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2004年05月11日

TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究

フランクリン・プランナーを利用しだしてから約2週間。
最初の1週間はゴールデンウィークだったんで、実質は1週間。

7つの習慣―成功には原則があった!」を読み返したり、「フランクリン・システム―米国企業を活性化させた90年代のタイム・マネジメント術」や「人生は手帳で変わる―第4世代手帳フランクリン・プランナーを使いこなす」あたりを読みつつ、試行錯誤しながら使ってるので、まだその効果の程はよくわからないというのが正直なところだ。いくつか良かったのは、仕事もプライベートも一緒の土台で管理して、一方的に偏ることなく生活全般をバランス良く管理しなきゃならないという意識が若干なりとも芽生えたことか。

1日1回長期的な目標から落とし込んだ月間のマスタータスクを眺め、そこからその週の初めに立てた週の目標を確認し、さらに今日のタスクを洗い出して、優先順位付けをする。出社してから15分程度で終わることだけれども、これをやってきちんとリストアップしたタスクをこなしてチェックをつけていくだけで、ちょっと心が満たされた気分になるから不思議だ。プラシーボみたいなもんですな。
「フランクリン・プランナー」の使い方は、「TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究」が一番親切だろう。他の活用本は「TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究」のおいしいところだけを要約しただけに近い。なので、「フランクリン・プランナー」を使おうと思うなら、まず「TQ」を読んだほうがいいんじゃないかというのが僕の個人的な感想。

TQ―心の安らぎを発見する時間管理の探究
ハイラム・W・スミス, 黄木 信, ジェームス・スキナー



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あなたは時間を愛せるか
情報時代の仕事人に
僕の生活の質を買えました。

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タイムマネイジメントの本ではあるけれど、効率的な時間管理や優先順位付けを行うというようなタイムマネイジメントではなく、タイムマネイジメントを通じての自己実現、自己啓発の発想が盛り込まれてる。自己実現・自己啓発本のほとんどがそうであるように、本書にも多分に「感動的な」(とカッコつきの)事例が頻出し、ちょっと神秘がかったところもある。こういうのが嫌いな人は多分、ちょっと読むだけで投げ出したくなるんじゃないだろうか。

根底となる考え方は「7つの習慣」と全く同じ(って「7つの習慣」よりこっちの方が先なのかな。まぁ同じ会社だし)。本書では「心のやすらぎ」を得ることが最終目標であり、そのための時間管理が語られる。(「7つの習慣」では広い意味での「成功」を得るための「習慣」が語られている。)
「心の安らぎ」は生活におけるバランスと調和によってもたらされる。これは出来事をコントロールすることによって可能となると著者は語る。「時間管理」とはとりもなおさず、「出来事をコントロールする」ことである。時間管理を「時計」と結びつけるのではなく、「出来事」と結びつけることが肝要。
「出来事」を効果的にコントロールするためには、人生において最も価値を置くものを見つけ出し、日々の行動をその価値観に照らし出していかなければならない。

価値観をベースっとした「生産性のピラミッド」をつくることが日々の行動を決定してゆき、人生をより豊かで実りの多いものにする。生産性のピラミッドとは、価値観から長期目標が決定され、長期目標から中間ステップが導き出され、中間ステップから日課リストが出来るというピラミッド構造のモデルである。上(頂点)になればなるほど、小さく、なるという意味で、より具体的、ピンポイントの活動を示していくメタファーともなっている。

「フランクリン・プランナー」はこの「生産性のピラミッド」に基づき、日課リストに落とし込むまでの過程がそのまま手帳になっている。ここを読めば、「フランクリン・プランナー」の使い方が良くわかる。

本書のなかで面白かったのは『第6章「行動と気持ち」を合致させる』の章だ。
第六の法則として「行動とは自分の想いを反映したものである」ということが語られる。なぜ悪いとわかってながら自分がそんな行動をとってしまうのか、著者は「リアリティー・モデル」というメンタルモデルで説明する。

