Category Archives: 書籍・雑誌

今日マチ子のマンガを初めて読んだ

477832059X 「センネン画報 」今日マチ子さんのマンガを初めて読んだ。
センネン画報も知らなくて、最近、妻に教えてもらったばかりだ。

この淡くて柔らかいタッチの絵に、少し官能的なエッセンスが入っていて、そのギャップがすごくいい。
日常の些細な風景や、どこか昔に体験したことがあるようなシチュエーションのようにも思うのだけれど、タイトルと、シチュエーションへの登場人物の関わり合い方が絶妙で、何か新しいものを発見したような感覚をうける。なんだろう、全然似てないけど岡崎京子のデビュー当時の作品を読んだときの新鮮さというか。岡崎京子が数十、数百ページでやろうとしたことを、1コマ、1ページでやってるような感じだろうか。
1ページでも完結してて、それは詩のようでもあるし、こうやって単行本としてまとまって一気に読んでも全体としてきちんと作品に仕上がっている。読み終えた後にじわじわと来る感じは、良い詩を体験した後の感じに似ている。

COCOON 」こちらは絵のトーンと話の内容の重さのギャップがかなり強烈だった。沖縄のひめゆり部隊をモチーフとしつつ、今日マチ子独特の詩的な世界がうまく融和していて、戦争の悲劇さがより一層際立つ。

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志賀直哉「焚火」

いつもは最近読んだ本や手にした本の備忘録として本を紹介しているのだけれど、ちょっと趣向を変えて、とにかく自分が好きで、好きで、もっと皆に読まれて欲しい本を紹介する。手軽さも加味して、まずはいくつかの短編小説を紹介しようと思う。最初は王道、ド直球で行く。志賀直哉だ。

志賀直哉の文章はすごく簡潔だ。
一時期、ボクは彼のような文章にすごく憧れを抱いていた。ボクはどんな文章でも過剰に言葉を並べ、回り道を何度も繰り返し、自分自身でさえも、冗長だなぁと思うような文章を書いてしまう。それが癖だ。いつも何か足りないと思ってしまうのだ。自分の文章と志賀直哉の文章を較べるというのも恐れ多いけれども、しかし、志賀直哉の文章は、過剰さや冗長さとは正反対にある。志賀直哉の文章は、削って削って、もうこれ以上削りようがないところまで削ってということを突き詰めていったような文章だ。それ以上踏み込めば、それは言葉の圧倒的な密度を目指す「詩」になってしまいかねない。それでも志賀直哉の文章は詩にはならず、良い意味で散文が持つ、余裕というか、付け入る隙というか、そういうものを兼ね備えている。言葉は少ないのに圧倒的にクリアでリアリティに満たされた描写なのだ。
なので、志賀直哉の小説は筋書きや内容は覚えてなくとも、各作品のシーンごとの情景だけが強烈に頭にこびり付いていたりする。志賀直哉の志賀直哉らしさが最も発揮されるのは、ボクは数々の短編群だと思ってる。「暗夜行路」みたいな長編も、嫌いではないのだけれど、やはり彼の短編が持つ独特の言葉の緊張度みたいなものは、他に代わるものがない。

4000073109志賀直哉の短編には他にも色々好きなものがあるけれど、1つ選ぶならこの「焚火」という短編を選ぶ。芥川龍之介は志賀直哉の文書がひどく気に入っていたけれども、「小説中、最も詩に近い小説」として、この作品の名前を挙げている。(「文芸的な、余りに文芸的な」)

手元に作品がないので、細かいところはうろ覚えだけれども、それでもこの作品で描かれた情景は、今でもボクに痛烈なイメージを残している。ボクにとっての、深い森、静かな湖。そして焚火。これらのイメージは、ほとんどこの作品から得られているのかもしれない。高校時代、登山部だったボクは、この作品で描かれたような環境に身を置き、同じように焚火を囲んで、仲間の話を聞いたりしたことが何度かある。その時の情景を思い浮かべようとすると、いつもこの「焚火」を読んだ時に思い浮かべたような、湖畔や森の情景が浮かび上がってくる。この小説の最後の燃え残った薪を湖に投げるイメージ、火の粉がぱっと舞いながら、緩やかにスローモーションフィルムを見てるかのように薪が弧を描き湖に落ちて行く。そして、湖と森に再び静寂が訪れる。このパートのイメージは、ボクの「湖畔」や「焚火」のイコンのような存在になってしまっているのだ。

小説にはそういう力がある。世界を再構成する力だ。その文章を読んで、イメージした世界や状況によって、今まで見ていたものや感じていたものが、別の意味や輝きや不思議さを持って立ち現れてきたりする。今まで意識してなかった物事が、急に目につくようになったり、面白く感じられたり。それが言葉の力だし、読書という体験を経ることの効果だ。これは読書しない人、小説を読まない人にはなかなか理解しにくい感覚だと思う。ストーリー小説が大好きで、あまりこの手のストーリーらしきものがない小説がよくわからないという人に、ぜひ読んでもらいたい作品だ。すごく短いので気軽に読めるし、何度でも読み返せる。そして、読めば読むほどに、その行間とか言葉の使い方、置き方、それらすべての技法から浮かび上がってくる美しい描写・風景といったものが、そういうものだけで「面白い」ものであり、それ自体で十分味わえ、愉しめるものだということに気づくだろう。

