感情価格決定法ってただの受容価格帯調査じゃ…

一瞬でキャッシュを生む!価格戦略プロジェクト

一瞬でキャッシュを生む!価格戦略プロジェクト

「一瞬で」ということは、要は、価格を上げて売れりゃ、今までより多くのキャッシュを生むという意味だ。価格を上げる分には、ほとんどコストがかからない。「価格を上げる」というのが中小企業の売上増、粗利増に効果がある。そんなことを著者は力説する。ごもっとも。
でも、じゃぁ自分の商品やサービスがどの程度の価格なら売れるのかってのはよくわからない。つまり、プライシングへの科学がないと。ということで紹介されるのは「感情価格決定法」。

見込み客への簡単なアンケートから最適な価格を知ることができるという調査手法だ。うーむ。しかし、著者はさも凄いことのように語っているけど、「感情価格決定法」ってどこからどう見てもただのPSM(Price Sensitivity Meter)分析。これってそんなに知られていない手法でしょうか?

この手法は「米国コンサルタント、マーティン・シェナルド氏が開発したノウハウ」で、神田氏はマーティン氏の「ノウハウについて数千万円の投資を行い、日本での独占ライセンスを得」たそうで、ものすご~く貴重なノウハウと著者は思い込んでいる節があるけれど、この程度のものなら、いまやデスクトップリサーチでも簡単にできる。

マクロミルのQuick-ANALYZE-PSM分析
http://www.macromill.com/client/service/quickanalyze/index.html

この本で公開されなくとも、たとえば「シンプルマーケティング」の著者森さんのページ(シストラットコーポレーション)でも「最適価格の調査手法」は紹介されている。もちろん無料で。
Googleで「PSM分析」で検索すればいくらでも出てくる。

この程度の情報をパッケージングを変えることや、見せ方を変えることで、ものすごく貴重な情報やノウハウのように見せてしまうのが神田さんの凄いところなのかもしれないけど。

ボクは神田さんの「顧客獲得実践会」には入ってないけど、多分、あそこで紹介されているのは、ダイレクトマーケティングや、一般的なマーケティング・リサーチなどでは当たり前のノウハウの焼き直しがほとんどなんだろうな。ま、本書では神田さんは単なる「監修」だけど。

本書で繰り返し訴えられている「価格を上げる努力をしよう」という意見には反対するところもないし、そもそもPSM分析などを知らない普通の中小企業には、こういう調査方法があるということを知るだけでも自信になるだろう。それはそれで良いことだとは思う。
ただ、PSM分析がまるで神のノウハウかのように扱われているのは、ちょっとまずいような気がする。実際、PSM分析にも問題はあるし、当然、これでプライシングの全てが解決するわけではないからだ。

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コメント

  1. t_doumori より:

    私もそう思います。コンサルティングと言われている人は全てとは言いませんが、こういう解釈をする人が多い。

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