「リアリティー・モデル」は五つの要素として成り立つ。AIDMAみたいな感じだ。
人間の行動は以下の五段階を経て生まれる。

(1)心理的欲求→(2)思いの窓→(3)ルール(もし~ならば~)→(4)行動パターン→(5)結果

(5)の結果は(1)の心理的欲求にフィードバックされる。

第一の要素「心理的欲求」は人間の基本的な四つの欲求のいずれか、あるいはその組み合わせだ。
1.「生きる」欲求
2.「愛し愛される」欲求
3.「人に良く思われる」欲求
4.「変化を味わう」欲求

これらの四つの欲求がバランス良く満たされていれば、人生はスムーズに動く。残念ながらバランスがとれることはめったになく、たいていはいずれかの欲求が満たされてない。すると人はこの欲求を充足させようと全精力を傾けてしまう。

これが行動の第一歩。

第二の要素「思いの窓」は抽象的な概念だけれども、「7つの習慣」で「パラダイム」という言葉で表現されていたものと同じようなものだろう。自身の価値観やら信念やら思い込みやら、ポリシーやらといったものをひっくるめて「思いの窓」と名づける。
第一ステップで満たされなかった欲求をどのように満たすかの方向性はこの「思いの窓」が握っている。
この「思いの窓」が歪んでいると、欲求は歪んだ方向に進む。しかしながら、たいていの場合、自分の「思いの窓」は自分自身では正しいと思い込んでしまうのが人間である。

そして、第三の要素では、これら「思いの窓」に映し出している想いに対して自身の行動を支配するルールを無意識のうちにつくる。

これら第三ステップまでをクリアして、想いが行動として現われる。
そして、行動の結果はフィードバックされる。この行動が第一要素の心理的欲求を満たすというフィードバックであった場合は、このループが再現なく繰り返される。

ここで重要なのは、「ある特定の想いが自分の欲求を満たしたかどうか、確実に分かる方法は一つしかない。時間をかけてその行動の結果を見ることだ。結果の良し悪しは時間が経たないと分からないことが多いからだ。」(P.279)ということ。短期的には心理的欲求が満たされるものであっても、長期的に見れば悪い影響を与えるものはたくさんある。酒やタバコ、麻薬、暴飲暴食といった中毒性のものなどはそうだ。一時的には心理的欲求は満たされる。でも長期的には身体には悪い。

たとえば、「人に良く思われたい」欲求を持った人が、「失敗は悪いことだ」という「思いの窓」を持っているとしよう。彼は「失敗は悪いこと」という「思いの窓」から、「失敗しないためには失敗しそうなことをしないこと」というルールをつくり、それに従った行動をとるとする。彼は失敗しそうなことはしないので、その行動の結果としては、何もしていないので賞賛も受けなければ、批判も受けないだろう。それは心理的欲求を充足させるものではないかもしれないが、しかし貶めるものでもないので、一時的な結果としては成功かもしれない。が、長期的に見た場合はどうだろう? 失敗というリスクをなに一つ犯すことなく、人生を送ることで心理的欲求の一つでも満たされるだろうか。

さて、この「リアリティー・モデル」を知ることで自身や他人の行動がなぜそうなるのかということがわかるというわけだ。そして、自身や他人の「思いの窓」を知り、人生にとってマイナスになるものならば、それを改めることができる。

1.悪い結果をもたらす「行動パターン」を特定する。
2.その行動を生み出している「想い」を明確にする。
3.その「想い」によって生まれる「将来の行動」を予測する。
4.もっと良い結果を生み出す「新しい想い」を打ち出す。
5.その「新しい想い」によって生まれる「将来の望ましい行動」を予測する。
(P.305)

まずは自身の最低な行動をさかのぼって、自分の中の歪んだ「思いの窓」を探してみよう。ありすぎて困るぐらいあるけど...