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「ホワイトスペース戦略 ビジネスモデルの<空白>をねらえ」の読書メモ

4484111047 「ホワイトスペース戦略 ビジネスモデルの<空白>をねらえ」 ─タイトルからは、「ブルーオーシャン戦略」(「ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する-papativa.jp」)と同じような内容を想像した。確かに根本的な考え方は
近いのだろうけれど、新事業への進出や新しいビジネスモデルの構築ということで考えると、ボクは本書で提示された考え方や手法の方が、より現実性が高いように思えた。

「ブルーオーシャン戦略」でも、既存事業とのバッティングに対して、どのように組織を変えていくかという一種のマネジメント論みたいなものは展開はされていたが、本書では、より具体的に、既存の事業とは異なるビジネスモデル、バッティングするモデルを、どのように組織に適合させていくべきか(あるいは分離しておくべきか)というようなところも示されている。事例の大部分は、大企業のものなので、そのまま参考にできるかどうかはわからないが、考え方や提示されているフレームワークは、自分たちの事業の整理や確認にも応用できるものではないかと思う。
以下は、本書の要約・メモ。

ホワイトスペースとは、「その企業の既存のビジネスモデルが活動の対象としていない領域」「コアスペースと隣接スペースの外にあり、新しいビジネスモデルを確立しないと生かせない領域」という意味で用いられる。企業は、既存のビジネスモデルの場所から、常に新しいホワイトスペース領域にチャレンジしていかなければならない。それは、既存のビジネスモデルの領域が急激なスピードで時代遅れになっていってしまう可能性があるからだ。この時代、既存事業領域にしがみつき、その領域だけの最適化を黙々とやっているほうが、ホワイトスペースという未知の領域にチャレンジするよりも、よほどリスクが高いことだと、著者は説く。

さて、ホワイトスペースの開拓、進出、新しいビジネスモデルを検討する上で、重要な要素として本書では以下の四つを挙げている。ホワイトスペースの事業モデルだけでなく、既存の事業についても、まずこの四つの要素から整理をしておかなければならない。その上で、ホワイトスペースの事業モデルとの比較・検討を行うべきだ。

顧客価値提案、利益方程式、主要経営資源、主要業務だ。

1.顧客価値提案

一定の金銭的対価と引き換えに、顧客がそれまでより有効に、あるいは確実に、便利に、安価に、重要な懸案を解決したり、課題を成し遂げたりするのを助ける商品やサービスの提供。

顧客価値提案はビジネスモデルのもっとも中核的な要素だ。自社にとってのホワイトスペースを見つけだそうとする際にも、まず問わなければならないのはここだ。著者は、顧客価値提案の根本を、「顧客の未解決のジョブ」とする。企業はまず顧客に「どのような課題をよりしたいとお考えですか」と問わなければならないと説く。
より具体的な質問としてブレイクダウンすると、顧客価値提案は「商品・サービス」「アクセス」「支払いスキーム」の3つで構成される。
それぞれの3つの要素について、著者はいくつかの代表的な質問を挙げている。
「商品・サービス」という領域ならば、「その商品・サービスは私のジョブを解決してくれるのか」「その商品・サービスは料金に見合うのか?」「その商品・サービスの最も重要な要素は、私にとって合格レベルに達しているか?」というような問いを考える。
「アクセス」では、「どうやってその商品・サービスを入手すればいいのか?」「誰からその商品・サービスを購入すればいいのか?」「どのくらいの頻度でその商品・サービスを購入する必要があるのか?」
「支払いスキーム」は、「何を基準に支払うのか? 数量単位なのか? 利用回数単位なのか? 生まれた価値の大きさに対してなのか?」「いつ支払うのか? 前払いなのか? 会費形式なのか?」「どういう方式で支払うのか? 現金で支払うのか? クレジットカードで支払うのか? ローンを組むのか? 物々交換なのか?」

2.利益方程式

企業がどのように自社と株主のために価値を創りだすかという青写真。収益モデル、コスト構造、商品やサービス一単位あたりの目標利益率、経営資源の回転率の四つの変数で構成される。

収益モデルとして検討すべきは、以下の3点だ。
 1.どれだけの数の顧客を獲得できそうか
 2.一つの顧客が一回の取引で購入する商品やサービスは、どれだけの数量になりそうか。
 3.一つの顧客に、何回の取引ができそうか。

コスト構造は、直接費と間接費の二つの要素で構成される。よくやる企業の間違いは、既存事業での間接費の状況が先にあり、その間接費からビジネスモデルを考えてしまうという失敗だ。著者は、まず、顧客価値提案に足して間接費を決定していくべきと指摘している。新しいビジネスモデルにおいて利益方程式を検討する場合、厳密さを求めることはできない。そこは未知の領域であり、仮説に頼るしかないところだからだ。厳密さよりも、緩やかな仮説に基づいて少しづつ精度を高めていくような方法をとる必要がある。
新しいビジネスモデルが、既存事業の利益構造やコスト構造と抜本的に違うと、それだけでそのモデルの検討がなされなくなってしまう可能性もある。商品やサービス一単位あたりの利益率が既存事業より低い新規事業はそれだけで社内の理解を得にくい。しかし、既存事業の利益方程式が、あっという間に時代遅れになってしまう可能性もある。今まではそのやり方、その方法で問題なかったものが、競合の状況、市場環境の変化、破滅的テクノロジーやブレークスルーの登場により、まったく効かなくなってしまうこともある。既存の方程式からのみ、新しいビジネスモデルの評価をしていては、いつまでたってもホワイトスペースに挑戦できないということも往々にしてあるだろう。

