TOPページのラフから作る間違い

サイト制作、リニューアルのプレゼンテーションなんかの場合に、「TOPページ」のラフデザインの提出を求められることは未だ少なくないのではないか。この行為は儀式のようになりつつあるが、少しばかげている。

「TOPページ」をつくるためには、当然、サイト全体の構成、構造がある程度決定している必要があるだろうし、プレゼンテーション時にそれらを行うというのは、時間的にもコスト的にも不可能であることが多いからだ。結果、現状の構成を流用しつつ、デコレーションするってことになる。デコレーションでしか誤魔化せないとなると、現状サイトとの変化がないと理解してもらえないんじゃないか(理解というより、「変化」がなければ見向きもされないんじゃないかという恐怖か)ってんで、とりあえず派手な演出に走ってしまうわけだ。ここで登場するのがFlashだったりする。
(もちろんすべてのサイトがこういうプロセスじゃ駄目というわけでもないとは僕は思ってる。見た目上の派手さだけがすべてというサイトもあるかもしれない。それが唯一、至上の目的の場合だってあるだろう。そんなときは、デコレーションだけが重視されてももちろん良いとは思うけども)

一度そんな風にして始まってしまったら、結局最後までそのデコレーションにすべてが縛られてしまうことになるケースは多い。ユーザーインサイトや設計やサイトの目的や、ユーザー動線やといった本来、サイトの目的を達成していくのに必要なことは後回しにされ、表層的なデザインの話に終始してしまう。デコレーションに構造が捧げられるというような矛盾したことが平気で行われてしまったりする。

これは発注者だけの問題ではなく、受託側にも問題があり、受託側はそれをきちんと説明していく義務がある。啓蒙していく義務がある。

しかし、特に大手代理店さんの仕事では、説明をさせてもらう機会もなく、いやおうなしに悲惨なプロジェクトの序章となるプレゼンテーションに突入ということになるケースが多い。本来、そのような進め方の仕事は断るという勇気も必要なのだろうが、そうはいっても仕事だ、なかなか断れないのが現状だ。そういうプロセスで仕事ができる代わりの会社はいくらでもあり、その方法で対応できないなら、別のところにお願いすればいい、という感じで切り捨てられてしまうこともあるだろう。

同業他社さんの中には、代理店とは仕事をしたくないというところも多いようだ。直接お客さんと話ができないってのも理由の一つだろうが、制作のプロセス自体が自分たちの方法に合わないってのも大きな理由を占めているんではないかなと思う。

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コメント

  1. 津川義明 より:

    下記のサイトにまったく同じテーマ(タイトルもほぼ同じ)で記述があります。
    http://www.usability.gr.jp/voice/index.html

    (私信)
    FRANKJUSOのHNでBLOGをはじめました。ご指導よろしく。

  2. ハコとクシ より:

    たてプレ・よこプレ

    アフォーダンスというのは聞き慣れない言葉であるが、物の特性-ある特定の物に対してどんな操作や扱いができるか、を言い表す専門用語である。ドアは開けることと閉めることをアフォードし(中略)、椅子は支えることをアフォードし(中略)、しかし、その高さによって簡...

  3. サイト設計について、紙媒体とウェブの根本的な違い

    こちらの記事、んーホントそう思います! ▼U-siteより「カンプから始まるウェブ制作は失敗への近道」 紙媒体(ポスター)における「見た目」と「機能」の表裏一体性の説明と、「ソフトウェア」と「ソフトウェアの見た目」の違いの説明、、、うまいね。 ソフトウェアの「...

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