稲盛和夫の経営塾―Q&A高収益企業のつくり方

4532194253稲盛和夫の経営塾―Q&A高収益企業のつくり方」─前回の出張の帰りに京都駅で買って新幹線で読んだ本。
稲盛さんの本はなんだかんだと読んでいる。誰がなんと言おうと日本を代表する起業家だと思うし、経営者だと思う。アメリカにジャック・ウェルチがいるなら、日本には稲盛さんがいる。いまや松下幸之助が拝した「経営の神様」という称号は、稲盛さんにこそがその後継者ではないかと思う。

本書は盛和塾での活動のなかの「経営問答」から、「高収益企業をつくる」というところにテーマを絞ってまとめられているものだ。文庫本なのでこの季節ならコートのポケットに入れて、ちょっとした空き時間にも読み返すことができる。
実際の経営者の悩みに稲盛さんが答えるという形式なので、相談事例がかなり具体的で、自分たちの状況に照らし合わせて考えることができる。

すべての答えの基本には、
経営の原則である「売上を最大にし、経費を最小にする」という思想が根付いている。私たちはついつい常識に縛られ、売上の拡大にあわせて経費も増えていくものとして捉えている。しかし、稲盛さんは、それがいけないのだと諌めている。

この基本となる経営思想をベースとして、独自の稲盛哲学が広がる。

  • 高収益体質をつくること、利益率の改善を徹底、最低税引き前で10%以上を最低目標とする。
  • 採算単位を細分化して経営の実態を詳細に把握し、打つ手を考える。
  • 業績を賞与や賃金に反映してはならない。
  • 核となる事業に徹し、オンリーワンを目指す。
  • 財務基盤が整ったら、多角化を考える、1つの事業の盛衰に会社の命運を左右されないために多角化は必要。
  • 多角化の際の新規事業の競争相手は専業であることが多いので覚悟と集中力が必要。
根本には「下請け」であろうが、何であろうが、とにかく1つの事業を極め、そこでの採算性を徹底して改善し、高収益体質をつくることが重要とされる。なので既存事業が厳しいので新規事業に乗り出したい、というような相談はたいてい、まず既存事業の採算性をもっと高めてからにしないさいという結論になる。

でも、ここで書かれてることって、こうやってあげてみると、なんてことはない、当たり前じゃないかと思えることばかりだ。
ところが経営の現場になると、この当たり前のことが当たり前に見えなくなってしまったり、つちつい奢ってしまったりで、こんな「基本」が守れなくなることがある。
また、基本だからこそ、その地味さに引け目を感じてしまい、ついついもっと派手なものが「経営」なのだ「戦略」なのだと勘違いしてしまうこともあるかもしれない。

本書を読み、稲盛哲学にあらためて接することで、あらためて気を引き締めねばと思った。

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