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2004/05/11 00:24

2004年05月07日

7つの習慣:重要事項を優先する

「7つの習慣」第三の習慣は「重要事項を優先する」だ。

「7つの習慣」で多分一番有名なのは、この章に出てくるマトリックスではないだろうか。僕自身も覚えていたのはマトリックスぐらいだった。

第三の習慣の前提は「自己管理」であり、効果的な「時間管理」だ。
時間管理は以下のような過程で発展してきた。

第一世代
「メモ」や「チェックリスト」 様々な要求や日々行わなければならないことを整理する

第二世代
「カレンダー」や「予定を書き入れる手帳」 将来の活動や出来事をスケジュール化しようとする思想

第三世代
前二つの世代の概念に「優先順位づけ」「価値観の明確化」および「目標設定」の概念を加えたもの。現在の時間管理の主流。

著者が提唱するのは、これら第三世代までの時間管理とは全く異なる概念だ。

第四世代では「時間管理」という言葉自体を誤りと考える。なぜなら時間は管理できるものではない。唯一管理できるのは、自分自身でしかない。
第四世代では、「物や時間に集中するより、「大切な人間関係」や「生活の役割」、あるいは「大切な目標達成」に焦点をあわせている。簡単に言ってしまえば、生活における「P/PCバランスを維持する」ための手法である。(P.212)

この第四世代の時間管理の中心的な概念を現したのが、「時間管理のマトリックス」である。 時間管理のマトリクスは、こちらを参照。

すべての出来事は「重要/重要でない」「緊急/緊急でない」の四象限マトリックスのどこかに位置する。

簡単に言えば、上記ページにある「II.生産性とバランス」(本書では第二領域と呼ばれている)に集中し、効果的な自己管理を行わなければならないということだ。第二領域に割く時間をとっていくことで、第一領域の時間が減っていきより効果的な生活を営むことができる。
第二領域に集中するためにはそれ相応のツールが必要であり、その思想を下敷きとしてつくられている手帳が「フランクリン・プランナー」というわけだ。

ポイントは、スケジュール課題に優先順位をつけることではなく、優先課題をスケジュールに入れることである。(P.230)そしてそれを、週単位で計画していくこと。

第二領域に集中した一週間の計画のプロセス

1.役割を定義する
自分の生活の主な役割を書き留める。
ここではずっと継続する役割を定義する必要はなく、次の一週間で過ごす大切な領域を定義するだけでよい。

2.目標設定
1で定義した役割において、次の一週間で達成したい大切な目標を二つか三つ設定する。この目標では第二領域の活動を目標として掲げること。

3.スケジュール化
2のステップで設定した目標を念頭に、目標をなし遂げるための活動をスケジュールに入れる。この時、この第二領域の活動だけでスケジュールが一杯になるようにしないことがポイント。当然だけど、第一領域や第三領域の時間がなくなるわけではない。バランスをとっておく必要がある。

4.日々の対応
毎朝、数分間自分のスケジュールを見て、一週間の目標を振り返り、自分が今直面している状況を再確認する。

この四つのステップで重要なのは、「目標設定」は、第一、第二の習慣で学んだ価値、原則に基づき設定されること。また、自分自身に約束を入れていくということ。自分自身に約束を入れて、可能な限り第二領域の時間を自らつくりだしていくことが必要。

このステップについては、「最重要事項を達成するための4つのステップ」に詳細がまとまっている。

デレゲーションについて

このような目標達成には、二つしか方法はない。自分でやるか、他の誰かにその仕事をまかせるかだ。他の人に任せることをデレゲーションと言う。 デレゲーションを完全な形で行うには、次の五つの事柄を明確に打ち出し、相互理解と決意を得るようにしなければならない(P.248)

  • 望む結果
  • 「どうやって」より「何を」
    手段ではなく結果に焦点をあわせる。望む結果をイメージして鮮明に描く。いつ達成されるのかを明確に文章で表現してみる。

