「全然大丈夫」と「歩いても歩いても」
休日に観た映画2本。
「全然大丈夫」と「歩いても 歩いても」。
「全然大丈夫」は劇団大人計画の荒川良々の初主演映画だ。
もともと嫁があまり期待せずにDVDを借りたら予想以上に面白かったらしい。
荒川良々の奇演というか、この人が出す独特の雰囲気は何なのだろう。ただ登場するだけで、立っているだけで、画面から奇妙感が滲み出てくる。不思議だ。
とてつもなく不器用な女あかりを演じるのは木村佳乃と、古本屋に通う仏像の修復を手がける男を演ずるココリコの田中との睦まじい時間がすごく微笑ましい。
荒川良々という存在が大きいのではあるが、コメディ映画をこういうタッチとトーンで描ける人は実はあまりいないのではないかと思う。脚本・監督は藤田容介。この人のことはよく知らなかったが今後もかなり期待できる監督ではないだろうか。
「歩いても歩いても」是枝裕和監督の映画は、つい最近「誰も知らない」を観たばかりだけれど、この作品も素晴らしかった。最近、あまり映画を観てないので説得力もないのだけれど、ここ最近観た映画では飛びぬけて良かった。自分好みというのもある。
何かドラマチックな事件が起きるわけでもなく、基本的な話は、ある一組の夫婦が、その夫の実家に墓参りに里帰りして一泊する、というただそれだけなのだが、そこには夫婦・親子といった縦横の緊張感、連れ子と父の関係、溺れた子供を助けて亡くなった兄の存在と、助かった子供、そしてそれを取り囲む親子・兄弟など、細かなな人間関係の糸がもつれ合う。長回しをうまく使いながら、どこにもなる田舎の実家の風景・時間をリアルに描いていき、片時も観る人を飽きさせない。
手法は違うけれど、事件らしい事件も起きず、人間関係の緊張間を巧みに表現するその手腕は、現代の小津安二郎といっても過言ではないのではないだろうか。
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