3.主要経営資源

顧客価値提案を実現するために必要な人材、テクノロジー、商品、施設・設備、納入業者、流通経路、資金、ブランド

4.業務プロセス

持続可能、再現可能、拡張可能、管理可能な形で顧客価値提案を実現するための手段。

主要経営資源と業務プロセスはニコイチだ。そして、顧客価値提案と利益方程式とも密接に関係している。
企業の様々な活動の中で、顧客価値提案と利益方程式を実現するうえで重要なプロセスにおいて、この2つの要素をしっかり検討しなければならない。ビジネスモデルの導入段階にあたっては、これらの要素を既存事業と比較し、共通点と相違点を把握しておく必要がある。共通部分については、コアスペースから流用、共有できるかもしれないし、どういう部分でコアスペースの事業とバッティングするのかということもわかる。

●ビジネスモデルの導入
本書では、ホワイトスペースへの進出を、「育成期」「加速期」「移行期」という三期にわけてそれぞれ考え方を提示している。
育成期では、ビジネスモデルを確立することよりも、まず、早期に上記であげたビジネスモデルの四つの視点をより具体的に検討することを目標とする。仮説を立てて、まずはリスクの低い限られた範囲や顧客などから実験してみる。
ヒンドゥスタン・ユニリーバは十数人の女性を対象にした試験的な取り組みから始め、工事現場で利用する工具をリースするというビジネスモデルを生み出したヒルティ社も、既存客の八社に限定してそのビジネスモデルをスタートさせた。
この段階では、顧客価値提案にしても、利益方程式にしても、あくまでも仮説の段階にすぎない。予想とは違ってうまくいかないことも多々でてくる。この時期は仮説の検証を重ね、何度も成功と失敗を繰り返しながら、知識を付け、新しビジネスモデルのコアを見付け出していくための時期として捉えなければいけない。

例えば、アマゾン。アマゾンはオンラインの本屋から次のホワイトスペース(取り扱い商品を増やし、オンラインの総合ショップになる)への進出を掲げ、1999年、eベイをヒントに、自社のサイト上に外部の業者がオンラインオークションをおこなう場を作る。しかし、これは失敗に終わる。この失敗をヒントに、アマゾンは次に「Zショップ」を立ち上げる。これはオークションではなく、固定価格で商品を販売するサービスで、サードパーティがアマゾン上で商品を自由に陳列できるサービスだった。しかし、これもうまくはいかなかった。「Zショップ」では、サードパーティが陳列する商品と、アマゾン自身が売り手となって陳列する商品が、たとえ同じでも別々のものとして扱われていたからだ。これらの失敗を踏まえて、ついにアマゾンは、現在にも続く、新品と旧品を同じ商品ページ上で紹介する形を導入する。

育成期での仮説・検証の段階を超えて、新しいビジネスモデルの実現性が確認できれば、次は「加速期」に入る。足がかりとなる限定された顧客や地域、サービスモデルから、より広い市場への展開を図っていく。
この段階でもっとも重要なことは、ビジネスで利益をあげていくための再現性のあるプロセスを確立することだ。業務プロセスの洗練化、標準化、ビジネスルールの確立、成功の評価基準の確立などを行わなければならない。

ビジネスモデルの導入の最終段階は「移行期」だ。
この段階での最も大きいテーマは、「新しいビジネスは、コアスペースの事業に統合できるのか、それとも独立を保つべきなのか」という問いの答えを見出すことだ。
どういう体制で新しいビジネスモデルを実践するかについて、新しいビジネスモデルを既存事業と分離しておいたほうがいい場合と、統合したほうがいい場合を、著者は以下のようなケースで説明している。

●既存事業と分離しておいたほうがいい

・既存事業と大幅に異なるビジネスルール、評価基準、行動規範が求められる場合
・顧客価値提案を実現するために、既存事業と明確に区別されたブランドが必要な場合
・既存事業に破滅的な影響を及ぼす(要するに、既存事業よりきわめて低い利益率でビジネスが成り立つ)ことが予想され、しかも、既存事業より固定費をはるかに低くおさえることおよび経営資源の回転率を大幅に高めることの一方または両方が求められる場合

●既存事業と統合できるケース

・既存事業との差別化が主に経営資源と業務プロセスの面でおこなわれ、利益方程式が既存事業とおおむね同じ場合、もしくは既存事業より商品やさビス一単位あたりの利益率が高い場合
・既存事業のブランドに対する評価を大幅に高められる場合
・既存事業を改善できる場合

