2社の引越し業者の違いから

引越しの見積もりを2社に頼みました。

A社は営業がしっかりしてて、何にいくらかかるのかが明快にわかる。
かなり細かい見積もりを作成してくれます。また、オプションの体系や、サービス内容もわかりやすい。
最初に出てきた見積もりは想像よりはるかに高かったけど、価格の内容はよくわかった。

一方、B社は、A社とは正反対。
きわめてどんぶりです。
B社の見積もりの焦点は4tトラックでいけるかどうかだけ。いくつかのコースがあるんですが、僕の場合は、荷物が多く、一番上のコースになります。これは4tトラック1台で大丈夫かどうかみたいな基準しかないんです。

だから、何がいくつあるとか、そういうのもカウントせず、営業マンがざーっと家を見て、「大丈夫そうですね」みたいな感じで
見積もりが一式ででてきた。

B社は、A社の半分以下の見積額でした。

結果的に、A社さんもかなり値引きしてくれたのですが安さもあり、最終的にB社にしました。

ただ、A社の見積もりが、B社の倍だったからといって、A社に不快感や不信感を持ったかというと、ぜんぜんそんなことなくて、むしろ、営業マンの対応、教育のされ方、見積もりの精緻さ、細かさ、明快さ、みたいなことがあったので、好印象だったわけです。自分に予算があれば、あるいは、今度のB社の引越し内容があまりにもひどかったら、それはそれで、たぶん次はA社にしようって強く思うだろうなと。

この2つのどっちがよくて、どっちが悪いというものではなくて、そもそもビジネスの仕方が違うんだと思うわけです。同じ引越し業者でも。

B社の場合は、宅配網で構築した大きな輸送拠点「ハブ」が各都道府県に最低1つあります。これは自前でもってる。この拠点は、宅配にも使われている。B社の発想は、宅配、引越しも含めて、個人輸送網ってのは、一度、築くと、固定費自体は急上昇したりということがない。なので、あとは、その輸送網でいかにモノを流すかということだけが焦点になる。
引越し自体、そんなにみんな頻繁にするものではないんで、1回1回のサービスレベルにはそれほど頓着してないという感じです。まず、獲得することを最重要視しているというかね。

なので、引越しでもざっくり、トラック単位、人単位で拘束時間を把握すれば、パックにしてしまっておいたほうが効率がよい。下手に、細かいオプションをつくったり、料金体系を決めて、営業マンの教育に費やすよりは、完パックにして、多少赤がでるものがあっても、全体としておしなべてムラをなくしたほうが効率がよい、輸送するモノ自体を増やすことができる、そういう発想でしょう。

一方、A社の場合は、メインが引越し業で、そのために輸送網をつくってる。というか、ベースは借りているところも多い。彼らは、引越しそのもので黒字を出さないといけないので、そこで細かい料金体系を決めて、サービス内容をつくってる。
獲得することも大事だけど、A社そのものの「引越し」のすごさみたいなものをしっかり伝えてる。

まぁ最後はかなりの値引きはするものの、彼らとしては、引越し自体を高付加価値化することと、品質のブランディングってことを意識しているんだろうなと。口コミだとか、人に勧めたりみたいなことまでをかなり意識してるんじゃないかと思ったわけです。

どちらが良いとか悪いとか、そういう判断ではなくて、ビジネスが違う、ただそれだけなんだろうと思うんです。そして、そのビジネスの違いがこれだけのプロセスの違いとなってでていると。

ビジネスの仕方が違えば、とるべきオペレーションも違うし、重視するものも違うし、評価とか判断に使う数値も違う。
これは、同じ「製作」とか「ソリューション」って仕事をやっててもそうなんだろうと思うわけです。

自分たちの仕事に置き換えて考えてみると、A社は細かい料金体系をつくり、その料金体系、サービス体系にのっかってやる方法。B社は、人月計算なんかでばくっとやってしまって、ざっくりとプロジェクトを仕切っちゃう方法、ってなことになるのかなぁと考えていて、もちろん引越し業者と僕らの業界ではビジネスが違うので、単純なアナロジーは無意味だろうけれど、それでもやはり参考になる部分はあるなぁと。

一番危ないのは、A社のような方法をとってるのに、実際のオペレーションはB社だったりみたいなことで、つまりなんか各社のよさそうなところだけかいつまんできて真似したけど、ちぐはぐでしたってことなんじゃないかと。

ビジネス上の活動ってのは、ある目指すべきポジションだとか、価値だとかそういうものをより強化していくために連結し、関係しているのが理想で、それはどこかの部分を切り取って、どこかだけを変えてというような部分対処・最適化ではだめなんじゃないだろうかと。そんなことをふと考えたわけです。

僕らの仕事の方法は、目指すべきポジションとのフィットができてるでしょうか。そのプロセスはもっともそのポジションを強化していくために働いているでしょうか。

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