月100万円のキャッシュが残る「10の利益モデル」

新幹線の移動中にさくっと読める本と思って買って、正直この手の本はあまり大きな期待はしてないのだけれど、読んでみると期待より面白かった。

月100万円のキャッシュが残る「10の利益モデル」
月100万円のキャッシュが残る「10の利益モデル」丸山 学 古市 達彦

同文舘出版 2006-03-08
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紹介されている利益モデルがどうこうというより、しょっぱなプロローグの「利益とはいったい何なのか?」という短い文章が、あらためて利益モデル/利益の内容からビジネスを考えさせてくれるきっかけを与えてくれた。
「利益」と「労働の対価」との違いという、ものすごく基本的なことを語っているだけではあるのだが、ボクらのような労働集約型の仕事に従事していて、また昨今のようにひっきりなしに仕事がやってくるようなありがたい状況にどっぷり浸かってしまっていると、「利益」と「労働の対価」の境界線がぼやけてきてしまう。「稼働時間」がそのままお客へのチャージとなり、それが普通化すると、その時間単価の中に込められている意味が忘れさられてしまうのではないか。

さて、利益モデルからビジネスを考えるってのは、本書内でも紹介されているが、「プロフィット」が有名だ。著者の丸山さんも、この本を研究したと認めている。私も以前に「プロフィット」や、同じ著者の「プロフィット・ゾーン経営戦略」 は読んでいるが、本書をきっかけに改めてこれらの本を再読してみることにした。本書単独よりは、本書とこの2冊をあわせて読むと、より理解が深まるだろう。
ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか
ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのかエイドリアン・J・スライウォツキー 中川 治子

ダイヤモンド社 2002-12-14
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丸山さんは利益モデルは「顧客から選択肢を奪う」か「何らかの形でコストダウンを実現する」かのいずれかだと考える。なるほど、確かに「プロフィット」の中で紹介される利益モデルはこのどちらかで考えることができるかもしれない。
「顧客から選択肢を奪う」という観点で最もわかりやすいのは「スイッチボード利益モデル」だ。「プロフィット」ではマイケル・オーヴィッツというタレント・エージェントを例にとりあげられていた。利益モデルを指南するチャオも「優雅さを兼ね備えた利益モデル」だと語り、特にこのモデルがお気に入りのようだ。
ちなみに日本語版のこの章では、「取引せざるを得なくなり」「契約せざるを得ない」という言葉が強調されているが、まさにその強調が意図するように、このモデルは何らかの形で顧客がそうせざるを得ない状況をつくり出すことが重要とされている。「スイッチボード利益モデル」は、情報を求める人と情報を提供する人、あるは売り手と買い手の間に入り、どちらかを完全に掌握してしまうことで、買い手の選択肢が奪ってしまう。まさに「顧客から選択肢を奪う」モデルだ。

インストールベース型利益モデル」も顧客の選択肢を奪うモデルだろう。あるプリンタを導入してしまえば、そのプリンタを利用続ける限り、そのプリンタメーカーのカートリッジを利用せざるをえない。ここでも顧客の選択肢は奪われている。メーカーとしては、とにかくプリンタを設置することに執念を燃やせば、あとはメンテナンス費とインク費を継続的に獲得しつづけられる。
というように一つ一つ、見ていくと、顧客を知り尽くす「顧客ソリューション型利益モデル」や、製品ピラミッドをつくりあげることで防御壁とする「ファイアウォール型」など、その殆どは何らかの形で顧客の選択肢を奪っている。その奪い方のバリエーションがビジネスモデルであり利益モデルなのだろう。

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