レバレッジ・リーディング


“レバレッジ・リーディング” (本田 直之)

たくさんの本を読みたいというのは、多くの人が持つ欲求のようで、毎年のように新しい速読術の本が生まれている。やはりそれなりに売れるからなのだろう。
ただ、速読ってのは難しい。誰もができるわけではない。独自の視線の動かし方など、トレーニングが必要なものが殆どだ。誰もができるわけではない。(たいていの本は「誰にでもできる」と書いてあるのだが)
しかし、本書の「レバレッジ・リーディング」は誰もができる。「レバレッジ・リーディング」は「速読」ではない。「多読」法だ。早く読むのではなく、必要な箇所だけを読む。読む場所を絞る。だからどんなに読むスピードが遅くてもできる。読む箇所を減らせばいいからだ。

確かにここで書かれているような読み方というのは、ビジネス書に限っていえば有効かもしれない。目的をしぼって、時間を決めて、とにかく自分が求めるものだけを拾って読んでいく。その時の自分にとって必要な箇所や重要と思えるところにはどんどん線を引き、折り目(「犬の耳」)を入れていく。読み終わったら、線を引いた箇所などをメモにまとめて、そのメモを何度も読み返す(「レバレッジ・メモ」と著者は呼ぶ)。

ビジネス書類というのは、読むことが目的ではなく、その内容から、自分に必要な知識やヒント、励ましなどを得るために読むことが殆どだろうし、その意味では、この方法は決して間違いではないとは思う。
著者は、本ぐらいに確実な投資はないと説き、可能なかぎりたくさんの本を読むべきだと主張する。この主張にはボクも全面賛成なのだが、しかし、ボクはビジネス書ばかりを読むというのもどうなのかとは思う。

いわゆる小説や詩、戯曲などの文学なども読むべきだろうし、自然科学系の本、哲学や思想、心理学などの本と
できるかぎり幅広いジャンルの本を読んだほうがいいのではないかとボクは考えている。やはり、ビジネス書というのはそれはそれで偏っていたりするのではないか。

そして言うならば、文学や哲学書などは、まったくこのような読書方法には向いていない。というか、そんな風に読んでしまったらなんの意味もなくなってしまう。文学は「読む」ことそのもの、その体験そのものの中にも価値がある(とボクは思っている)。哲学書なども、読むことが考えることに直結している。だからこれらの本を「必要な箇所だけを選びとって読んでみたところで、それには意味がない。そういう読み方がしたいのであれば、小説ならストーリーの要約本や、哲学ならその哲学者の解説、研究本を読めばいい。(ボクはそういう要約本類はそれはそれで別の価値があるのだろうとは思うが、基本的にはあまり好きではない。)

さて、ボクにはボクなりの「レバレッジ・リーディング」法というのがある。ボク自身もビジネス書に限って言うとだいたい2日に1冊ぐらいのペースでは何かしらの本を読んでいる。読み方は、ここで著者が言う方法と大きく変わるところはない。本は借りたりせず、とにかく買う。きれいに扱おうなんて思わず、ガンガン線を引く。折り目をつける。

しかし、大きく違うところがある。

著者はまずしっかり目的を持って読書に挑もうと言う。しかし、いちいち目的を考えて本を手にとるのは面倒なのだ。なんとなく面白そうとか、これはちょっと読んでおきたいな、ぐらいの軽い気持ちで手にとる本だって決して少なくない。

では、どうするか?

ボクはビジネス書などを読むときは、まず、人に教えたり、自慢したりしたくなる箇所か自分の仕事ですぐに使えそうな箇所を探す。これが「目的」だ。毎回本ごとに目的を決めたりはしない。とにかく人に言いたくなるか、自分が使いたくなる処を探して読む。(もちろん「目的」があるなら、その目的をかなえる箇所を探していけば良い) 該当箇所を読んでいるときには、人に話しているイメージや、それを利用しているイメージを思い浮かべながら読む。

読み終わったら、忘れないうちに人に話す。最初はうまく話せないけど、話しているうちにだんだんと自分のものになっていく。ボクは面倒くさがりなので、メモを起こすなんてことはなかなかできない。だから、人に話す。人に話せば、結構覚えていくものだ。メモに比べれば、取りこぼしは多いだろうけれども、手間もかからないし、人に話すということで徐々にその知識やノウハウが「使える」ものになっていく。

そういえば最近ブログで書評なども書いてなかった。紹介する本はかなり気まぐれ。選ぶ基準も曖昧で、気分が乗ったら書くという軽い気持ちでやっている。これはこれでなんの問題もないのだろうけれど、でもブログを「レバレッジ・メモ」代わりに使うという方法もあるなぁとふと思った。
どうもブログで本を紹介するとなると、それはそれできちんとした文章にしなければならないので(なっていないことが多いのだけれど)、やはり気を使う。時間もかかるし、面倒くさい。なのでなかなか全部の本を取り上げられない。
でも「レバレッジ・メモ」なら、ただ本のなかで線を引いた箇所などを書き写すだけだし、自分にだけ理解できればそれで充分なのだから、「書評」なんかよりは圧倒的に楽だろう。

わざわざ、ブログに書かなくてもいいのではないかという意見もあるだろうが、ブログに書くとどこの環境からでも見られるし、検索もできる。あと、このブログを読んでる人のほとんどが社員なので、本に興味を持つてもらえるというのもメリットだ。わざわざメールでこの本が面白かったよ、と全員に語るわけにもいかないし。

が、しかし、そうはいってもやはり「レバレッジ・メモ」みたいなことをやり続けるのはかなり大変だと思うし、続けていく自信はない。なので、気がむいたら「レバレッジ・メモ」という形式でブログにアップすることもあるだろう、ぐらいの軽いノリで始めようかなと思っている。

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