渋滞の解消法と組織の関係

渋滞

この前といっても随分前のことだけれども、何気なしにテレビを見ていたら、渋滞の解消法みたいな実験番組がやってた。
長年渋滞解消をテーマに研究している人がこうすれば渋滞は解消できるみたいに、解消法のポイントを挙げて、実際、それでシミュレーションしてみるというものだ。

全部正確に覚えてるわけではないけど、その先生が言っていたのは、渋滞というのは前とのクルマの車間距離が何m以下(忘れたけど50mとか60mとかそれぐらいじゃなかったけな)になると起きるということだった。

だから、渋滞を起こさないためには、その車間距離以上に保つように走ることという単純なものだ。渋滞気味になってスピードが落ちてきて、間隔が詰まってきたら、その間隔を詰めないよう、維持するように自分もスピードを落として走ること。

渋滞気味になってくると、少しでも前に行きたいという思いからか、あるいは横入りされることへの嫌悪感からか、とにかく前との間隔を詰めて、頑なに一台も入れないぞ、という姿勢で運転する人がいるけれど、あれは「渋滞」全体から考えるとまったく効果がない。むしろ、逆効果で、渋滞を伸ばす要因になるらしい。

ほとんどの渋滞というのは、車間距離が何m以下の水準になるぐらいの車の「数」によって引き起こされるのではなく(ボクらが普段考える「渋滞」というのは単純に、車の数が多い、車の量が多い。道路のキャパを超える車がおしよせた、と考える)、抜かれたくない、抜かしたくない、間に入られたくない、という心理から、必要以上に車間を詰めようという意識が働き、それが連鎖して後続の車に影響を与えて行くらしい。その影響は、後ろに行けば行くほど大きくなり、渋滞へと繫がるとかなんとか。

だから、渋滞のときでも車間距離を空けて入っていると、次々と前に入られてしまったりするけれど、そういう場合にも、むしろ広い心で、どんどん前に入れさせやればいい。そこでも車間距離を維持するようにゆっくり走るよう心掛ける。
そうして、車間距離をとる走り方を徹底してやればやるほど、周りにはそういうクルマが増えてきて、どんどん渋滞の種が消えていくとのこと。

運転する人が全員、車間距離をとって走るという意識で走れば、現在発生している渋滞の大部分は解消できるというのがその先生の言い分であった。

でも、この渋滞解消法って、自分がそんな風に車間距離をしっかりとっても、解消できるのは渋滞の種であって、後続の渋滞をなくすことができるということだ。その行為で今、自分に迫っている前方の渋滞が解消できるわけではない。(全員が同じような意識で、そういう行動を取るようになれば、そもそもの渋滞は解消するが)

自分が渋滞から逃れるためには、自分より前を走る集団が同じように車間距離をとった走行をしてくれなければいけない。ここにはある種の自己犠牲や献身、そして性善説にたった行動が必要になる。

この渋滞の話を聞いてて、ボクは目先の利益と、長期的な利益という組織におけるよくある関係についてなんとなく近いものを感じた。

単純に目先の利益を追い求めるよりも、長期的な発展や貢献に照準を合わせたほうが、会社としてみた場合には良い状態になるのではないか、というメタファーとしてだ。

特にマネジャーや経営者という人は、今、この瞬間の満足を獲得するために行動するのではなく、明日の、次の満足や成果を求めて行動しなければならない。この行動の連鎖が強い組織、強い会社、強い事業を作り出していくことになるのではないか。
そういう行動というのは一見、その部分だけ取ってみたら、よくわからないものだったりするものも多い。渋滞の例でいっても、車間距離をしっかり取る、割り込みなどを許す、って行為が、全体としての渋滞解消にどう繫がるかの因果関係はよくはわからない。

渋滞が迫ってるときに、前に他のクルマを入れさせたくないと、スピードをあげて前との距離を詰めていく、という行為は、その瞬間では「他のクルマ」に前に行かせなかった、という自己満足(短期的な成果)を実現するものだろうけれども、その行動が後続に与える影響はマイナスのものだったりする。組織とか会社でも似たようなことはたくさんあるんではないか。1つ1つの決断は、その人、本人にとっては合理的だし、満足度の高いものだけれど、全体として見たら、色々な活動の要素として繋ぎ合わせてみたら不合理だったりするという話だ。

例えば、ベタな例で言えば、短期的な売上を伸ばすために、瞬間風速的なプロモーションばっかり繰り返してたら、その商品は、決してブランドにはなりえない。商品寿命としてもそんなに長いものにはならないだろう。

でも、この手の長期的な視点からの行動は現場の最前線にいる人は、なかなか取りづらい。現場の最前線は、この今の瞬間で最大の成果をあげようという引力に引かれるものだ。だから、それが出来るのはマネジャーや経営者ということになるんだろう。

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