  • ガイドライン
  • 守らなければならないルールがあればそれを明確にする
    必ず失敗すると分かっているやり方があるなら、それも明確にしておく

  • 使える資源
  • 望む結果を達成するために、活用できる人的、金銭的、技術的、組織的な資源の範囲を明確にする。

  • 責任に対する報告
  • 結果を評価するために使われる基準を設定し、評価する人は誰なのか。報告と評価が具体的にいつ行われるのかも設定する。

  • 履行(不履行)の結果
  • 評価の結果によってどうなるか(賞罰)を設定する。

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2004/05/07 10:03

2004年05月06日

7つの習慣:目的を持って始める

「7つの習慣」第二の習慣は「目的を持って始める」だ。

「人生の最後の姿を描き、それを念頭において今日という一日を始めることである。そうすれば、自分にとって何が本当に大切なのかをベースに、今日の行動、明日の行動、来週の行動、来月の行動を計画することができる。」(P.27)

「最期の姿」を念頭において、というのも極端な考え方であるが、要は長期的な目的をブレイクダウンして1日という日を送らなければならないということである。

「目的を持って始める」ということは、リーダーシップの原則に基づいている。 「マネイジメントは手段に集中しており、どうすれば目標を達成できるかという質問に答えようとするものである。一方、リーダーシップは望む結果を定義しており、何を達成したいのかという質問に答えようとするものである。」(P.132)

「リーダーシップ」と「マネイジメント」をどう切り分けるかということはたいした問題ではないが、ここで著者が言っているような「目的を定義する」能力(リーダーシップ)と「目的を達成させるための能力」(マネイジメント)は、組織においても当然欠かせない。 私自身もそうだったのだが、「マネイジメント」に率先してあるべき「リーダーシップ」については極めて曖昧な考え方しかしていなかった。ここでこの二つが切り分けられ、そしてそれが歯車の両輪であって、どちから一方でも欠けては目的達成は叶わないということを学んだ。ロジカルシンキングでも問題を要素に分解して、それぞれの要素について考えるというフレームの有効性はよく言われる。「マネイジメント」と「リーダーシップ」の問題は、僕のなかでは今までほぼ同一のもんとして一緒にまとめられていた。これを切り分けて考えることで、かなりいろんなことが整理される気がする。

目的を持って始める最も簡単で効果的な方法の一つとして、著者はミッション・ステートメントを書くことを推奨している。どうなりたいのか、何をしたいのか、自分の行動の基礎となる価値観や原則はどういうものなのか。 自身の価値の基準となるもの、自分自身に課すべき長期的な目標、価値観をつくるのだ。 ミッション・ステートメントをつくり、それを生活の中心に置くことで、それは「安定性方向性知恵、ならびにの根源となる」(P.147)

「リーダーシップ」は、ころころ目標を変えてはいけない。自身が目指す価値や目標に沿って一貫した決定や行動をとっていく必要がある。そうでなければ「マネイジメント」が困るからだ。「マネイジメント」は「リーダーシップ」が照らし出す方向性へ効果的/効率的に進むための手段であり、能力だ。照らし出される方向が間違っていたり、ころころ変わっていてマネイジメントがうまくいくはずがない。

今から3、4年前に僕らも組織のミッション・ステートメントをつくった。1年近い議論を重ねて、最終的に完成したミッション。最初は自分達でつくっていながら、どことなく地に足のついていない感じがしていたのだけれど、最近になってようやくそれをつくっておいて良かったと思えるようになった。非常に抽象的な価値観の表明ではあるけれども、自分達が向かう方向や、尊いと思う価値、信条などがミッション・ステートメントにきちんと備わっている。最後の砦はいつもそこ。遠くおぼろげながらそのミッションを守ろうという意識がどこかに根付いている。 前回の面談のなかでも何人かのマネージャーの口から「ミッション・ステートメント」の話が出た。そのミッション・ステートメントが自身の仕事観にもぴったり合っていると感じられる瞬間があったとか、それが大事だということがわかったというようなかなり嬉しい言葉だった。 ミッション・ステートメントを作成しているときは、まだ社員は20人にも満たなかった。日々の資金繰りで四苦八苦しているような状況でとてもミッションなんてこと言ってる場合でもなかったのだけれど、今思えばあの時つくっておいて本当に良かったと思う。