本書内で紹介されている事例が面白いと思ったのは、すでに確立した「既存事業」があり、そこからホワイトスペースのビジネスモデルに進出、成功した企業の例が多かったことだ。建設現場の作業員が使う小型の電動工具を販売していたヒルティ社。すでに電動工具はコモディティ化が進んでいて、商品の改良などではシェアを維持していくことも、成長も難しいという状況であった。ヒルティはこの分野では高級ブランドではあったが、すでに高級感というものでの差別化が難しくなっていたのだ。
そこで、顧客に目を向けて分析を行ったヒルティ社は、工具がコモディティ化したことにより、現場作業員が工具を雑に扱い、工具が雨ざらしにされたり、十分に手入れされていなかったりすることを掴んだ。建設会社の仕事は、家を建てることだが、こういった状況の中で、工具の管理やメンテナンスなどにも時間がかかるようにもなっていた。
これが、ヒルティ社にとっての「顧客の未解決のジョブ」だ。これを解決するために、ヒルティ社が考えた「顧客価値提案」は、建設現場で必要な工具一式をリースし、顧客が一つ一つの工具をバラバラに購入して自力でメンテナンス、管理を行うのではなく、月々のリース料を払えば、あらゆる工具が手軽に簡単に利用できる、というものだった。
一見、このビジネスモデルは、既存のビジネスの延長にあるように思える。しかし実態は全く違う。リースビジネスになれば、売上に関する考え方の根本も異なる、バランスシートでの在庫の扱いも変わる、顧客との取引の回数は大幅に減るが、一回の取引規模が大きくなる。利益率は高まるが、間接費や管理費も膨らむ。
それまでのヒルティ社のビジネスモデルとは、まったく異なる利益方程式が必要であり、利益方程式が違えば、当然、「主要経営資源」「業務プロセス」も異なる、つまりこのビジネスは、ヒルティ社にとっては、完全な「ホワイトスペース」領域の進出だったのだ。言葉にしてみれば、成功した後で振り返ってみれば、いかにもそのモデルは当たり前のようにも思えるし、簡単に新しいモデルで成功を勝ち得たようにも思えるけれども、実際はそう簡単ではなかったはずだ。本書ではこのあたりの苦悩や難しさも垣間見られて面白い。このあたりは大企業でもあまり変わらないのだなと思った。

ビジネスモデルには協力な引力みたいなものが働く。そのビジネスモデルが成功していればいるほど、長期にわたって、利益を産み出していればいるほど、そのモデルでの価値観が組織全体に染み渡り、それがルールとなり、文化となり、価値観を形成する。こうなると、なかなか新しいビジネスモデルを組織に持ち込むことが難しい。しかし、あらゆるビジネスが急速にコモディティ化したり、あるいは予想もしないところから、今のモデルの根本を無効化してしまうようなテクノロジーが登場する時代において、既存事業の引力は時として非常に危うい事態を招く可能性がある。現代のビジネス環境いおいて、企業が最も重視しなければいけない組織能力というのは、変わることや新しい領域にチャレンジすることを恐れないこと、失敗を失敗のままにせずに、次のチャレンジへと活かすこと、これらを繰り返し行っていけるような能力ではないだろうか。

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「ザ・プロフィット」で紹介されてる23の利益モデルのまとめ

4478374228 久々に、「ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか 」を読み返してみた。
この本は、ビジネスの仕組みやモデルを、どこから利益が生まれるかというポイントからモデル化して整理している本だ。最初読んだ時は、中途半端な物語形式に嫌気が刺したが、何度か読み返すたびに、「利益」というところに着目して、ビジネスを見てみるということが、物凄い発見だということがよくわかるようになった。

本の中では23の利益モデルが示されている。中には、それが「モデルなの?」ってツッコミ入れたくなるようなものもいくつか含まれていたり、このモデルとこのモデルのどこが違うのか、よーわかん、みたいなものもあるが、ひとまず簡単にポイントだけそれぞれのモデルについてまとめておこうと思う。世の中のビジネスは、それぞれどれか1つのモデルに当てはまるというよりは、複数のモデルの組み合わせによって成立しているもののほうが多いかもしれないけれど、儲かってるビジネスには、儲かるためのモデルがきちんと組み込まれているのだと思う。

自社のビジネスや仕事にあてはめて、これらのモデルがどこかに応用できるところがないのか、見落としてしまっているところはないのかを、点検してみるだけでも無駄ではないように思える。

今回のエントリーは、とにかく自分がいつでも後から参照できるようにと考えて、ただ23のモデルの要点をまとめただけになっている。本来、重要なのはこれらのモデルから、自身のビジネスにどのように適応できるかを考えることだろう。今回は、とにかくただ俯瞰できるチャート的なものを自分用に用意したかったということが主目的なので、特にここで何か検証したり、考えたりということはしてない。

(1) 顧客ソリューション利益モデル
ファクトセット社→資産運用者に金融情報を提供するというビジネスモデル
潜在顧客と見込んだ会社に2~3人チームを送り込み、その会社のあらゆることを調べる。
こうした情報に基づいて、顧客の特色や経済状況にあわせて、カスタマイズした情報製品やサービスを開発する。そして、契約に至った場合には、さらに時間をかけて自社製品を顧客のシステムに統合していく。この段階までのファクトセットの売上は微々たるもので、経費ばかりがかかり、莫大な赤字が出る。しかし、時間が立つにつれて利益が伸びていく。

3~4ヶ月でファクトセット社の製品は顧客の日常業務に溶けこんでいく。この段階では、フルタイムで人を投入する必要はなくなり、それこそパートタイマー1人でもサービスが維持できる状態となる。毎月のコストは1万ドルから8000ドルに減る一方で、売上は3000、5000、1.2万ドルと増えていく。

