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2004年04月18日

パレード

今日は天気が良くてどこかへ行きたい気分だったが、ぐっと我慢で会社に。
今週はかなり大変な一週間になることが予想されるので下準備だ。やろうと思ってたことの半分もできなかったけど、まぁ最悪明日は乗り越えられる準備はできたからまぁいいや。

帰りに三条のブックファーストで吉田修一の「パレード」を買う。

パレード
吉田 修一


帰ったら同居人がお好み焼きを焼いてて一緒に食べた。十分お金がとれるぐらいの出来栄えで二人でかなりでかいお好み焼き二枚をたいらげた。店で食えば1500円はかかるだろう。

2LDKのマンションで共同生活を送ることになった男女五人。各章はそれぞれの視点で描かれる。前半は「共同生活」を通じて青年の空虚な内面やら、満たされない愛の形やらといったありふれた話だが、後半に進むにつれ徐々に物語は暗さを増していく。琴美や未来の章で「ここでの暮らしって、私にとってはインターネット上でチャットしているようなもんなのよね」っていう琴美のセリフがあって、これがそのままこの小説が表現する表側の世界観を構成し、後半の二人ではその視点が相対化される。解説で川上弘美が書いてるように、たしかに「こわい」小説ではある。

阪神はサヨナラ負けだ。

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2004/04/18 23:55

ここ最近読んだ本、備忘録

ブログに書いたもの以外で、ここ最近読んだ本をリストアップ。

ブランド・エクイティ戦略―競争優位をつくりだす名前、シンボル、スローガン
D・A・アーカー , 陶山 計介

今更ながら読んでみた。やっぱり「古典」(「古い」という意味ではなく、「ブランド理論・体系書」としての基礎という意味で)は読んどかなきゃならなんなぁと今まで読んでなかったことをちょっと後悔。


仕事に使えるゲーム理論
ジェームズ ミラー, 金 利光, James D. Miller


おもしろかった。ゲーム理論の本もいろいろ読んだけど、今のところこれが僕のなかではベスト。


マネするマーケティング
岡本 吏郎


前作が面白かったんで読んでみたがこれはどうなんだろう.... この手のマーケティング本はもう食傷気味。


超・営業法
金森 重樹


「行政書士」をターゲットにした「営業」手法・ノウハウ本。特に目新しさはない。


「行列のできるスーパー工務店」の秘密
平 秀信


「工務店」をターゲットとしたいわゆる「神田系エモーショナルマーケティング」。こちらも特に目新しさはない。


イヤな客には売るな!―石原式「顧客化戦略」の全ノウハウ
石原 明


「営業マンは断ることを覚えなさい」で十分という気が...


シンセミア(上)
阿部 和重


ようやく「上」を読了。Amazonの書評に大江健三郎と中上健次の「間」という言葉があったがなるほどなぁと。でも僕個人的には中上は完全に大江を乗り越えたと思ってたんで、なんか「間」を意識するということが文学的な逆行のようにも思えたりする。(「越えた」とか「後」とか「先」なんてのも変な意識だけど)。あと、ちょっとマルケスとかあの当たりの南米系のマジックリアリズムの臭いも...


おめでとう
川上 弘美


傑作短編集ですね。最近小説をきちんと読んではいなかったけど、やっぱり川上弘美は凄い。

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2004/04/18 02:47

2004年04月11日

ディボース・ショウ/「8つの感情」/「ブランドマーケティングの再創造」

コーエン兄弟の新作「ディボース・ショウ」を観た。やっぱりコーエン兄弟。安定感あるなぁ。面白い。でも、コーエン兄弟の映画ってなんであんな「変な顔」の人ばかりがでてくるのか....? 

