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2004年11月24日

このユーザー調査に意味はあるのかな?

Panasonicのウェブサイトで、「松下電器のホームページに関する調査」ってのをやってる。アンケート調査の実施機関は日本ブランド戦略研究所だ。ウェブサイトのブランド価値算定とかをやってランキングを発表したりいろいろしているところです。

しかし、このアンケート。6問目で答える気なくなりました。それはこんな設問。

Panasonicのトップページは10月にリニューアルしましたが、あなたの評価がどのように変わったかをお聞かせください。

というような設問で、ありがたいことに旧トップページへのリンクも設けられている。
そして、選択肢が「デザインがよくなった」「使いやすくなった」「情報が探しやすくなった」「文字が読みやすくなった」「個性的になった」「親しみがわいた」「その他」....

うーむ。こんな設問で何がわかるんでしょうか。選びようがない。わざと誘導尋問してるんでしょうか。ここで無理やりでも肯定的な選択をさせてはいるけれども、実はこれは設問設計の妙で、適当に回答しようとしている人をふるい落としたり、見極めたりするための仕掛け...??
いや、でもボクは少なくとも真面目に答えようと思ってたんだけどなぁ。この設問でいきなり嫌気がさしてしまったよ。

とか思いながら頑張ってアンケートに答えていくけれども... こんな調子が続く。設問のベースが「リニューアルしてよくなったでしょ?」というところから始まるものが多い。

いったいこのアンケートの意図は何なんでしょう? 良い結果を出さないと、担当者が上司へ報告できないんでしょうか? 

企業サイトの評価をどう行うか?」でも書いたけど、使うモードでのサイトと、見るモードでのサイトでは、その価値は全然違うだろう。こんなアンケート調査でブランド価値やらロイヤルティ度合いやら、満足度やらを出しても、ほとんど意味はない。どうせ調査するなら、擬似的にでも「使う」モードにさせてからやるぐらいの工夫は欲しい。

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2004/11/24 22:17

カカクコム、旅行クチコミサイトを買収

フォートラベルが運営する「旅行のクチコミサイト フォートラベル」は、旅行情報に特化したクチコミサイト。 2003年9月のサイト開設以来、急速にユーザー数を伸ばしており、 10月現在で月間アクセスユーザー数は87万人、掲載旅行業者は234社。 ユーザーの投稿には Blog 機能を使用している。
フォートラベルは、社内でもちょっと話題になっていた。しかし、月間アクセスユーザーが87万人とは。すごい。しかも、開設して1年ちょっとだし。この会社、スタッフが2名。そういえば、Cookpadとかつくってるところももともとは2名とかじゃなかったけな。 ユーザーをうまく巻き込み、支持を得られれば、あっという間にすごく強力なメディアができてしまう。すごい。

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2004/11/24 10:30

2004年11月23日

ユーザー行動とウェブのカタチ

デジモノに埋もれる日々」の「blog記事の自立 - 「正面玄関」と「ビーム」と「シャワー」はひじょーに面白く、興味深いエントリーでした。(参照元の記事も含め)

トップダウン型のウェブサイト構成というのは、今や製作者の幻想なのかもしれないですね。
検索エンジンの進化や、RSSやAtomなどのメタデータ提供と摂取、ブログなどを介した情報・コンテンツのフィルター機能などなどによって、今やユーザーにとってウェブサイトは、ますます全体的、包括的なものから小さなパーツの集まりになりつつあるようです。

このトレンドはウェブ製作業界に身を置くものとしては無視するわけにはいきません。

CKさんのエントリーで思い出したのは、Webユーザビリティで有名なニールセン博士の「情報提供記事は注文をとらなければいけない」という記事です。この記事に書かれてあることも、こういったトレンドがもたらす一つの兆候なんでしょう。

P&Gのサイトで子猫用の餌を探すというユーザーテストを行った時の興味深いユーザー行動がとりあげられています。テストユーザーはP&Gサイトで子猫用の餌選びのためのTipsを与えてくれるとても良いコンテンツを見つけることができました。でも....