この利益モデルのポイントは、時間とエネルギーを注いで顧客に固有の情報をすべて知りつくすこと。そして、その知識を顧客固有のソリューションの開発に活かすこと。短期の損失には目を瞑り、長期の利益を実現する、というところだ。

(2) 製品ピラミッド利益モデル
マテル社→バービー人形。
製品でピラミッドを築く。ピラミッドの一番下には、他社が簡単には真似したり、参入したりしにくいような低価格の製品が位置づけられる。この一番下の製品がファイアーウォールとなり、他社の追随を防ぎながら、稼ぎどころは、ピラミッドの上の段に位置づけられる高価格帯製品となる。
バービー人形は、20ドル、30ドルで売られている。これがファイアーウォール。しかし、バービー人形はここで儲けてるわけではなく、その上の100ドル、200ドルする市場で稼いでいる。100ドル、200ドルする人形を買うのは大人だ。自分も幼い時に20ドル、30ドルのバービー人形で遊んだ思い出がある。大人になり自由になるお金を得て、コレクターズアイテムとなるようなラグジュアリー的なバービー人形を買ってくれるというわけ。

(3) マルチコンポーネント利益モデル
コカコーラ社。1つの製品を様々なコンポーネントで販売して利益を生み出すモデル。
コカコーラという製品は、1つだが、食料品店、レストラン、自動販売機、というように複数のコンポーネントを持っている。利益の大半はレストランと自販機からもたらされている。顧客は購買機会に応じて異なる購買行動を示す。つまり、非常に幅のある価格感応性を示すので、同じ製品でも購買機会に応じて利益を上げられるところが変わる。

マルチコンポーネント利益モデルを「本屋」に適応させた場合。
「本を売る」というモデルでも、店頭売り、という基本のモデル以外に、個人向け直販、企業向け販売(企業の図書室や人材開発部向けとか)、読書サークル向け販売、というように、複数のコンポーネントで展開が可能となる。これもマルチコンポーネント利益モデルの考え方だ。

(4) スイッチボード利益モデル
マイケル・オーヴィッツ→ハリウッド映画の世界にテレビの世界では当たり前だった一括売り込みを持ち込む。タレントエージェントが、脚本家、主演俳優、ディレクター、助演陣を一括した完全なパッケージを制作会社に売り込むモデル。
パッケージにするためには、その世界において最も重要な要素、コアを抑えなければならない。
この場合は、優れた脚本の調達だ。優れた脚本の供給源を抑えることで、タレントへの影響力が強まる。タレントを組織できることで映画制作会社への交渉力が強まる。
さらに、もう1つのポイントがある。それは「量」だ。どれだけタレントを抑えられていたとしても、それが数人なら、映画制作会社にはいくらでも他の選択肢がある。ある一定の割合のタレントを抑える、つまりクリティカル・マスを超えた時点から、一気にあらゆるものへの支配力、影響力が強まっていく。臨界点を超えて支配力が高まれば高まるほど、それがあらゆる要素に波及して、さらに影響力た高まるという好循環が生まれていく。

(5) 時間利益モデル
インテル→新しい半導体を開発し、真っ先に市場に送り出すことで利益を生み出す。
魅力的な商品を真っ先に市場に市場に投入、そのコピー品が出回ったり、二番煎じ、三番線じが出回る前に荒稼ぎをするというモデルだ。下に出てくる「新製品利益モデル」と似ている。

(6) ブロックバスター利益モデル
とにかく大ヒット、ホームランをかっ飛ばすモデル。それってモデルなのかなとふと思ったが、言ってみれば、製薬会社なんかがこの利益モデルに当てはまるのだろう。
1つホームランがでれば、とてつもない利益が生み出されるので、ホームランを狙うために、研究開発に投資し、研究開発の確率が少しでも上がるように、様々な施策を講じる。
ホームランの確率を上げるためのマネジメントというのが、このモデルの最大のポイントだ。
研究開発競争でのリスクも大きいので、例えば、リード・プロジェクトには少なくとも1つ~2つのバックアップ用の製品の研究もあわせておかなければならないなどのルールを作ることや、それによって、リード製品が失敗しても、次の製品に教訓を活かせるようにするとか、複数に張ったどこかでホームランが生まれるように持っていくなど。

(7) 利益増殖モデル
1つの技術や権利で、何倍もの利益を生み出すモデル。
例えば、ディズニーのキャラクター。ホンダのエンジン開発の技術、などがそれに当たる。
マルチコンポーネント利益モデルとの違いは、利益増殖モデルは、同一のオリジナル資産から派生した異なる製品によって利益を生み出すというところだ。
初期の開発コストはかかるが、その開発されたものを様々なところで利用していくことで、結果的に原価が下がり、莫大な利益を生み出す。
最近の「映画」はこのモデルと、ブロックバスター利益モデルの組み合わせみたいなものではないだろうか。大ヒット映画を狙うというのは、当然のこと、単に映画の興業収入だけではなく、DVD化、キャラクターグッズ、音楽、テレビ放送権などなど、1つの素材をいろんなところに展開していってトータルとして利益を上げようというモデルだ。

(8) 起業家利益モデル
これが利益モデルなのかどうかというのは、正直疑問だ。
社員1人1人に起業家精神を持たせることが、このモデルの肝なのだが、モデルというよりマインドの問題だ。要は、マインドというものも、モデルとかと同じように、利益構造に大きく影響を与えるのだ、ということをい言っているのだと思う。確かにそうだ。

