ヒット率99%の超理論


“ヒット率99%の超理論” (五味 一男)


Amazonの書評ではやたらよかったので買ってみたのだが。
元来、ボクはこの手の本が嫌いだ。内容の大半が本書で提唱される「理論」を学ぶためのトレーニングのための設問と、考え方、回答例で占められている。回答といっても「正解」があるわけでもないので、設問に必死で考えた後に、答えをみたところで、なんとなく煮え切らない。いつもなら多分買わない本なのだが。

「五味理論」とは『1000万人以上に支持される新しい商品やサービス』を生むための理論である。
著者の五味さんは、数々のテレビ番組を当ててきた視聴率男。彼がなぜそれほど成功できてきたのか、たまたまが続いただけなのか? いや、違う。それはこの理論があったからだそうな。

という出だしを読めば、早くこの理論が知りたいと思うだろう。
では、その理論とは何か、それは「大衆の心の奥底に眠っている「こんなものがあったらいいな」という欲求」を形にしてやることだという。顕在的なニーズだけに目を向けるのではなく、潜在的なウォンツやニーズを探り当てよう、ということだ。この辺のことは何ら目新しさはない。よく言われることだ。ウォークマンが登場するまでは、誰も通勤や通学中に音楽を楽しみたいなどと思ってなかった。ウォークマンがそういうウォンツを生み出した。
著者はこれを「先取りマーケティング」という言葉で説明する。

そして、「先取りマーケティング」ができるようになるにはどうしたらいいか?

それは、「自分の頭の中に、1000万人以上の人びとが持っている普遍的な感情をイメージする」ことらしい。

がくっ、、、 え。「1000万人以上に支持される新しい商品やサービス」を生むために、「1000万人以上の人々が持っている普遍的な感情をイメージする」って、、、言い換えててるだけじゃないのだろうか。答えになっているのか、これは。

さて、中盤以降は、この「感覚」を身につけるための練習問題だ。
この設問がけっこう面白くて、ボクは風呂に入りながら考えを巡らせてみた。例えば、こんな感じだ。
「1000万人の「窮屈」を解消する、新しいサービスを考えなさい」もちろん、これを考える時も、「1000万人の人々」を意識して考えなければならない。

「窮屈」ですぐに思い浮かぶのは満員電車。満員電車を解消するにはどうしたらいいのか、二階立て電車、「めちゃ掛けハンガー」のロジックを利用して、社内に段差をつくる、というようなことを考えてみた。これだけだとあまりにも普通なので、別の「窮屈」を考えてみる。
居心地が悪い、靴のはきごこち、校則… 空間的、精神的、時間。。。窮屈なものはけっこうある。
こういう一人ブレストみたいなのは、普段はほとんどしないので、良いきっかけではある。

回答を見てみると、なんだ、「満員電車」「二階建て」がそのままでてた。別に模範解答というわけでもなく、1000万人ということを考えると、「満員電車」に行き当たるのは誰でもそうだろう。五味理論としては、突飛なアイディアを出すのではなく、1000万人の普通の人々が望むものを見つけるということを重視するので、こういうド直球のアイディアのほうがむしろ好ましいわけだ。

「今までありそうでなかったITビジネスのスタイルを考えなさい。」
この設問にはかなり悩んだ。全然思い浮かばないのだ。ただ突飛なアイディアなら浮かぶのだが、「1000万人」を考えると、どれも駄目。「スタイル」という言葉からも、ビジネスモデルじゃなくて、どうも「働き方」とか、そういうものをイメージしてしまう。

結局、何も思いつかず、回答例を見る。
回答例。
「欲しい情報がなんでも100%手に入る検索」ポイントは「なんでも100%」というところだ。
うーむ。確かに1000万人以上が欲しいだろうな、アイディアなので実現性は問わないのだが、、、しかし。。うーむ。これでいいのか。こういう単純なところが思いつかないから駄目なのか。。。

という感じの、どうもボクにとっては煮え切らない一冊であった。

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