テストユーザたちはとても満足した。彼らは子猫に何を与えればよいのか、良いアドバイスを見つけたのだ。残念なのは、P&G が彼らのニーズにあった商品を 売っていることに気付かなかったことだ。それどころか、彼らはページの上部隅の画像にあったブランド名にすら気付かなかったのだ。ページ上部の隅というのは必要がなければユーザが見ない場所だ。

このページには "May we recommend a product for your cat?"(あなたの猫にお勧めの製品は?)というリンクがあったのだが、左側の余白部分(ここもユーザがまず見ない場所)にあり、ユーザが探していた情報を見つけるずっと前に見えなくなっていたのだ。


このページにはいわゆるローカルナビゲーションだってあるし、グローバルナビゲーションも用意されています。もちろん製品へのリンクも。
でも、テストユーザーはこれらを無視してしまったそうです。

「HomeAlone」時代のウェブサイトでは、こういうことがしばしば起きるのでしょう。検索エンジンを利用してユーザーは「回答」を探します。「回答」を見つけて満足し、そこを去っていくのです。これでは企業サイトはウェブサイトで商品や製品に関しての有用な情報を提供しても、単にボランティアになってしまいます。いくらアクセスが増えても、それが成果につながらなければ意味がありません(アクセス数が成果なら、それはそれで良いのかもしれないですが。アクセスして記事を読んだだけで、その記事を提供している会社にロイヤリティを感じたりするほどユーザーはお人好しではないでしょう)

CKさんが言われている「サーチエンジン・シャワー」や「ピンポイント・レーザー」を、某大手の新聞社のように完全に拒否してしまうというのも勿体無いですが、現状のほとんどの企業ウェブサイトがそうであるように、トップページを「玄関」と見なし、全体を設計しているだけでは、これらに対応できない可能性があります。

ニールセン博士は別の記事で、このようなユーザーを「つまみ食い」ユーザーと名づけています。「つまみ食い」ユーザーへ対応するためには、グローバルナビゲーションなどは役に立たず「コンテクストリンク」で、より熱心なユーザーが情報を求めていけるようにするべきだというようなことを語っています。

検索エンジンが回答エンジンになるとき
http://www.usability.gr.jp/alertbox/20040816.html

「こちらも参照」リンクで豊富に答えを飾ること。関連するコンテンツやサービスへのリンクを設けておくのだ。グローバルナビゲーションでは、答え探しをしている人が無視するだけなので、役に立たない。彼らはサイト自体には興味がないのだ。だが、コンテキストリンクであれば、熱心なユーザは深く掘っていく。そして、彼らこそが、課金サービスの見込み客として逃したくない人々だ。参照リンクは文中に埋め込むこともでき(私がこのコラムで行っているように)、記事の最後に置いてその後のアクションのための補足とすることもできる。後者は、ただ単に情報提供しているだけではなく、実際に商品を売っているということを示すことができる。

ヤコブニールセン氏のこのサイト自体が、コンテクストリンクをうまく利用し、より興味を持っている人を別の記事へ別の記事へと導いていく仕掛けが盛り込まれてるんですね。本文内から、レポートなどの購入サイトへ自然とナビゲートしてたりします。今まであまり意識してなかったけど、確かにボク自身、このサイトのナビゲーションは使わないことが多いです。何か探しているとき、たまたま検索エンジンに記事がヒットしてきて、直接記事を読んで、その記事から参照されている別の記事を読んで、またそこで紹介されているレポートに興味持って... という行動をとっていることが多く、コンテクストリンクを何の違和感もなく、利用していました。

もちろん、このように自サイトのどこかのページにやってきたユーザーをうまくつかまえていく(という言い方はあまり良い言い方ではないけど)という発想も重要ですが、Amazonのように、Webサービスやアフィリエイトを活用して、「Amazonで購入する人を増やすのではなく、購入したらAmazonだった」みたいなコンテクストをつくっていくという発想も必要でしょう。

どちらにせよ、今までのトップダウン型のウェブサイトの作り方、考え方では、ユーザーの行動や環境変化に対応できなくなってきているんじゃないでしょうか。
というようなことを考えていると、ますます「トップページラフから作る間違い」を痛感する今日この頃です。

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2004/11/23 20:14

紙業界では当たり前?

HTMLではどうしようもないけれども、CSSでは単語間や個々の文字間の調整ができる。HTMLレイアウト時にはカーニングなど、画像テキストでしか気にする必要なかった。HTML(XHTML)が本来の文章構造を定義するマークアップ言語として利用され、視覚的表現をCSSに譲るときには、テキスト文字にも、繊細な気配りが必要になる。

ボクは実は、カーニングさえもつい2~3年前まで知らなかった。そういうことを気にしたことがなかった。ある人から、(うちの会社がつくったウェブサイトに対して)「このへんの文字詰めが甘いね」と指摘されて初めてそういうものが重要だということに気づいた。印刷業界やら出版業界ではあたりまえの知識なのだろうけれど、ウェブ業界ではこのあたりの知識に疎い人もけっこういるんじゃないだろうか? いかにキレイに、読みやすい文字組みをつくるか、ということは紙業界じゃ当たり前で、そういった知識や技術の歴史が根付いてる。ウェブの場合は、ブラウザの性能の問題やらもあって、あまり意識されてこなかったのかもしれない。(もちろん、こういったところまで徹底して気配りして製作されている制作者さんも多くいます)