(9) スペシャリスト利益モデル
EDS(エレクトロニック・データ・システム社)→システムインテグレーション分野を角立した企業。
ヘルスケア、銀行、製造業といった事業分野を選び、それぞれについて、自社のサービス提供コストだけでなく、顧客のビジネスポロセスやコストを隅々まで調べ、個々の詳細な数値を掴む。特定の業界や分野に特化し、その分野について深く深く入り込み、知識をつけることで、オペレーションコストの削減や、競合他社に対して優位な値付けなどが可能となる。
スペシャリスト化した企業は、提供する商品やサービスのメニューを細かく作れることで、より適切で有利な価格設定を行うことができるようになる。
このモデルと、下に出てくる「経験曲線利益モデル」「専門品利益モデル」が組み合わさると、より大きな利益ゾーンを創出できるのではないだろうか。

(10) インストール・ベース利益モデル
これはわかりやすい。有名なところでは、かみそり。あとコピー機、浄水器とフィルターとか、よく見ていくとこういうモデルを採用してるところは多い。
最初にインストールされた製品によって、その後、その製品を利用していくために必要な消耗品などによって稼ぐというモデル。
最初の製品の売買時には、買い手に選択権があるが、その製品を購入した後では、売り手が主導権を握ることになる。つまり、エプソンのプリンターを購入したら、エプソンのインクを買い続けなければいけない、というようなことだ。
ボクは、個人的にこのモデルがすごく好きだ。なんか非常に仕組みとして考えられているモデルだと個人的には思っている。肉を切らせて骨を立つというか、ビジネスの組み立てとしてすごく優れたアイディアだと思う。

(11) ディファクト・スタンダード利益モデル
このモデルの典型がマイクロソフト。誰もがディファクト・スタンダードになりたいと思っている。
何かのディファクト・スタンダードになれば、それを基点としてあらゆるところに収益のストリームを作ることができる。マイクロソフトなら、OSのアップデートはもちろんだが、周辺ソフト、周辺機器、それらを作るためのライセンスやらなんやらかんやら。OSというコアのディファクトになることで莫大な利益がもたらされる。
このモデルの肝は、一度ディファクトができてしまうと、マーケティングコストが極めて安くつくというところだ。ボクらも、創業当時、全員マックを使っていたが、お客さんの大部分がWindowsという状況で、最初、仕方なしにWindowsも使うようにしていったという過去がある。マイクロソフトが販促やマーケティングコストをかけなくても、それを使わざるを得ないような環境や圧力が自然と生まれるわけだ。

(12) ブランド利益モデル
ブランドによって価格プレミアが付けられる。
例えば、トヨタとGMの合弁会社NUMMIは、同じ工場、同じ労働者、同じプロセスで2つの名前を持っていた。トヨタのネームプレートを付けた乗用車はGMのものより一台あたり300ドル高い値段で売れる。(NUMMIは、もうなくなってしまったけど)
ブランドを作ることで、そのブランドネームが付加価値になる、競争優位になる。
ブランド構築のために、長い年月をあけて莫大なマーケティングコストを投下する必要があることは言うまでもないが、そうやって気づいたブランドをうまく活用すれば、様々な利益モデルが組み立てられる。
最近だと、「バンテリン」が、そのブランドを色々な製品に拡張したりしてる。
肩こりや、痛みに利く、ってところのブランドイメージから、内服液にもこのブランドを付けることで、より疲労や筋肉痛などに利くというイメージを持ってもらい、それが内服液自体の差別化になるというような感じだ。

(13) 専門品利益モデル
専門的な新製品(ユニークなニッチ製品)のバリエーションを増やす。ニッチ製品ということで汎用品よりも高い価格プレミアムを得ることができる。
ニッチとはゆえ、時間が経過すれば特許権が喪失したり、儲かるとわかれば競合参入も増えてくる。なので、このモデルも時間利益モデルと同じく、いかに、次のニッチ製品を産み出していけるかというR&D領域のマネジメントが重要だ。

(14) ローカル・リーダーシップ利益モデル
単純にある特定のローカルで圧倒的なシェアをとってしまうというモデル。
スターバックスやウォルマートがそれにあたる。一定の地域に集中して店を出して、その地域の同業他社を駆逐する。特定地域に集中することで配送コストやマネジメントコストも軽減され、また販促や宣伝費用も抑えることができる。集中出店のあと、同業他社が駆逐されれば、店の数を減らしたりというような調整をしたりすることもある。

これは「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books) 」(ストーリーとしての競争戦略 – papativa.jp)にも事例として取り上げられていた。
なぜ、スターバックスは特定のエリアに集中して店を出すのか。そんなに近くに店を出して店同士でバッティングしてしまわないのか。店舗を増やすのになぜ、フランチャイズシステムを採用しないのか。など、スターバックスの戦略の裏にどのような一貫したストーリーが流れているかを明らかにしたもので、かなり興味深いものだった。