そのまま四条界隈をぶらつき、

を購入。

「8つの感情」のほうは、「あのブランドばかり、なぜ選んでしまうのか――購買心理のエッセンス」に構成や展開がそっくり。と思ってたら、なーんだ、この著者二人は「あのブランドばかり、なぜ選んでしまうのか」の訳者なのね。「あのブランド~」の事例を日本の事例に変えた本という感じ。

ブランドマーケティングの再創造
J・N・キャップフェラー , 博報堂ブランドコンサルティング
価格 ¥ 2,100 [ 定価 ¥ 2,100]

「ブランドマーケティングの創造」はブランド理論の権威カプフェレ教授の日本初翻訳本。前半のポジショングとターゲティングを基礎とした製品ブランドから、信頼性や信用を重視するコーポレートブランド(傘ブランド)への流れ/融合の話は面白いんだけど、Part3の「ポスト広告時代のブランド」はなんか聞き飽きたという感じのことで、それがちょっと残念。
Part1~Part2を読んどこう。
あ、博報堂ブランドコンサルティングが監訳だったのかぁー。

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2004/04/11 18:49

チームが絶対うまくいく法

チームが絶対うまくいく法
デイヴィッド・ストラウス , 斎藤 聖美
価格 ¥ 1,575 [ 定価 ¥ 1,575]


Amazonで詳しく見る4532311276

同著者の前作「会議が絶対うまくいく法」も読んだが、こっちはあまりピンとこなかった。ファシリテーターの重要性や役割はよくわかったけど、そのレベルですぐにこの方法や考え方を取り入れようという気にはならなかった。でも本書のほうはかなり刺激を受けた。もしかすると、本書を読んでから前作を読んだほうが前作の魅力も増すのではないかという気がする。ということで、今、前作を再読中。

組織、チームでいかにして意思決定を行っていくのか、問題を解決していくのか、ということはここ最近の僕の悩みの一つだったわけだけど、この本を読んで少し光が見えた気がした。

著者は、協調型の問題解決法として「コラボレーション」という言葉を使っている。「コラボレーション」で大事なのは、関与者(ほぼ)全員の納得・理解を得るということだ。きちんとした「コラボレーション」が行えれば、それは可能だ、と著者らは言う。
そのポイントは「コラボレーション」における「プロセス」だ。

特に「プロセス」において僕が意識していなかったのは、コンセンサスを築いていくためには、「1つずつ段階を踏んで」いかなければならないという前提だ。
ここでは、6つの段階が提案されている。コンセンサスづくりでは、この段階の1つづつで関係者全員の合意を得ていかなければならないわけだ。

第一段階:認知
問題があるのか? それをどう感じているのか。問題をオープンに話してかまわないのか。
第二段階:定義
問題は何か。その範囲や境界線は?
第三段階:分析
なぜその問題が存在するのか、その原因は何か。
第四段階:解決案リストの作成
問題解決のために考えられる案は?
第五段階:評価
解決策はどのような基準を満たすべきか。どの案が他よりも優れているか、あるいは受け入れられそうか。
第六段階:意志決定

どの解決案なら合意を得られるか。どの提案なら実行可能か。

最初の三段階を「問題領域」、その次ぎの三段階を「解決領域」といい、実は「コンセンサスづくりの大半は、問題領域で行われる。」(P.81)

個人的に特に強く意識しなければならないと感じたのは、第二段階の「定義」だ。問題をどう定義するかによって、「解決領域」の取り組みは大きく変わってくる。たとえば、問題を「売掛債権回転率の上昇をどう抑えるか/改善させるか?」と定義するのと、「キャッシュフローの悪化を防ぐには?」と定義するのとでは、解決案の検討もまったく違ってくるだろう。後者なら原因の一つとして「売掛債権回転率」があげられるかもしれないが、前者なら原因は「支払いスパンの長い1企業への売上依存度が高い
ということになるかもしれない。そのようにして諒解が得られた「定義」は、「解決領域」での議論の範囲を決定づけ、解決の方向をも決めてしまう。