しかし、個人的なミッション・ステートメントというのは考えたことがなかった。 会社のミッション・ステートメントをつくっていたときには既に「7つの習慣」は読んでいたはずだったのだけれど、全然結びついてこなかったし、思い出しもしなかった。恥ずかしいことだ。

会社のミッション・ステートメントをつくっていたときもそうだったけれど、ミッション・ステートメントをつくるのは凄く難しい。それがすべての価値基準・規範となるということになれば、そうそう安易にはつくれない。いきなりミッション・ステートメントを書きないさいと投げ出されても、ほとんどの人はそこで行き詰まってしまうのではないだろうか。

そこで著者は「役割と目標を決める」という前段階を提案している。

私たちは生活のなかにさまざまな役割を持っている。たとえば、父であったり、妻、あるいは友人、会社の課長、部長、社長などなど。 まず、自分にはどのような役割があるかとういことを書き出してみること。そして、それぞれの役割に、自分はどのような人になろうとしているのか、どのような価値観によって導かれるべきかということを書き上げていくというわけだ。

「フランクリン・プランナー」には、ミッション・ステートメントを書くところが用意されている。また、ミッション・ステートメントを書くために必要な、自身の価値基準を見つめなおすための質問も用意されていて、その質問に答えていくことで、徐々に自身の価値基準が明らかになっていくという仕組みだ。

演習1が「価値観/説明文」をあげていくこと

価値観:プロ意識
説明文:
・毎日優れた仕事をする
・他の人のアイディアに対してオープンである
・積極的な態度を貫く
・チームプレイヤーとして貢献する

演習2は「役割」とその役割に対して「鍵となる人々」と理想の行動を「説明文」としてつけていくこと。

役割の例グラフィックデザイナー
鍵となる人々上司、編集者、顧客
説明文能力のかぎり完璧でクリエイティブな仕事をする

演習3は「スタートとなる質問」として、次ぎの2つに答えること。

  1. 仕事の中で、これを行えばすばらしい結果をもたらすと思われるものがあるとすれば、それは何ですか?
  2. プライベートの生活の中で、これを行えばすばらしい結果をもたらすと思われるものがあるとすれば、それは何ですか?

演習4が「ある(Be)、する(Do)、持つ(Have)」を明らかにすること。
「どのような人物になりたいか?(Be)」
「したいことのすべて(Do)」
「一生の間に所有したいものすべて(Have)」
をリストアップする。

演習5は、自分が死ぬとき皆からどんな人物だったと思ってもらいたいか、どのような人物として記憶に残って欲しいかということを具体的にイメージする。

そして、最後。
演習6は、以下の5つの質問に答えること。

  1. わたしが最も幸福で充実感を感じるのはどういう時だろうか。
  2. わたしが仕事において最も楽しく充実感を覚えるのはどんなことだろうか。
  3. わたしが私生活で最も価値があると考える活動はどんなものだろうか。
  4. わたしが身につけたい才能や能力はどのようなものだろうか。
  5. わたしが最も貢献できることは何だろうか。

この演習1~6を自身の頭で考え、イメージし、実際に書いていくことで、少しづつ自分の価値観が明らかになってくるというわけだ。フランクリン・プランナーを購入してから僕もこの演習を寝る前にやっているのだけれど、これが結構難しい。おそらく今まで考えたこともなかったことだからだ。

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2004/05/06 08:28

2004年05月05日

7つの習慣:主体性を発揮する

「7つの習慣」を再読し、以前に読んだときよりもさまざまな面で深く感じ入るところがあった。本書の冒頭で「パラダイム」という言葉がでてくるが、今の自分が持っている「パラダイム」と、前回読んだときの「パラダイム」が大きく違うのだろう。その違いが、本書の内容の受け止め方や理解の度合いを大きく変えるものだったのではないかと思う。