(15) 取引規模利益モデル
取引規模が大きくなればなるほど1件当たりの売上の上昇が1件あたりのコストの上昇より急勾配になる。広告会社などは大きい取引の仕事を獲得できればできるほど、大きい利益を生み出すことができる。
このモデルのポイントは、リスク負担だ。大口顧客に集中するあまり、小規模取引も取りこぼして、且つ大口顧客も獲得できないということもある。そのリスクを取ってでも、大きい取引の獲得に集中できるかどうか。
そして、このモデルでは何よりも大口顧客との関係作りが最も重要な要素となる。取引の開始前に当たっても、あるいは取引開始後も、いかに取引先との関係を密に保てるか。
面白いのは、「オープン・ドア・シンドロームの克服」も重要であると指摘しているところだ。
つまり、大きい取引を獲得するために、リスク負担や、忍耐、関係づくりといったことをやってきて、ようやく念願かなって何か大きな取引のチャンスが扉が開いた時に、その扉をくぐらない、というようなことが起きる。それが「オープン・ドア・シンドローム」だ。

確かに、大きい取引の仕事は、喉から手が出るほど欲しいだろう。しかし、取引を開始したらしたで、それを自社できちんと処理していけるのか、対応していけるのか不安に苛まれ、取引を辞退してしまうということだってあるだろう。しかし、このモデルの肝は大きい取引の仕事をするということで、そのために様々な取り組みがあるわけなので、チャンスが開けば、そこには勇敢に乗っかっていくということも、必要不可欠なことなのだ。

(16)価値連鎖ポジション利益モデル
バリューチェーンにおけるもっとも重要なポイントをコントロールすることで大きな利益が生み出されれる。実は、多くの業界で利益は、バリューチェーンの中の限られたポイントに集中すると言われてる。
マイクロソフトとインテル陣営は、パソコンビジネスの中でのコントロールポイントを押さえているからこそ、ほとんど利益がでないこの業界で莫大な利益を生み出している。スイッチボード利益モデルで上がったハリウッド映画においけるオーヴィッツも同じくだ。

(17)景気循環利益モデル
このモデルを図なしで説明するのは難しい。言葉だけで捉えると、景気の上下の波をどう利用するかというようなモデルに思えるかもしれないが、ニュアンスは少し違う。
景気循環利益モデルで成功している代表企業はトヨタだ。他社よりも安いコスト、固定費を実現することで利益を生み出す。他社よりほんの少しでも原価が安い、固定費が低いということによって、莫大な利益を生み出すことができるというモデルだ。

(18)販売後利益モデル
価格が高く、価格の幅が大きく、そして選択肢が多い場合に価格感応性が高くなる。
逆に、価格が安く、価格の幅が小さく、そして選択肢が少ない場合に価格感応性は低くなる。
販売後利益モデルが大きな利益を生む理由はここにある。
コンピューターや乗用車、コピー機、工業機器などの製品の売買取引では、買い手の価格感応性が最も高いゾーンで行われている。買い手は少しでも安い価格で製品を手に入れようと考えている。
ところが、最初の取引が成立すると、それまで存在しなかったフォローアップ製品の重要が生じる。
これらの製品の価格感応性は低い。
モデルとしては「インストール・ベース利益モデル」と似てて、あまり区別が付かない。
ただし、インストール・ベース利益モデルでは、製品メーカーが利益を得るのに対して、販売後利益モデルでは、製品メーカーに限らない。ある製品のフォローアップ製品として、新たなミニマーケットが誕生し、そこに利益を生み出せるビジネスが出てくるというところだ。

(19)新製品利益モデル
「市場がゴールドラッシュを迎えたとき、底のほうで利益の爆発が起きる。利益率は高く、販売量は急増する。二つを掛けあわせれば利益の大海原が広がる」
時間利益モデル、専門品利益モデルと混同されやすいモデルとして、以下のような違いの説明がなされている。

▼時間利益モデル
サイクル:24ヶ月/必要な能力:スピード/たとえ:レースカーの運転
モットー:バックミラーに後続車が写ったらアクセルを踏め
例)半導体、家電、金融商品

▼新製品利益モデル
サイクル:60ヶ月/必要な能力:資源のシフト/たとえ:サーフィン
モットー:最後の波から真っ先に降り、次の波を真っ先につかまえろ
例)自動車、コピー機

▼専門品利益モデル
サイクル:120ヶ月/必要な能力:選択/たとえ:地震観測
モットー:最も豊かな油田を見つけろ─顧客のニーズと技術的な実現可能性があり、過当競争がない場所
例)特殊科学製品、医薬品

(20)相対的市場シェア利益モデル
GM、IBM、GEなど。
相対的な市場シェアが高い企業は、
・製造における規模の経済性が働き、コスト競争力を持てる
・購買における優位性を得ることができ、安い価格で材料等を購入できる
・マーケティング、宣伝活動でも大量に資源を投入でき、製品1個あたりのコストは最も低くできる
・ユニット当たりの間接費や研究開発費が最も低くなる。
・優秀な人材のリクルーティングに有利である

など、相対的なシェアを最大化させることで、様々なメリットが生まれ、それが利益の創出に関係していく。
ランチェスター理論は、市場シェアでの競争戦略論だ。いかに相対的市場シェアを高くすることで、有利な戦いが行えるかということを分析している。「相対的」なので、自分たちが勝ち易い、シェアをとりやすい分野、テリトリーをどのように設定するかということが重要なポイントになる。
それは特定の製品かもしれないし、特定顧客層かもしれないし、あるいは地域かもしれない。どこかのレイヤーや領域でナンバーワンを作りだせば、それが多くのメリットを引き寄せてくれるのだ。

