小林恭二「モンスターフルーツの熟れる時」

ただいまアイドリングタイム。来週月曜日までに構成書をつくらにゃならんのだが、今週末は時間がとれそうにもないので、今へいこら作業中です。

モンスターフルーツの熟れる時
4103704047小林 恭二

新潮社 2001-05
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大学時代の友人が貸してくれた。

彼は、大学の頃から小林恭二のファンで、ボクが小林恭二の本を読んだのも彼の薦められたからだ。「電話男」や「ゼウスガーデン」など、デビュー当時の小林恭二は、なんとなく昭和軽薄体の路線を純文学テイストで仕上げたような作品を得意としてたけれども、本作は文体やレトリックは正当な(ある意味古くさい)純文学的な語り口を意図的に採用している。
渋谷区猿楽町を舞台にした連作小説。強烈な個性を持つ、現実離れしたキャラクター達が登場するが、その舞台を具体性で固めることで虚構性を中和させようということか。現実との照応感と強い虚構性が響き合って、浮世離れした不思議な世界をつくりあげることに成功しているなとは思う。が、物語そのものが貧弱じゃないか。もちろん小説=物語ではないが、この手の小説には物語そのものの力強さが求められるだろう。物語の引力によって個性の強いキャラクターが生きる。この小説は過去と現在、あるいは未来を横断していくがそれが行き当たりばっありにしか思えないところが物語の力の弱さみたいなものを露呈しているのではないか。
むしろボクは小林恭二らしくないところが気にくわない。

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