MINIってクルマ
MINIに乗るのは久々だった。あまり走らせてやってないと、途端に調子が悪くなるので不安だだっけれど、これといった問題もでず、すこぶる調子がよかった。
まずは杉並区から大田区の端っこ。大田区から千代田区へ。千代田区から横浜中華街。中華街から大田区。大田区から千葉市川。千葉市川から杉並区。以前、高速道路でオーバーヒートして大変な目にあったトラウマから、今回はすべて下の道を走り続けた。幸か不幸か、どこの道路もやたらと工事中工事中で、何度も渋滞に巻き込まれ、それがエンジンを休ませることになっていたのかも。夏だったらこの渋滞もオーバーヒートの原因になりかねないけれど、今のシーズンならちょうどいい。
ボクが乗ってるクルマはローバーミニだ。今のクルマに比べれば、クルマとしての基本的な性能やスペックはどう考えても劣っている。ミニに乗る前には国産車を2台乗り継いだけれど、国産車のときは走行前にエンジンルームをチェックしたりなんてことはしたことがなかった。ミニに乗るなら最低限必要だ。定期的なオイル交換、グリスアップは当然のことながら、エンジン周りを支えるステディーロッドの劣化状態も気にしとかなきゃならない。
また、ミニについて知らない人に言うと一番驚かれるのは、ミニのサスはラバーコーンというゴムでできているということだ。つまり、コイルスプリングが本来ショックを和らげる働きとしてあるところに、丸いゴムのカタマリが置かれているということ。(コイルスプリング以外にも、
トーションバー方式など、いろいろあるだろうけど、一般的な乗用車で採用されている方式で比較するならコイルスプリング方式が一般的かな)
このゴムのカタマリが壊れちゃうと、あっとういう間に、ミニの車高は下がってしまう。そして
ラバーコーンはそれほど長持ちしないという現実がある。コイルスプリング方式に変えちゃうようなキットもでているけど当然コストがかかるのと、またコイルスプリングにしたらしたらで、当然、それを支える部分の強化をしないと、足回りのバランスが悪くなってしまったりもする。また、実はこのラバーコーン特有のゴツゴツとした地面からの振動の伝わり方が、なんともいえずミニらしいということもあって、僕はラバーコーンを愛用している。
というような感じで、このクルマを乗るには、いろいろ気にかけてやらなきゃならないことが多い。スピードも遅いし、クーラーつけっぱなしにして走ると調子悪くなったりするし、雨にも弱いし、ハンドルは重いと、普通に考えればほとんど良いとこなんてない。
でも、実際運転していると、かなり面白い車であることは確かだ。この感覚を言葉で伝えるのは難しい。クルマには、目的のための手段・道具としての側面や、アイデンティティやステイタスの拡張、強化としての側面、改造、チューンナップする楽しみなど、いろいろな側面があるだろうが、「ただ運転する」という楽しみもそこにはあるに違いない。
他のクルマに「ただ運転する楽しみ」ってのがないわけではないだろうけれど、ミニの場合、クルマの構造の特異性や、構造の原始的な部分が、「ただ運転だけ」を目的としているときには、かなり面白みを引き出してくれるんじゃないかなと思う。さっきのラバーコーンだってそうで、現代の車じゃ考えられないぐらいに揺れるし、その振動が「ゴツン」「ゴツン」ってものだけれど、これはこれでかなり楽しかったりする。ちいさくて低い車体は、スピードメーター以上の体感スピードを与えてくれる。
なんやかんや言っても、ボクはこのクルマ大好きなのだ。