現代アートビジネス

あまり意識してこなかったけど、日本の家にはあまり絵が飾られたりしない。家にアートが少ないなぁと。
「日本の家には」とは言ったが、じゃぁ海外がどうなのかというのは正直よくわからない。
つい最近、読んだ本にも日本人ぐらい美術館や博物館に行く人種はいないけど、アート作品を買う習慣がない、みたいなことが書いてあったんで、多分、日本に較べたら欧米とかではアート作品の購入なんかはもっと身近なものなのではないかという気もした。(気がしてるだけでどうだかはよくわからない)

現代アートビジネス (アスキー新書 61) (アスキー新書 61)
現代アートビジネス (アスキー新書 61) (アスキー新書 61)小山 登美夫

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どうも日本だと、どこが良いのかさっぱりわからないイルカや海やらをトロピカル満載に描いた某版画だとかきれなお姉さんがしつこく勧誘してくる某社だとか、アート作品の売買ってのがどうも胡散臭い。絵の価値がわからない人ばかりを狙って巧妙なローンのアドバイスと、絵の価値の高さその絵を描いている人物がいかに凄いかみたいなことばかりを誇張して説得をかけてくるような感じがある。
でも、アートを買ってのは、そもそもそういうもんじゃないだろうと思うのだ。その作品が好きだから、その作品に何かを感じられるから、その作品をどうしても手元に置いておきたいから、そういう欲望がまずありきじゃなきゃ駄目だろう。

作者が有名とか作品が人気だとか、何年かしたらすごい価値になるとか、そういうことは本来作品とはほとんど関係ない(現代アート作品には、そういう関係とか構造そのものをアートとして捉えるような作品もあるが)。アートがアート足り得るのは商業主義とかビジネスとかとほど遠いところに位置するからで、だからこそ非常に価値があり大きいお金が動く。アートとビジネスの結びつきが強くなればなるほど、アートの価値が落ちて、結果的にアートマーケットの魅力がなくなる。この逆説が面白いなと思った。

音楽や本は普通にしょっちゅう買うわけだけど、絵や版画、彫刻やらを買ってるという人は周りでもあまり見かけない。
でも考えてみたらどちらも与えてくれるものはほとど同じじゃないかと思う。音楽を聞いて癒されたり楽しんだり、悲しんだり、文学に触れて自分と社会や世界の関係、それまでと変わったように思えたり、自分の無力さを痛感したり。
アート作品の根本もそこだろう。優れたアート作品は何かしら観る人、接する人に働きかけてくる。
ならば、なぜアート作品は音楽や本みたにもっと手軽に買おうとならないのか。アートが音楽や本のように流通すると、その時点でアートの意味がなくなる、というのはさっき言ったことと同じだが、それにしてももう少しアートを買うという行為が身近なものになってもいいんじゃないかとは思う。

どうしても、アートは価格がよくわからん。高い。庶民には手が届かん。そんな固定観念があるから、なかなかアートには手がでないのではないかと思う。

しかし、実は、そんなこともないらしい。
本のなかで初めて「プライマリー・プライス」と「セカンダリー・プライス」を知った。「プライマリー・プライス」はまずギャラリーが供給する際のマーケットプライス。これは基本的にサイズと素材で決定されるらしい。アート作品は大量生産、販売ができないので、人気がでてくるとすぐに需要が供給を上回ることになり、そこから必然的に「セカンダリープライス」という、その作品を欲しいと言う人たちが競い合うマーケットが生まれる。ここでアート作品の価値は高騰していく。余程の大金持ちでもなければ、庶民がアート作品を買おうと思うと、おそらく「プライマリー・プライス」で買うしかないだろう。まだ人に知られていないギャラリーが扱う新人アーチストを発見するしかない。でも、そういうマーケットがあるということだ。庶民でも手を伸ばせばアート作品は買うことができるのだ。

自分にはアートの価値の判断がつかないとか、鑑識眼がないからとか思う人も多いとは思うが(ボクもその一人だ)、むしろそんなことを気にせず、本当に自分が好きなもの、どうしても欲しいものというのを探せばいいのだろうとも思う。その作品の価値が将来どうなろうが、そんなことはどうでもいいことだ。むしろ、自分の好きなものを近くに置ける、そこから常に何かを受け取れるというほうが余程重要じゃなかろうか。

KAYACのART-Meterは、絵の価格がサイズで決まるというコンセプトの絵画売買のサービスだ。このサービスを初めて見たときは、またまたユニークなコンセプトのサービスを始めたなぁと思ったのだが、このサイズで価格が決まるというルールは、KAYAC自身が知っていたのかどうかはわからないが、現代アートのビジネスではそれほど奇をてらったものでもないのだなぁといことを知った。
こういうサービスでも好きなアート作品を買うという行為が身近なものに感じられるすばらしいサービスだなと思う。

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