より理解を深めるために、「習慣ごと」に分けて本書を要約してみようと思う。

インサイド・アウトとは

「7つの習慣」はより充実した、成功した人生を掴むための原則を著した本だ。
そのアプローチの原則とは、「インサイド・アウト」である。インサイド・アウトとは、自分自身の内面(インサイド)を変えることから始めるという方法である。自分自身を変えることによって、私的成功を得る。私的成功を得ることが公的成功につながるという考え方だ。

「インサイド」を変えていく最も効果的な方法が「習慣」をつくるということである。

「私たちの人格は、繰り返される習慣の結果として育成されるものである」(P.50)

「7つの習慣」の原則

本書で語られる「7つ」の「習慣」を日々の生活に折込み、実践していくことで、人は「依存から自立へ、そして自立から相互依存へと成長していく」(P.54) この段階は必ず段階的であり、当然ながら依存状態を脱していなければ自立できず、自立できていない人は相互依存状態を得ることはできない。この自立から相互依存への段階的な成長は、先ほどの「私的成功」から「公的成功」への流れとシンクロしている。 「依存→自立」によって私的成功(1)を得て、「自立→相互依存」によって公的成功(2)を実現する。

「7つの習慣」もこの段階ごとに記述されている。
第一、第二、第三の習慣は(1)を、第四、第五、第六の習慣は(2)を達成するためのものである。基本的には第四~第六までの習慣は第一~第三までの習慣の土台に築かれるのだ。

P/PCバランスについて

「「7つの習慣」は効果性の習慣である」(P.61)

習慣性が効果性の向上に結びつく。著者は効果性には二つの側面があると考える。

目標達成(Performance)
目標を達成することまたは結果を手に入れること
目標達成能力(Performance Capability)
その結果を手に入れるために使う資源(物的、金銭的、および人的な資源)あるいは目標を達成する能力

効果性とは、P/PCのバランスにある。どちらか一方を重視し、もう一方を軽視することは長期的な効果性を弱体化させるだけである。このバランスをP/PCバランスと呼ぶ。本書では何度も登場する原則の一つだ。

組織においてもP/PCバランスは重要である。Pを重視しPCを軽視すれば、短期的なPは達成されるかもしれないが、PCは弱まり、将来的なPを失うことになりかねない。

ここまでが「7つの習慣」の前提となる考え方、「原則」についての原則だ。

第一の習慣:主体性を発揮する

「7つの習慣」の第一の習慣は「自己責任の原則」だ。

今の状況や問題を他人や外的環境などの責任とせずに、自身の責任として引き受けることである。そのためには主体性を発揮しなければならないと著者は言う。 主体性とは「自身の価値観に基づき行動」し、「自分を取り巻く状況そのものを自分で創り出」そうとする率先力を有するものだ。

「人間は刺激と反応の間に選択の自由を持っているということである。この選択の自由のなかにこそ、人間の人間たる''四つの独特な性質<自覚・想像力・両親・自由意志>がある。」(P.84)

何か問題が起きたとき、自分ではどうしようないと思えるような困難な事態に直面した時、人は安易に「どうしようもない」「仕方ない」「○○○でないとだめだ」「○○でさえあったら」というような言葉を吐く。

これらの言葉は「反応的」な言葉だ。主体的に生きる人間は「主体的な言葉」を発しなければならないと著者は言う。「刺激と反応の間」の「選択の自由」こそが主体的に生きる人間性がある。 そして、主体的な言葉が「自己達成予言」となり、自分の人生を自分自身で創り出すという前向きな姿勢を得ることになるのだ。

反応的な言葉と主体的な言葉の対比を著者は以下のような例であげている。

反応的な言葉主体的な言葉
どうしようもない代替案を考えてみよう
生まれつきだほかのやり方が選択できる
あいつは頭にくる自分で自分の感情をコントロールする
そういうことが認められるわけはない果的なプレゼンテーションをしょう
しなくてはならないそうすることに決めた
できない選択する
○○でないとだめだ○○の方がいいと思う
○○でさえあったら私が○○をする