ちなみに、著者らは本書で「問題」、あるいは「問題解決」をとても前向きな言葉で利用している。「問題」というと、何かマイナスのものと考えてしまいがちだが、そうではない。問題とは「誰かが変更したいと思う状況」であり、つまり問題解決とは、「状況を変更すること」、つまり何か行動すること、(P.30)だと定義している。
この考え方は実は、「問題解決」といったものに取り組む際に、前提となるものだろう。「問題」をどう定義するかによって、それは重苦しく厄介なものと映る場合もある。「問題」をそのように捉えるのと、「問題解決」は自分達が日々行ってることであり、それは企業、組織活動にとっては当たり前のものなのだと考え、実行に移していけるのとでは、当然後者のほうが良い解決が得られるのではないか。

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2004/04/11 09:50

2004年03月30日

企画力 「共感の物語」を伝える技術と心得

企画力 「共感の物語」を伝える技術と心得

企画力 「共感の物語」を伝える技術と心得

役員会議の休憩中に、監査役の方から薦められた本。
その場でAmazonで注文したら今日届いた。スグに読める本だけれど、すごく面白い。文章も明快で、一文一文がしっかりと伝わってくる。

僕は「企画書」の書き方、HowTo系の本や、図解手法の本は手当たり次第買ってた時期があるので、かなりの数持っている。
それらの本で得た技術・技法的なノウハウや代理店さん経由のプランニングのお手伝いをたくさんやったお陰で、企画書や提案書類をつくるのは得意なほうだ(と、自分では思い込んでいた)
それっぽいものをつくって、自分には「企画力」があると勘違いしていたところがある。

が、本書を読むと、自分が書いてたものなんて「企画書」でもなんでもなく、それは「計画書」にすぎなかったんだな、ということを思い知らされた。

企画のアイディアや表現のテクニックのもっともっと根本にある「企てる」という最も重要なことを忘れてしまっていた気がする。そう、本書のサブタイトルにもある企画の「心得」の部分がすっかり抜け落ちてしまっていたのだ。反省。

ちょっとしたアイディアやポイントの整理を、凝った図で表現して、なんとなく「企画書」をつくった気になっていたわけだが、これはとんでもない間違いだ。

著者は冒頭で「企画力」を「人と組織を動かす力」だと定義する。つまり、「企画書」をつくるときは、何かアイディアや考えを立案するということではなく、その企画書を通じて人が動き、組織をも動かすものでなければならない。「企画」というは立案と実行が表裏一体の関係にあり、どちらかが欠けてもまったく意味のないものなのだ。

この短い本のなかの一つ一つの言葉には、まさに「企画力」が詰まっている。読者を本文に引込み、一気に最後まで読ませてしまう力。そしてここで語られたことを実践しようという気にさせてしまう力。
「企画書」に必要なのは、豊かな図解の表現や技術などではなく、まずその力だろう。

本書の各章のタイトルはそのままこの本の要約になる。次ぎに「企画書」を書くときに忘れないように記しておくことにする。


  • 人間と組織を動かす力 それが、企画力

  • 企画とは、実行されて初めて企画と呼ぶ

  • 企画力とは「物語のアート」である

  • 「最高の企画書」とは「最高の推理小説」である

  • 「知識」を学んで「知恵」を掴んだと錯覚するな

  • 「企画書」においては「企み」を語れ

  • 「何を行うか」よりも「なぜ行うか」を語れ

  • タイトルで「企み」を語る それが、最高の「掴み」

  • これから何が起こるのか その「ビジョン」を語れ

  • 「企み」を「戦略」に翻訳せよ

  • 読みやすい企画書は「自問自答」のスタイル

  • 読み手の「思考の流れ」を導け

  • 「三の原則」を用いて 企画書をつくれ

  • 企画書は「一人歩き」すると思え

  • 顧客企業の担当者は「同士」である

  • 「攻め」だけでなく「守り」に強い企画書をめざせ

  • 「表の企画書」だけでなく 「裏の企画書」をつくれ

  • 企画書とは「営業の品質管理」である

  • 営業担当者を企画会議に参加させよ

  • 没にした企画の数が企画の凄み

  • 顧客の心を読み、言葉を選び 迷いを捨てよ

  • 企画書は読み終えた一瞬が、勝負

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2004/03/30 02:21