そういえば、Wordの機能に、「行頭の記号を1/2の幅にする」とか「日本語と英字の間隔を自動調整する」だとか「日本語と数字の間隔を自動調整する」「句読点、かなの間隔を調整する」みたいなオプション機能がついてる。WordはDTPソフトじゃないので、「自動調整する」レベルのオプションなのだろうけど、こういうオプションがついてるということは、「紙」では、この手の文字間処理ってのには最低限気を使わなきゃならない、ということなんだろう。(もちろん他にもいろいろあるのだろうけど)
普段、そんなことにはまったくといっていいほど気を使ってなかったけど、確かに「日本語と英字」の間隔は他の字間と同じだと、ちと詰まりすぎててキレイではない。行頭に括弧とかがくると、グリッドがそろってないように見える。ちょっと調整してやれば随分と読みやすく、美しくなる。
このあたりの知識さえもボクは持っていなくて、Wordのオプションで意識したというなさけないレベルだ。

CSSレイアウトが普通になるとき、このあたりへの配慮の差というのは、すごく出てくるんだろうなぁと思う今日この頃。ちゃんと勉強しておかないと、恥ずかしい目にあいそうだ。

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2004/11/23 18:31

2004年11月16日

若年層を狙った携帯ECサイト

ネット通販会社が、通信料の定額制普及をにらんで、携帯電話での通販事業に進出しているという話(2004年11月16日 日本経済新聞)。メモメモ。

  • パソコン関連のネット通販を手がけるサクセスは12月からNTTドコモ携帯電話向けに販売サイトを開設。デジタルカメラ、DVDソフトなどパソコンに比べて単価が低い商品を中心とする。20歳前後の顧客層を狙って。月2億の売上目標
  • ノジマの関連会社イーネット・ジャパンも2005年3月期中の参入を検討
  • ケンコーコムは9月に携帯サイトを開設。若年層の注目が高い美容・ダイエット関連商品を全面に押し出す
  • ナチュラムも携帯サイトを開始。時間セールスの導入を検討。持ち運びができるという携帯の特徴を生かし利用者の携帯にメールでお知らせを入れる。

経済産業省の調べでは、携帯電話を通じた電子商取引市場の規模は、2003年に7700億円。前年の2.4倍。

ボクはネット通販はかなり利用しているけれど、携帯電話ではまだモノを買ったことがない。せいぜいiモードの公式メニューの有料サービスを利用しているレベルだ。携帯で何か買おうと思ったこともない。買おうというときはパソコンに向かう。携帯電話を本来の電話やメールも含めたコミュニケーションツールとして使う以外で使う時というのは、たいてい暇つぶしだ。その「暇」というのもちょっとした「暇」であって、何かに熱中して時間をすごしてしまうことが出来るような「暇」でもない。わざわざ携帯でモノを買おうなんて思う気にはならない。

そんな自身の感覚から考えると、携帯でモノを買うユーザーは、ネットユーザーではないのではないかと思う。携帯でモノを買ってる人というのは、逆にインターネットでは買っていないのではないか。この記事にあるように携帯ショップの主流は若年層になるのだろう。 すると、ネットショップ上で少し年齢層の高いユーザーを対象とした商品で、且つ比較的高価なものを販売展開しているところは、そのまま携帯通販をやったところでうまくいかないだろう。より安く気軽に買えるようなエントリー型の商品に水平展開するかしないと駄目なんだろうなぁ。 PCサクセスにせよ、eでじにせよ、ケンコーコムにせよ、ナチュラムにせよ、扱ってる商品自体は、うまく水平展開していけるジャンルだろうなぁと思う。

いまんところは、携帯電話のほうが圧倒的に店のスイッチが起こり難い。一度あるジャンルの商品を購入したら、そのジャンルの商品は余程でない限り、他で買わないのではないか? だって、今はCookieもまともに使えないし、キャッシュもないし、とにかく入力が面倒くさいから。一度購入して、会員管理されているほうが余程楽だからだ。ドメイン指定拒否、受信なんかの設定もネックだ。いちいち設定を変更しなきゃならない。ということで、ボクなら一度何か購入したら、余程でないかぎり、その店で買い続けると思う。というようなことを考えていると、今はそれほどブレイクしているとは思えないけど、携帯通販のほうが楽天ようなモデルは成立しやすいんじゃないかという気がするのだが。(楽天モバイル店で売れているという話をほとんど聞かないのだけれど...)

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2004/11/16 23:32