さて、主体性に対する自覚を高めるにはどうしたら良いか?
著者は関心の輪を描くことだと言う。

自分が関心を持っている事柄と関心を持っていない事柄を振り分け、関心の輪のなかに入っている事柄を見つめる。関心の輪のなかをよく見つめればそこには自身がコントロールでき、そして影響をあたえることができるものがあるということが理解できる。

つまり、関心の輪の中には、その中に含まれる「影響の輪」があるということだ。

「主体的な人は、努力と時間を影響の輪に集中させ、自らが影響できる事柄に働きかける。その結果として、影響の輪が大きく広がることになる」(P.103)

私たちの直面する問題には、三種類あると著者は語る。(P.108) 影響の輪を意識し、それを広げるよう自身から主体的に働きかけることができれば、これら三種の問題はすべて解決できる。

  1. 直接的にコントロールできる問題(自分の行動と関係している問題)
  2. 間接的にコントロールできる、あるいは影響できる問題(他人の行動と関係している問題)
  3. 全くコントロールできない問題(誰も影響できない問題、過去の出来事)

これら三種類の問題を解決する第一歩のすべてが、自分の影響の輪の中に入っている。

直接コントロールできる問題
習慣を変えることによって解決される。第一~第三の私的成功に関わる習慣に解決がある。
間接的にコントロールできる問題
影響を及ぼす方法を変えることによって解決される。第四~第六の公的成功に関わる習慣に解決策がある。
全くコントロールできない問題
自分の態度を変える必要がある。

解決の第一歩はつねにわたしたちの手に委ねられているのだ。

では、影響の輪に働きかけるとはどういうことか?

影響の輪の最も中心にあるものは約束をし、それを守る力である」(P.118) 約束をし、それを守ること/目標を設定し、それを達成するために働く、この二つに取り組んでいくことで、内的な誠実さが育成され、自尊心・自制心・勇気が沸いてくる。

刺激と反応の間の選択の自由に主体的に働きかけ、課題や問題は自分自身が状況に働きかけることによって改善・解決していくことができるという信念を持つ。そしてつねにその信念から自身の影響の輪を広げようと働きかけていくこと。 そのための基礎として、「約束をし、守る」「目標を設定し、達成するために働く」を些細なことからでも初めてみる。

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2004/05/05 11:58

2004年05月04日

聖の青春/将棋の子

今日は来週の準備を夕方までして、その後、バスで今出川百万遍まで出向き、進々堂へ。(新進堂ではなかったですね。大間違い)。
今日はこの2冊。僕は将棋は弱い。しかし、「将棋」の世界は好きだ。将棋に全身全霊を捧げる者達の姿や、これまでの定石や常識を覆し、常人には想像も及ばないような思考の世界に生きる天才達。そんな姿や世界に僕はいつもワクワクさせられる。棋界には多くの伝説がある。
将棋を全く知らなくても出来なくても、この2冊はオススメ。読んで良かったと心から思える名作。

聖(さとし)の青春
大崎 善生



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一つのことを成し遂げる難しさ
命を指した天才棋士。闘病と師弟愛。
やはり泣けました

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村山聖という夭逝した天才棋士の生き様を綴ったドキュメンタリー。村山を支えた魅力的な人達。本を読みながら泣くことは少なくはないけれど、本から目を離してうつ伏さないといけないぐらい泣いたのは初めてかもしれない。
将棋の子
大崎 善生



おすすめ平均
将棋を知らない人も読んでほしい
プロになれなかった少年たちへの応援歌
感動

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こちらは「奨励会」というプロへの登竜門、裏舞台を生きる青年達を描いている。年齢制限というプレッシャー。将棋しかなかった者が突然、社会に投げ出され困惑する現実。表舞台にたてなかった者達の生き様。 今日は天気は冴えなかったけど、この本を読んだあとはすかっと心は日本晴れ。すがすがしい気分に満ちた。

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2004/05/04 21:45