佐内正史「Chair Alubm」

佐内さんのこれまた限定の写真集「Chair Alubm」を手にいれた。

とっても今回はオークションでもなく、普通に古本屋で買えたのでそんなに高くもなかった。
「MAP」に続いて、畑中章宏さん編集、町口覚の装幀による佐内正史事務所刊行の第二弾写真集だ。
この写真集のキーワードは「小さな白黒写真 無限の記憶」とのこと。

この写真集が実にいい。ほんとに素敵な写真集なのだ。何度でも見返したくなる。

この写真集におさめられている写真は、ボクらがどこかで見たことのある、日本のどこにでもある風景ばかり。
道があり、高台があり、駅があり、雨があり、雪がある。バスローターリーがあり、駅の改札があり、高架があり、田園がある。凧があり、森があり、海があり、公園がある。祭りがあり、車があり、繁華街がある。

どの写真もいつかどこかで自分が体験した、自分が視たかもしれない光景・風景だ。何枚かはそこがどこであるかがわかる地名が写真にあるが、そこがどこなのか検討がつかないその他多くの写真も、なぜか自分の身近なところ、それほど遠くないところで出会えそう、出会ってそうな気がする。不思議だ。

大西みつぐさんの写真でもそういう感覚に陥ったことがあるけれど、大西さんの場合は、とても昔に確かにそんな光景や風景もあっただろうなと思わせるようなところがあり、そんな感覚を抱かされるのに実はその写真が最近の写真だったというような種明かしでビックリしたりもするのだけど、佐内さんの場合は、特定の「時間」に縛られて記憶を揺さぶられる感じではない。

どの写真もノスタルジーを感じさせるほどの時間的な距離は感じない。かといって、じゃぁまだ手が届くようなぬくもりや距離が感じられるかというと、そういわけでもない。なんとなく、去年とか一昨年、ぐらいの時間感覚だろうか。まだ覚えていることも多いし、今、今日にも繫がっているけど、でもやっぱりそれは遠い過去。新しくもないけど、古すぎるわけでもない。


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