するというわけではなく、両者の良いところをうまく使いたいと思う。(そういう美味しいところどり、が部分最適にしかならないから駄目と言われるのももちろん覚悟しつつ)

「バカ売れ型文章公式」と「PASONAの法則」はどちらが凄い、どちらが役立つというより、両方の考え方をしっかりと理解して両方使いたいわけだ。

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2003/05/09 23:11

2003年01月05日

マネーロンダリング

マネーロンダリング

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ハードボイルド金融小説とでも言うべきか。著者の金融関連の知識には目を見張るものがある。
しかし、それを単なる社会派、ジャーナリズム的お利口小説にはせず、一級のエンターテイメントに仕上げたのは、すばらしい。
ただ、おそらくだが、この人、小説家としてこの作品を超えるものはもう二度と書けないだろう。

「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」の方はひどかったものなぁ。

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2003/01/05 03:36

2002年11月08日

マドンナ

マドンナ

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また奥田和朗。いいかげん飽きてきたな。
でも表題作はちょい身にしみた。奥田和朗は「あぁこういうことはあるなぁ」という「共感」を描くことがおそろしくうまい。
それを実に軽快なトーンで描いて笑い話にしてくれるところが良い。

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2002/11/08 03:39

2002年08月20日

営業の「聴く技術」―SPIN「4つの質問」「3つの説明」

営業の「聴く技術」―SPIN「4つの質問」「3つの説明」


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SPIN営業の基本は、
4つの質問-2つのニーズ-3つの説明
で成り立ちます。

4つの質問は、SPINですな。2つのニーズとは、潜在的ニーズと、顕在的ニーズです。潜在的ニーズをいかにして顕在ニーズとするのかが、「示唆質問」の役割。

3つの説明とは、商品・サービスの説明です。これは3方面があり、

  1. 特徴(Features)
  2. 利点(Advantages)
  3. 利益(Benefits)


だとしてます。(頭文字をとって、FAB(ファブ))

「特徴」だけを説明すると、顧客の関心は「価格」に向く傾向が顕著。

「利点」を説明すると、「当社は特別だけど、~なことはできますか?」と1年に1度あるかないかの例外事項で「反論」してくるケースが多い。

顧客の顕在ニーズに合わせた「利益」をどう満たすか、買い手側の論理を説明すると、おおむね、賛同(納得)が得えられやすくなる。

SPINをうまく絡め、これらの質問を使いながら、FABを説明していくのが、コンプレックス商品のセールスにとって肝になります。

FAB説明の順番としては、

B - F A B
─────>

B
このシステムをご採用頂きますと、年間●●万円の売上向上が期待できます。

F
なぜなら、このシステムは、~という特徴、機能があります。

A
そのため、現在の~が、~となります。

B
したがいまして、シュミレーションによれば、~が●●、~が●●、~が●●となり、年間●●万円の売上向上が期待できます。

というパターン。

結論(利益)から入り、最後に結論を繰り返す


利点と利益の違い

利点と利益。言葉だけ見ると、似てますが、意味合いは異なります。
ここでは簡単に説明します。

利益とは、「定量化できるものである」ということです。

逆に言うと、「定量化ができないもの」はすべて、「利点」です。
なるほど。

利点は、顧客に「一般的に」どう役立つかの説明であって、説明が「形容詞」になるケースが多く、具体性にかけます。

「利益」は、「顧客のニーズ」をどう満たすかの証明であり、数値化されるものです。


提案書への応用

SPIN-FABモデルにのっとる形式をそのまま提案書などに応用すると、以下のような流れになります。

S[状況質問]----------> 1.貴社の現状

P[問題質問]----------> 2.貴社の問題点

I[示唆質問]----------> 3.問題の原因と課題

N[解決質問]----------> 4.課題の解決策(FAB)

当然、「解決策」は、可能なかぎり、顧客の「問題」「課題」に対して、「定量的」な「利益」を訴求するほうが良いということになります。

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2002/08/20 12:32

2001年11月03日

センセイの鞄

申し込みをキャンセルしたにも関わらずYahoo!BBからモデムが届いた。まったく。
会社にBBを利用している人はいて、話によると「悪くない」とのことだが、ウリだった価格だって、他があれだけ値下げしてしまえば、たいした魅力でもない。

センセイの鞄

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川上弘美の「センセイの鞄」。川上弘美の魅力は、あのあまりにも淡々とした描写と、そんなことはありえないだろうという状況をあるがままに受け止めてしまう登場人物の不条理さなのだが、今回は徹底的に清潔に清潔な世界だけを構築してしまった。
カッコつきの「文学」「純文学」としては、洗練されていて、ひとつひとつの言葉の選び方も繊細ではある。「よい小説」としての体裁は完璧といっていいほどかねそろえている。でも、何か決定的に欠けているのだ。それは川上弘美という優れた作家が、このような優等生純文学を書くという理由そのものかもしれない。

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2001/11/03 23:29