ローカル・リーダーシップ利益モデルは、ある意味、地域やエリアでの「相対的市場シェア利益モデル」と言えるのかもしれない。

(21)経験曲線利益モデル
経験の累積によってコストが削減されたり、スピード化されたたりで利益が生まれる。
経験曲線利益も相対的市場シェア利益も、市場で優位に立つことが目的のモデルと言える。
しかし、一般的には経験曲線利益モデルだけで、利益を生み出すというのは、今や至難だろう。経験曲線利益モデルに何かが組み合わせていく必要があるのではないかと思う。

(22)低コスト・ビジネスデザイン利益モデル
文字通りビジネスを圧倒的に低コストで運営することによって利益を創出するモデル。
経験曲線利益モデルは、学習量の総体によって結果的に低コストを実現していくようなモデルだとするならば、低コスト・ビジネスデザイン利益モデルは、その市場のビジネスモデルや業界平均みたいものを完全に時代遅れにしてしまうようにビジネスそのものの根本を変えることを意味する。
中距離航空会社のサウスウェスト航空や、直販モデルのDELLなど。後発参入するからこそ、そもそも先行する競合たちとはまったく次元の異なるモデルを構築して参入し、競合を駆逐していく。

(23)デジタル利益モデル
「デジタル」に移行することで何十倍もの生産性を実現し利益を生み出す。
もちろん、「デジタル移行」は生産性の向上だけではない、様々なメリットを生み出すだろう。これはこの業界に属する人たちなら言わずもがな。

■最後に… いとこ同士の利益モデル

●インストールベース利益、デファクト・スタンダード利益、販売後利益
●時間利益、新製品利益、専門品利益
●相対的市場シェア利益、ローカル・リーダーシップ利益
●ブロックバスター利益、取引規模利益
●マルチコンポーネント利益、利益増殖
●経験曲線利益、スペシャリスト利益

4478372667 本書の魅力は、単にモデルをチャート化したことだけではない。このまとめではきちんと触れられていないチャオとスティーブの掛け合い、チャオが各モデルでの利益のあり方を悩みながら答えていくその様に、様々な発見があり、ヒントが隠されていると思うので、ぜひ本書も手をとって頂きたい。

また、利益モデルについては、こちらの本のほうが新しいパターンが組み込まれていて幅広いものになっているが、利益モデルの構造や詳細な分析は、「プロフィット・ゾーン経営戦略―真の利益中心型ビジネスへの革新」(プロフィット・ゾーン経営戦略―真の利益中心型ビジネスへの革新 – papativa.jp)の方がオススメ。

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「SOIL」(カネコアツシ)完結。

475771713XSOIL」最近ようやく完結した。ボクは昨年にパートナーさんから10巻まで借りて一気に読んでいたのだけれど、この度11巻で完結したということで、わざわざそのパートナーさんが11巻を持ってきてくれた。早速11巻を読み始めたのだけれど、10巻までのストーリーをまったく覚えてなくて、何がなにやらさっぱりわからず、結局、1巻から読み直すことにした。昨年夏に読んだばかりなのにストーリーを忘れてるぐらいだ。これを貸してくれてるパートナーさんも、多分、11巻を買って読んだはいいものの、忘れててよくわからないところがいっぱいあったのではないか。GWに一気に読みたいと思ってるけれど、早く返してとは言いづらく言えないのではないかなどと、いらぬ勘ぐりをなどして、これは早く全部読んで全巻を返さねばと思い、一気に読み通した。結果的には、頭から一気に読み通して良かったと思う。物語全体の世界観や、ストーリーのつながりなど、細かいところも色々と分かったからだ。

(以下の文章、少しネタバレ要素もあり)
最初に大きな謎が提示される。郊外の清く正しく明るく美しい町「そいるニュータウン」。そこで大規模な停電が発生したある夜、一組の家族と警察官が突然、跡形もなく姿を消してしまう。そして、なぜか学校の校庭には巨大な岩塩の山が出来き、その山頂には、姿を消した家族が飼っていたとハムスターの心臓と思われる内蔵が見つかる。
なんと摩訶不思議、魅力的な「謎」だろう。謎のスケールが大きいのだ。事件は、「そいるニュータウン」の人間関係などを絡めつつ、謎にさらに謎が重なり、どんどん拡散していく。途中、おいおい、ここまで風呂敷広げて大丈夫かい、畳み方は考えてんだろうな、と余計な心配などをしてしまうが、「異物」という概念が出てきて、ついに「異物」の核心が暴露されるところあたりから、ストーリーは俄然面白くなってくる。過去と未来が連鎖して、ある時空とある時空がつながる。「異物」を排除しようとする企てと「異物」を導き入れようとする企て、その両者がともに、いつの間にか「異物」そのものと変容していく。
そう、この物語を一貫して貫いてるのは、日常と異物、表と裏、過去と今、シニフィアンとシニフィエ、というような二項対立や、追いかけるものと追いかけられるものの関係がいつの間にか入れ替わったり、無効化されたりしてしまう様相だ。その最たるものが、謎そのものが解かれるべきではない、それは解き明かされないからこそ「謎」であり、「謎」であるからこそ意味があるというパラドクスだろう。

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